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791 -  太陽光パネル模擬電源システムを開発し国際学会ICCE2016で受賞

太陽光パネル模擬電源システムを開発し国際学会ICCE2016で受賞

黒川恭平さん (理工学研究科修士課程1回生)

  • No.791
  • 2016年3月25日更新


今、注目されている「スマートグリット」。電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網のことで、その普及に伴い、分散電源システム(※)の開発が盛んに実施されている。
(※)分散電源システムとは電力供給の一形態であり、比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置して電力の供給を行なう機械そのものやその方式のこと。太陽光などの規模の小さい低出力の発電装置など、各種の多様な電源が含まれる。

一方で、分散電源システムで用いられるコンバータや蓄電池、太陽光パネルはいずれも非線形性と多変量のパラメータを持っているので、シミュレーションだけでなく実測による検証が重要となる。しかし、実際の太陽光パネルに温度や照度などの条件を与えるためには広い場所と多くの実験時間が必要となることがデメリットとしてあげられている。そこでさまざまな照度や温度特性を考慮した太陽光パネル模擬電源システムの開発について研究しているのが理工学研究科の黒川恭平さんだ。

太陽光発電のシミュレーションに関する研究は多く行われているが、実際の電力を出力する模擬電源の開発はあまり行われておらず、「新しい分野に力をいれた研究」と評価され、2016年1月にラスベガスで開催されたコンシューマエレクトロニクスの世界最大の展示会併設の国際学会IEEE International Conference on Consumer ElectronicsでIEEE CE East Joint Japan Chapterより「ICCE Young Scientist Paper Award」を受賞した。



2011年3月、黒川さんは電子情報デザイン学科へ進学が決まり、実家の神戸で一人暮らしの準備をしていた時に東日本大震災が発生。この震災をきっかけに原子力発電などのエネルギーについて考えるようになったという。4回生の時には太陽光パネル模擬電源システムについて研究を始めるが、もともと太陽光などのエネルギーについてあまり知識がなく、研究に行き詰った時期もあった。そのような時期は学科を超えての協働がある研究環境を生かして乗り越えてきたそうだ。「電気電子工学科の先生やドクターの方々との意見交換が知見を広げるきっかけとなり、太陽光パネルの特性を理解することができました」

研究を進めるも、市販の模擬電源システムに勝る項目がないなど思い通りに結果が出ないときも多々あったという。唯一、ある条件下で負荷変動の際の動作点から動作点までの移動時間(応答時間)だけは勝てる要素があったが、全ての条件で勝ることはできず、不本意な結果で卒業論文を提出。研究科に進学してこの研究をこれからどう進めていくか悩んでいた時、「諦めずに研究を貫けば…」と後押ししてくれた先輩の言葉が心に響いた。「全ての条件で市販の模擬電源システムに勝つ」という気持ちで研究を続けることを決意する。

そしてついに市販の電源や電子負荷を使用していることが原因で応答時間が遅くなっていることを発見。電源や電子負荷をカスタム回路に置きかえたシステムでは、市販の模擬電源システムの応答時間より約2.7倍の高速化を実現することができたのだ。「カスタム回路の構成についても知識がなく、みんなに助けてもらいました。研究は一人ではできないもの。周りの方々の支えがあったからこそ、今回の受賞があると実感しています」



卒業後はエネルギー系の会社に就職を希望する黒川さん。就職活動が落ち着けば、大電力に対応できる模擬電源システムの開発を行っていきたいと語ってくれた。これからの試みが実を結び、そして日本が世界に誇るべき太陽光パネル模擬電源システムとして披露される日も、そう遠い将来ではないかもしれない。


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