インタビュー

Q&A

Profile

VLSI最適化工学研究室に所属し、リチウムイオン蓄電池の劣化の解析、および、電池の寿命の予測に関する研究を行う。

理工学研究科 電子システム専攻所属渡邉 亜美

理工学研究科 電子システム専攻所属 渡邉 亜美
理系を志望した理由は?

中学生の頃は文系志望だったのですが、たまたま高校に入学する際に、理系のクラスに入学でき、そこからずっと理系のクラスに所属していたため、そのまま理系で進学することになりました。元々、ものづくりが好きであったこと、そして、新しいものに対して挑戦することが好きであったことから、理系の道に進むこと自体に抵抗はあまりありませんでした。
理系を志望するにあたって、学部、学科の選択をしなければならない時期になった時、これからの日本に対して、私自身がどういう形で貢献できるのかを考えるようになって、この先の未来では、常にネットワークとつながっている、ユビキタス社会が到来する、ということを高校3年生の時に聞く機会がありました。その時に、自分自身が今、生きている世の中は、とてつもない速さで成長をしていて、もう少しすれば、今まで映画の中でしかありえなかった世界が、実際に実現するんだ、ということを感じ、とてもワクワクしました。そういった、近未来的な技術は、基本的にICの技術によって支えられており、立命館大学の理工学部には、そのICの設計を学べる学科がある、ということを知りました。私自身もICチップの設計、製造に携わることで、ユビキタス社会への移り変わりをサポート出来るのではないかと考えて、理工学部電子情報デザイン学科に入学することを決意しました。

入学前に不安はありませんでしたか?

理系で、特に電気、機械系の学科は女性が少ないということを聞いていたので、勉強についていけるのか、ということよりも男ばかりの中でやっていけるのか、という不安はありました。実際に入学してみたら、私の年はとりわけ女性の少ない年だったらしく、学科で私しか女子がいない、という現実に直面しました。入学して、名簿を見た瞬間に「え!?どうしよう・・・」と思わず思ってしまいましたが、クラスのメンバーが非常に気さくに話しかけてくれたこと、そして、高校からのクラスメートが大学でも同じクラスだったことが幸いして、すぐになじむことが出来ました。
立命館には入学したての1回生に対し、オリターという1回生の面倒を見てくれる2回生の先輩がいらっしゃって、その方たちも私を気遣ってくださってか、私のクラスには女性の先輩を担当にしてくださったことから、気軽に相談を出来る環境もあり、入学前に抱えていた不安はいつの間にか消え去っていました。それに加えて、英語のクラスなどで、他の学科の学生と交流をする機会もあり、他の学科の女子学生の子たちとも話せる機会が多かったため、入学前に抱えていた不安は、今考えると杞憂だったな、と思っています。

どんな研究・活動をしていますか?

現在は、リチウムイオン蓄電池の劣化の解析、および、電池の寿命の予測に関する研究を行っています。日本は地球温暖化や原子力発電問題などの様々なエネルギー問題を抱えていることから、「電気の効率的な活用」という事に対して、非常に注目度が上がっています。リチウムイオン電池は、貯めた電気をいつでも好きな時に使える、という点から、電気の効率的な活用に非常に有用なものとなっています。2015年から 順次開始される電力自由化の流れを受けて、これから一般家庭にも順次、大型の電池が普及していくものと予想されますが、その際に、電池の劣化が非常に重要な問題となっています。

皆さんがお持ちのスマートフォンにもリチウムイオン蓄電池は使われていて、スマートフォンを使っていくうちに、どんどん使える時間が減っていって、「もっと長時間使えるようにしてほしいのに・・・」と感じた経験があるのではないでしょうか。この電池がだんだん使えなくなる現象を「劣化」といい、家庭用の蓄電池はスマートフォンの何十、何百倍の価格なので、より劣化を抑えることが重要となってきます。しかし、今はまだ電池の劣化に関しては解明途中であるため、色々な企業、大学で劣化を研究している状態です。そのため、私も、蓄電池の劣化を研究して、そこから寿命の予測を行う事で、将来的に蓄電池がより長期間使用でき、日本の抱えているエネルギー問題の解消へ一歩でも近づけたら、と考え、研究をしています。

理工学部は男性が多いですが?

確かに男性は非常に多いですが、気付けば6年間が過ぎていたような状態なので、学生生活でとりわけ困ったことはあまりないと思います。ただ、男子校出身者の学生も数人いたため、その学生たちと最初に打ち解けるのに少し時間が必要だったことはありましたが・・・(笑) 研究に関しても、私の研究室は各々でテーマを与えられて研究を行うため、男女平等だとは思います。困ったことと言えば、女性がいなさすぎて(学科に1人だったので)、ファッションであったり、メイクであったり、お店の情報であったり、という女性ならではの情報が一切入ってこない状態だったので、自分でそういった情報を積極的に収集していかなければ、男性化してしまいそうな環境だった、ということくらいですね。あえて言えば、そういったことに対して、あまり気を遣いすぎないでいいという点はメリットになるのかもしれませんが。
基本的に、私も負けん気が強い性格なので、そういったことも功を奏して、同期とは常に対等の関係を維持することが出来ていますし、毎日の生活を楽しく過ごすことが出来ています。 補足をする形にはなりますが、最近は、学科が新しくなったこともあり、私の所属していた学科でも、女子学生が増えている傾向にあります。なので、入学をしても一人だけ、というような状況にはあまりならないと思いますが、相変わらず、女性は少ないみたいですね(笑)

将来の目標は?

将来の目標は、日本という国において「誰もが夢を持って、それを追いかけていける」ような社会を実現することです。昔から、日本はものづくりに支えられ、ずっと発展をしてきました。SonyやPanasonic、Sharp、日立など、今ではとても有名な企業でも、最初はとても小さな会社で、それでも「日本をもっと豊かな国にするんだ!」という思いで、必死に技術を磨き、様々な製品を世の中に送り出し、成長をしてきました。しかし、そういった企業でも、今は業績が伸び悩み、赤字を出し続けている企業も多くあります。日本を支えてきた企業の業績が上がらなくなってしまうと、不景気になってしまい、やりたいことがあっても、中々それに踏み出せなくなる人が増えてしまいます。特に理系の学部は学費も高く、経済的に進学が難しい人も少なからずいると思います。これからの日本においては、このような問題を解決していかなくてはなりません。

私個人としては、昔も今も、やはりものづくりをしている企業が日本を支えていると思っていて、そういった企業の製品やサービスが国内、海外問わずに売れるようになり、それで、日本という国が豊かになることで、世の中の景気が良くなり、自分自身の夢を追いかけられるようになる人が増えるのではないかと思っています。日本を支える企業の後姿を見て、「日本を支える企業ってカッコいいな!」「将来、こんな製品やサービスを作りたい!」と思って、将来を歩んでいける人が増えたらいいな、と感じていて、そのため、世の中に革新をもたらすような製品やサービスが増えるようにしていきたいと思っています。

最後に、理系死亡の女性に一言

高校生の頃から理系のクラスに所属していたということもあり、理系ということに対しては全く不安ではありませんでした。しかし、新しい環境に対しての不安はありました。入学当初は下宿を始めたり、新しい友達を作ったり、サークル団体に所属したりと目まぐるしく生活環境が変わりました。下宿では、今までしたことのなかった掃除・洗濯・料理などの家事を自分で行い、自立という喜びを味わいつつ、親のありがたさを感じました。新しい友達は、学科ごとに30人ほどのクラスがいくつかつくられてすごく友達のつくりやすい環境でした。また、英語のクラスでは学科を超えたクラス編成がされるので、交友関係も多岐に渡ると思います。サークル団体はフットサル団体とボランティア活動を行う団体に所属しました。学年や大学、国を超えての交流があり、一気に視野が広がりました。
立命館大学はサークル団体の活動が盛んで沢山の団体があるので、気になったらとにかく参加して自分に合うかどうかを体感した方がいいと思います。 何かに対して不安に感じるということは、それがどういうものか分からないからだと思います。その不安を払拭するためには、まずは知ることが大切かなと思います。。