インタビュー

Q&A

Profile

交通マネジメント工学研究室に所属し、京阪神地域の交通行動の変化をその属性 ごとに把握し、予測する研究を行なう。

理工学研究科 環境都市専攻所属安井 さや香

理工学研究科 環境都市専攻所属 安井 さや香
理系を志望した理由は?

水を中心とした環境保全に関わりたいと思ったからです。私は高校入学まで自然豊かな森の中に住んでおり、その自然をずっと残していきたいという想いを持ちました。野生動物がいつも近くにおり、木の実や野イチゴを採ったりして常に自然に触れていました。自然の中でも特に、生命を支える「水」に興味を持ちました。
中学生の頃、英語の教材を通してレイチェル・カーソン(※)の存在を知り、女性でも科学者として活躍されている姿に憧れました。中学生の頃から科学が好きだったこともあり、科学者として水質保全に関わりたいと思うようになりました。本を読むことや英語でコミュニケーションをとることなども好きだったのですが、理系にもそれらの能力は求められることなので、無駄にはならないと考えました。そして、何よりも自分が興味のある分野が理系だったため、理系を志望しました。
私の所属していた学科では、琵琶湖を教材とした学習が出来ると知り受験を決めました。琵琶湖の環境を体系的に学びながら、多岐に渡る環境に関する学びを行うことが出来ました。座学だけでは十分ではないと考え、環境保全を行うNPO団体にも所属し、環境保全活動も行いました。得た知識が経験とリンクすると、勉強も環境保全活動も楽しくなりました。

※『沈黙の春』の作者

入学前に不安はありませんでしたか?

高校生の頃から理系のクラスに所属していたということもあり、理系ということに対しては全く不安ではありませんでした。しかし、新しい環境に対しての不安はありました。入学当初は下宿を始めたり、新しい友達を作ったり、サークル団体に所属したりと目まぐるしく生活環境が変わりました。下宿では、今までしたことのなかった掃除・洗濯・料理などの家事を自分で行い、自立という喜びを味わいつつ、親のありがたさを感じました。新しい友達は、学科ごとに30人ほどのクラスがいくつかつくられてすごく友達のつくりやすい環境でした。また、英語のクラスでは学科を超えたクラス編成がされるので、交友関係も多岐に渡ると思います。サークル団体はフットサル団体とボランティア活動を行う団体に所属しました。学年や大学、国を超えての交流があり、一気に視野が広がりました。立命館大学はサークル団体の活動が盛んで沢山の団体があるので、気になったらとにかく参加して自分に合うかどうかを体感した方がいいと思います。
何かに対して不安に感じるということは、それがどういうものか分からないからだと思います。その不安を払拭するためには、まずは知ることが大切かなと思います。

どんな研究・活動をしていますか?

研究では京阪神地域の交通行動の変化をその属性ごとに把握し、予測を行っています。この研究によって、将来の地域ごとや交通手段ごとの需要を把握することが出来ます。
私は大学入学当初に関心のあった水質保全に関わる研究はしていません。大学での様々な人との出会いや経験による自分の価値観の変化や、より深く自分を理解した結果、大学入学当初に思い描いていた進路とは全く違う道に進んでいます。今、まだ自分の進路が決められていない、自分が何を好きか分からないといった人もいると思います。そういう人は、とにかく今自分が少しでも興味のあることにチャレンジしてみてください。そうすれば、今まで見えてこなかったものが見えてきます。私のようにはっきりとやりたいことが決まっていても、変わる人もいます。それは悪いことではなく、自分が成長し、より自分を理解し社会を理解した結果だと考えています。10年後、全く違う分野に身を置いているかもしれません。(笑)またそれも楽しい人生かなと思います。

研究以外では、JICA(国際協力機構)からの申請を受けて、留学生の学校生活全般のお手伝いをしています。研究に関わることだけでなく、日本での生活で不便がないか気にかけたり、時々数名の留学生を連れて観光に行ったりしています。留学生を通して宗教や文化の違いを学ばせてもらっています。

理工学部は男性が多いですが?

多いです。ただ、高校時代から男性が多い環境だったので、私は違和感など全くありませんでした。理系に進学する女性はそのような環境に慣れている方が多いのではないでしょうか?女性が少ない分、女性同士の結束は強い気がします。男性が多いということでいうと、化学の講義でふと周りを見ると私以外の出席者30人以上全てが男性だったことがありました。それまでは数割は女性が周囲にいる状況ばかりでしたので、その時は少し驚きました。しかし、理系にも女性は増えていますし、サークルなどでは文系の学生と関わる機会も多いと思うので、そんなに気にする必要はないと思います。
また、大学には男女だけでなく、国籍や人種、宗教など多様な属性を持った人々がいます。違いに過敏になるよりは、そんな違いを違いと感じないくらいの寛容さや理解力が必要になってくるかなと思います。そうすれば、どんな状況に置かれても物怖じすることなくいられると思います。
女性が多い利点としては、お手洗いで並ぶことがないということでしょうか。その様に、自分が置かれている環境の利点や特異性を楽しんでみてもいいかも知れません。そうやって見方を変えると違ったものが見えてくるものだと思います。

将来の目標は?

より多くの人にものを通して幸せを届けることです。住んでいる場所に関係なく人々にものを届けることで、より多くの人に幸せになってもらえればと思っています。
卒業後は外資系の企業間物流を行う会社に就職します。実務を通して物流のノウハウを学び、自らシステム構築等に貢献出来ればと思います。ある程度経験を積んだ後は、海外プロジェクトにも挑戦したいと考えています。日本の様にインフラの整った国だけではなく、発展途上国などの様々な地域の制約条件下での物流構築に関われたら素敵だなと思います。自分の経験値を上げるだけでなく、そうしたインフラ等が未整備の地域こそ状況に応じた最適な物流が必要とされていると考えています。
その後は、今の時点ではまだ夢物語ですが、国連世界食糧計画に関わる仕事が出来ればと思っています。人間が生きていく上で、食糧の確保は最重要だと思うからです。また、世界中で起こっている悲惨な出来事を、どこか他人事として捉えては生きていきたくないと思いました。食糧配給を通して、災害や紛争などで飢餓状態にある人たちに最低限ではあるものの、幸せを届けられればと思います。紛争や災害などで飢餓に陥る人を少しでも減らすことが出来ればと思います。

最後に、理系死亡の女性に一言

自分の興味のあること、好きなことに素直であって欲しいと思います。
周囲の環境や、他人の意見のせいにせず、自分の信じた道を進んでください!
苦しいこともあると思いますが、きっと素敵な人生になると思います。