2021.10.08

「スポ健卒業生の現在の挑戦』vol.2 ~選手自身が考えられるチームづくりと適切なトレーニングの知識を通じて、甲子園出場に挑戦~」



2020年にスポ健は10周年を迎え、スポ健で学び成長した卒業生が様々な分野で活躍しています

そんな卒業生たちに「現在の挑戦、Challenge your mind. Change our future.」をインタビューしました。第2回は教員として生徒指導を行なう傍ら、甲子園出場に向け、野球部監督として活動している西純平さんにお話しを伺いました。

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選手自身が考えられるチームづくりと適切なトレーニングの知識を通じて、甲子園出場に挑戦

効果的なトレーニングを通じて、部員たちと一緒に甲子園で勝てるチームづくりをしています


Q:現在のお仕事について教えてください。

現在は北嵯峨高校の保健体育科の教員として働いています。また、野球部の監督として、大学院で研究を行なった適切で効果的なトレーニングを通じて、甲子園で勝てるチームを目指しています。

 

Q:高校教員を目指したきっかけはなんだったのでしょう?

大きく2つの理由があります。1つ目は高校時代の担任の先生の影響。もうひとつはずっと続けていた野球に関わる仕事をしたいと考えたからです。

1つ目の高校時代の担任の先生は、生徒に寄り添うことのできる先生で、私自身とても救われた経験があります。私が高校3年生のとき、学校全体がショックを受けるような出来事があり、クラス全体にも落ち込んだ雰囲気がありました。そんな中で、生徒に寄り添ってくれる先生の姿や声かけを見て、そんな先生に憧れを抱きました。

2つ目は、野球部の監督として、選手と一緒に甲子園へ行きたいという想いからです。私は大学時代も野球部に所属していて、卒業後はプロや社会人チームでのプレイを目指していました。ですが、3回生の時にコーチから当時の実力では難しいと告げられました。野球を通じて多くのことを学んできた一方で、悔しい思いもたくさんしてきたので、同じ野球をする高校生の力になり、一緒に甲子園に行きたいという新たな目標を立てて、高校教員という仕事を選びました。


Q:現在「高校野球部監督」という夢を実現し、甲子園で勝てるチームを目指す挑戦権を得た、その要因はなんでしたか?

大学院で効果的なトレーニングについて学んだことです。

大学院では主にはコーチングを通じた野球の指導法や、トレーニング科学、スポーツ栄養学などを学びました。他学部からの進学だったこともあり、基礎研究を学ぶために、学部生の授業もたくさん聴講しました。同期生の中で一番学部生の授業を受けていたと思います。

 

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自分自身の悔しかった経験から、自分に足りなかった正しい知識と効果的なトレーニングを学び、

それが現在のチームづくりにも役立っています


Q:大学、大学院時代の熱中していたことはなんでしょうか?

大学時代はとにかく野球です。メンバーに選ばれるために、独学でトレーニングや体作りについて勉強して、4年間活動してきました。また、教師の道も考えていたので、部活と両立して教職の授業にも力を入れて取り組んでいました。

 

Q:大学院へ進学したのはなぜですか?

適切なトレーニング方法を学び、自分のように悔しい思いをする選手を減らしたいと考えたからです。

先ほどもお話しした通り、野球部に所属していました。選手として「うまくなりたい」とトレーニングを重ねてきましたが、結果がついてきませんでした。自分が監督になったときに選手達に同じ想いをして欲しくなかったので、適切で効果的なトレーニングについて調べるうちに、スポーツ健康科学研究科に行きつきました。

それまでの経緯と大学院進学を考えていることを学部事務室の方へ伝えたところ、海老先生や岡本先生、佐久間先生とお話をする機会をいただきました。先生方は他学部だった私にも、何時間もひざを突き合わせてお話をしてくださり、コーチング学や心理学、さまざまな視点のお話を聞くことができました。それを通じて、自分のトレーニング方法が間違っていたことに気づき、大学院で適切なトレーニングやコーチングについて学ぶことを決意しました。

 

Q:大学・大学院での学びは現在どのように活きていますか?

適切で効果的なトレーニングやコーチングの知識はもちろん、自分はまだ多くのことを「知らない」ということを知り、今も学び続けることを大切にするという考え方が獲得できました。大学時代は、野球部でたくさん悔しい経験しましたが、そのおかげで自分が学ぶべき目標を見つけることができました。そして大学院での学びは知らないことや発見の連続でした。それは野球指導に関わることや栄養学についても然りです。また、理論に基づいた知識や知性といった知の力を信じられるようになりました。現在も、自分自身が学び続けようという意欲を持つ原動力になっています。

 

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「指導する」からチームを「一緒につくる」ことに挑戦しています


Q:現在の挑戦についてお聞かせください

もちろん甲子園で勝つチームづくりです。そのための新たな取り組みとして、部員との関わり方を変えることに挑戦しています。具体的には監督の一方的な指示・指導によって選手を動かすチームから、選手が自ら考えて行動できるチームを目指しています。そのために、選手一人ひとりがどんな目的意識・目標を持ちながら過ごしているのか、自分やチームの状態をどのように考えているかを面談で話しながら、自分の考えや取りたい行動に自ら気づき、行動できる支援をしています。こうしたことを通じて、実力はあるのに自信のない寡黙だった選手が、他のチームメイトに積極的に声かけをするようになる変化などを見ることができています。

私自身がどんなチーム・どんな選手にしたいか、だけではなく、選手達がどんなチームに属し、どのように勝ち進むチームを思い描いているのかを聞き取りながら私との考えをすり合わせる作業を行っています。ただ、言葉でいうよりもずっと難しいことなので、選手達の多様性に応えられるように、私自身も心理学など、新たな学びに取り組んでいます。


最後に在学生にメッセージをお願いします

今、熱中している活動にガムシャラに取り組んでみましょう。私の場合、その活動の中で感じた挫折や悔しさの先に、自分が取り組んでいきたいテーマを見つけることができました。大学院生のころ、佐久間先生にも「劣等感はすべての原動力」という言葉をかけられたのを覚えています。本気で喜び、本気で悔しがれる、今目の前で自分が熱中できることを大切にしてください。

 

 

▼卒業生プロフィール:

西純平

京都市の高等学校保健体育科教諭。教員として生徒指導を行なう傍ら、甲子園出場に向け、野球部監督として活動している。立命館大学産業社会学部メディア専攻卒業後、同校スポーツ健康科学研究科へ進学。同研究科では、野球指導に関するコーチングを研究。

※インタビュー及びプロフィールは、取材をした20211月時点の内容です。