Global Business Strategy

Ryoji NAKAGAWA's World 中川涼司の世界

現代中国の経済と社会に関する情報収集のページ

3ページ

WTO(世界貿易機関、中国語では世界貿易組織)と中国

1.WTOそのものについて

(1)マラケシュ協定

まずはなんといってもウルグアイラウンドの最終合意であり、WTOの設立協定であるマラケシュ協定です。中国だけに関わるものではありませんが、基本文書なので紹介しておきます。

日本語と英語の対訳

外務省経済局監修『世界貿易機関(WTO)を設立するマラケシュ協定』日本国際問題研究所、第2刷1997年、7961円

 

中国語と英語の対訳

対外貿易経済合作部国際経貿関係司/関貿総協定上海研究中心編<<烏拉圭回合多辺貿易談判結果最後文件(中英文対照)>>法律出版社、1995年、135

 

(2)池田美智子『ガットからWTOへ−貿易摩擦の現代史』ちくま新書、1996年、680円。

簡潔にわかりやすく紹介がされています。14〜19ページでは中国のWTO加盟が説明されています。

(3)三井物産貿易経済研究所『WTO 日本経済はどう変わるか』日本能率協会マネジメントセンター、1995年、2000円

165〜173ページでは中国のWTO加盟についての説明があります。

(4)WTOのHP(http://www.wto.org

大変よく整備されていますので、一度ご覧ください。

なお、WTO FOCUS(WTO発行の雑誌です)の閲覧にはADOBEのAcrobat Reader が必要です。WTOに提出された各種文書の閲覧にはさらにWordperfectという日本ではまったくおなじみではないワープロソフトの文書形式を読めるものが必要です。小生はDrag and Viewというのを使っています。もっとも、よほど関心があるか直接にご関係があるかでない限り、これは読む必要はないと思います。

 

2.中国のWTO加盟についての総説的なもの

日本語

(1)池田美智子、前掲書

(2)三井物産貿易経済研究所、前掲書

(3)菱田雅晴「ガット加盟の政治経済学〜中国にとっての“外圧”」毛里和子編『現代中国論3 市場経済化の中の中国』日本国際問題研究所,1995年,232〜268ページ

(4)菱田雅晴「中国のWTO加盟」(藤本昭編著『中国経済の軟着陸』日本貿易振興会,1997年所収)

(5)秋山憲治「中国のWTO加盟と米中通商関係」拓殖大学海外研究所『海外事情』1997年7・8月

(6)通商産業省通商政策局編『2000年版 不公正貿易白書〜WTOから見た主要国の貿易政策〜』通商産業調査会、2000年 補論  

(7)「特集:中国の市場開放とWTOへの加盟」『日中経協ジャーナル』1998年12月号

   横田高明「WTO加盟交渉の進展と成果」

   美甘哲秀「WTO加盟に向けての課題と今後の展望」

   柯隆「金融市場開放のための金融制度改革と市場の構築」

   細井定博「中国における運輸業の対外開放」

(8)大橋英夫「朱鎔基訪米と米中経済関係―WTO加盟をめぐって」『日中経協ジャーナル』1999年6月号

 

中国語書籍

(1)厖栄謙<<中国参与世界多辺貿易体制問題>>徐賢権・黙里・G・史密斯主編<<中国与世界貿易組織ー現実与対策>>中国対外経済貿易出版社、1996年、15元

(2)蔡文国<<関於中国関貿総協定及世界貿易組織成員国地位的歴史与法律問題>>同上書

(3)任泉編著<<中国加入世界貿易組織知識問答>>当代世界出版社、1997年、15.8元、第3編<<中国参加烏拉圭回合談判、中国復関併成為世界貿易組織締約方問題>>

(4)薛栄久<<世貿組織与中国大経貿発展>>対外経済貿易大学出版社、1997年、29元 、第十二章<<中国従“復関”到“入世”>>以下第二十章まで

(5)尤先迅<<世界貿易組織法>>立信会計出版社、1997年、20.8元、第十一章<<中国与世界貿易組織>>

 

中国語雑誌論文

1<<中国加入世貿組織首席談判代表龍永図先生在世貿組織首届部長会議大会上的発言 19961212日於新加坡>><<国際貿易問題>>1997年第1

龍永図は対外貿易経済合作部部長助理でWTO加盟問題では中国を代表しています。 1996年の第1回閣僚会議ではオブザーバーとしての発言が許されました。このスピーチは、WTOはGATTと違って多くの発展途上国を包括したもので、かつ、WTOはあくまで自発的参加を原則としてものであるから急ぎすぎた自由化を求めるのは誤りである、ときっぱり言い切った明解なものです。英語はWTOのHP上にあります。

(2)龍永図<<中国申請加入WTO是一個偉大的歴史進程>><<国際商務研究>>1997368

龍永図の上海での講演。世界最大の計画経済国家が多角的貿易体制に入るというのは歴史的な発展を画すものであって、それゆえ10年というのは必ずしも長いとはいえないとし、WTO加盟は中国が世界経済に溶け込む穏当な環境を作るものと理解すべき、としています。

(3)慮進勇<<従<与貿易有関的投資措施協議(TRIMs)>到<多辺投資協議(MAI)>ー兼論中国利用外資政策法規的調整和完善>><<国際貿易問題>>1997年第2期

国際直接投資についての協定であるTRIM協定(GATT第3条に反する現地調達規制等その他投資関係についてさらに詳しく規定したもの)からみて中国の対外投資制度の問題点を探っています。

(4)孫維炎<<世界貿易組織国民待遇原則与中国対外経貿発展>><<国際貿易問題 >>1997年第2

GATT/WTOの重要な原則である内国民待遇(中国語では国民待遇)の中国における到達点と課題を丁寧に検討したものです。

(5)Renato Ruggiero,"China and the world trading system"WTO FOCUS,May 1997

WTO事務局長が北京大学にて行った講演。中国のWTO加盟への問題を指摘しつつも、中国が多角的貿易体制の外にいたままでは世界経済に悪影響を及ぼすことは必至でだ れもそのようなことは望まない、と主張したものです。

(6)劉光渓<<魚与熊掌ー簡析我国加入“経済聯合国”久tuo1不決的代価>><<国際貿易>>1998年第1期

劉光渓は経貿大学世貿組織研究会秘書長。GATTへの「復帰」申請から10年もの間それが引き伸ばされてきたことの政治的・経済的代価を論じています。

 

3.サービス分野

WTOがGATTから前進した一つにサービス分野を大きく包括したことがあります。注目される分野であり、自分の研究領域にも関連するので紹介します。中国についてまともに触れたものに限ります。

1)「サービスの貿易に関する一般協定」(General Agreement on Trade in Services:GATS、服務貿易総協定)外務省経済局監修、前掲書、対外貿易経済合作部国際経貿関係司/関貿総協定上海研究中心編、前掲書所収。

マラケシュ協定の付属文書−Bです。サービス貿易はこれで基本ルールが定められました。なお、ウルグアイラウンドでは積み残しになった自然人の移動、航空運送、金融、海上運送、電気通信、基本電気通信については、さらに付属書が作られて、問題の先送りがされています。

(2)隆国強等編著<<中国服務貿易>>中信出版社、1995年、13.5

少し古くなりましたが、中国のサービス分野の貿易・投資の問題をよくまとめています。

(3)薛栄久、前掲書第十六章<<“入世”与中国服務業的対外開放>>

(4)蔡文国<<烏拉圭回合貿易談判後的中国和服務貿易>>徐賢権・黙里・G・史密斯主編、前掲書所収

(5)薛栄久・張漢林<<論中国服務業対外開放>><<国際貿易問題>>1997年第2期

(6)史燕平・胡寧峰<<中国金融市場的開放戦略>><<国際貿易問題>>1997年第2期

(7)陶礼明<<融入国際社会的必然的要求ー全球金融服務貿易協議対世界及我国経済的影響>><<国際貿易>>1998年第1期

陶礼明は中国銀行国際金融研究所所長。

(8)黄海<<徐徐開啓的流通領域大門ー服務貿易協議対我国商業的影響>><<国際貿易>>1998年第1期

黄海は国内貿易部政策法規司司長(日本の局長に相当)。

(9)胡盈之<<群雄逐鹿的世界電信市場ー世界貿易組織的基礎電信談判>><<国際貿易>>1996年第8期

10)張漢林・張海平<<偉大的推進器ー世貿組織基礎電信服務自由化談判協議及減譲表分析>><<国際貿易>>1997年第8期

11)中川涼司「中国のWTO加盟と電気通信事業の市場開放問題」『阪南論集 社会科学編』第33巻第2号、1997年9月

12)中川涼司「中国のWTO加盟と電気通信市場開放問題」『ジェトロ 中国経済』1998年4月号

13)中川涼司「中国のWTO加盟とサービス貿易分野」『阪南論集 社会科学編』第34巻第1号、1998年6月(脱稿済み)

恥ずかしながら拙稿もあげておきます。

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1998.4.9作成、以降随時小幅修正、2000.4.14移転修正