佐藤満HomePage] [「政策科学と政治過程論」目次

はじめに


 本稿の課題は、政策科学に対する政治学の、とりわけ、政治過程論の寄与するところは何であるのか、を探ることにある。本号の編集方針が、それぞれ固有の研究領域を持つ研究者が政策科学という新しい学問領域を視野に入れつつ、それとの関係で自らの領域を相対的に位置付けて見ることを狙っている以上、本稿の課題は上記のようなものにならざるをえないが、もとよりこの課題は与えられた紙数の中で展開できるようなものでないことはもちろん、筆者の力量からいってもとうてい無理な注文ではある。
 そこで、本稿では、近年、政治過程論が政策に注目することで、「政策過程」(1)という新たな切り口を見つけているが、この動きについて簡単に触れて見たい。「政治過程」が「政策過程」にかわることで、政治過程論はどのように豊かになり、そういう新しい見方を獲得した政治過程論はいかなる意味で政策科学に貢献するのか、を検討する(2)

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