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2008年度研究会報告

第2回(2008.6.27)

テーマ 明治前期における文部省の政策課題
報告者 藤野 真挙(文学研究科)
報告の要旨

本報告は、明治初期の文部省の政策課題を捉えるために、学制発布直後(1872年)から教育令発布期(1879年)に行われた地方学事巡視の記録を分析した。全国に派出された文部官吏らは、地方の教育施策担当官らと協議・連絡しつつ、民衆に対して学制の掲げた理念の啓蒙に努めていた。そこで彼等が最も重視していたのが、民衆の「自治心」の涵養であった。報告では、政府の財源不足から消極的に採用された教育費受益者負担の原則が、「自治心」喚起のための方法や指標として積極的に読み替えられていったことを指摘した。また、彼等のいう「自治心」の意味するところは、”中央の施策に積極的に取り組む姿勢”であり、明治初期においては、そのような姿勢を民衆に喚起させることによってしか政策の正当性を担保しえなかったと分析した。さらに「自治心」喚起の政策を採用することで、公権力を監督権力として規定せざるを得なかったため、国家が民衆を教化し得るための”介入権力としの公権力”を論理的に導出することが、次なる課題として浮上してくることを指摘し、報告を終えた。

藤野 真挙

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