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09.26

PEOPLE

2023

中本ゼミ釜山フィールドスタディ2023に参加して


1 フィールドスタディ参加の動機

ゼミでアメリカ経済やGAFAについて勉強するなかで、当たり前といえば当たり前のことなのだが、各国の企業や人の行動、政府の動きはそれぞれの国の歴史や文化に深く根差していていることを痛感した。ある国の経済を知るためには、その国の歴史や文化の理解が不可欠だ。今回のフィールドスタディは、隣国ではあるが海を隔だてた韓国の文化や生活、産業の違いを肌で感じることができる良い機会だと思い参加した。
 また私自身はじめての海外旅行であったので、これまで習ってきた英語や韓国の知識がどれほど役立つか、それを試そうというのも一つの動機であった。
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写真左:坂上さん 

2 フィールドスタディの内容

今回の韓国フィールドスタディは、創造産業や歴史的地区を活かした町づくりを実際に見ることが主な目的である。事前に私たちは、韓国や釜山市の概況、創造経済、カムチョン文化村などについて、分担してZoomにてプレゼンを行った。
 私たちが見学したのは、釜山市博物館、海洋博物館、カムチョン文化村、国連軍墓地公園、国際市場、映画通り、P-arkであった。ここでは、そのすべてについて書くことはできないので、釜山市博物館とカムチョン文化村、そしてP-arkについて述べる。
 釜山博物館では、縄文時代の石器や壺から戦中のヘルメットや旗にいたるまで、様々なものが展示されている。日本史の資料集で見たことのあるものが多く展示されており、渡来人などの行き来を想像しつつ、朝鮮半島と日本の歴史の共有を体感した。
230926nakamoto 6釜山市博物館

 カムチョン村は、もともとは急こう配の山の上に朝鮮戦争の際に北朝鮮から逃げてきた人たちが「掘っ建て小屋」を建てて住んだところである。水道もなく、共同井戸や天水に頼るほかなかった。現在でも細い通路と小さな家が密集している。しかし1980年代半ばから安い賃貸料を頼りに若い芸術家が入ってきて、密集した家をカラフルにペインティングして、村自体を大きな絵画作品とした。いまではカムチョン文化村と称され、釜山の代表的な観光名所となっている。私たちが訪れたときも多くの観光客でにぎわっていた。過去の負の遺産に価値を生み出し、賑わいのある地域の資産に転換したという意味で、創造地域(Creative district)の創出に成功した例と言える。しかし、賑わっている裏には簡素な作りの小さな家々が密集しており、私はこの地域の高齢化と貧困を感じた。

230926nakamoto 7カムチョン文化村

230926nakamoto 8カムチョン文化村の旧共同井戸-重い瓶の水を運んだ(壁画参照)

 創造的な町作りのもう一つの見学先は、P-arkと呼ばれる釜山港に面した4階建ての大きな複合施設である。もともとは造船のための大きな鉄工所があった場所を鉄工所の閉鎖に伴い、地元のクリエーターを呼び込む施設として開設したものである。新作のお菓子作りの店や地元のクリエーターの創作による焼き物や雑貨の販売店、デザイナーによるアパレル制作、カフェなどがあった。4階は壁がなく港が全面的に見える絶景を売りにしており、いわゆるインスタ映えするスポットである。来訪者の大半は若者であり、インスタグラムを利用した集客施設だと感じた。ただし、平日だったせいか来訪客はそう多くはなかった。

【参加者の一人である二ッ矢陽翔君のミニ報告】
ここで参加者の1人である二ッ矢陽翔が国連軍墓地公園と国際市場について報告する。まず国連軍墓地公園について。国連軍墓地公園は、世界で唯一の国連連合記念墓地であり、1950年から1953年まで勃発した朝鮮戦争に国連軍として参加した韓国の兵士を含め、世界21ヵ国の戦士が祭られている場所である。しかし、墓地といっても草花がたくさん植えてあったり、地元の人々が運動や散歩していたりと、地元の人々の憩いのスポットでもあると感じた。祖国にまだ帰れていない戦士がたくさんいると知り、戦争の悲惨さを改めて知ることができた。

230926nakamoto 9国連軍墓地公園 

国際市場について。国際市場は、生活用品や衣料品、食品、電化製品、化粧品などほとんどの物が揃っており、国際市場に行けばなんでも買えてしまうと感じる程、店の数が多い。ご当地グルメが味わえる露天の店も充実しており、日本で味わうことのできない本場のキンパやトッポギを食べることができた。

230926nakamoto 10国際市場                                                       

3 現地雑感

現地での移動手段はチャーターしたマクロバスとタクシー。タクシー料金は10kmあたり日本のタクシーの4分の1程度で、料金をそれほど気にせず移動することができた。
 食事は現地の個人経営のお店に入った。韓国では単品で頼んだはずが、頼んだものに加えて、キムチや漬物、スープなどが付いて出てきた。これらは食事に不可欠なものということだ。唐辛子などを使った辛いものが多くあり、味付けから提供されるものまでさまざまな違いを実感した。青い唐辛子を食べた学生が、このことを「痛感」した。
 自由時間には、国際マーケットにも行った。日本では狭い商店街の真ん中では通行の妨げにならないように、物を売ったり買ったりする人はいないが、釜山では日中にはなかった移動式の屋台が夜には現れて、商店街の歩道の真ん中、しかも両脇に飲食店があるにもかかわらず営業をしていた。また大きな歩行者専用の道の真ん中にも屋台が多く出ており、夜には大変賑わっていた。日本では見ることのできない光景であり、商習慣や規制の違いを感じた。
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釜山映画通り
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BBQ

 4 今回のフィールドスタディで得たもの―何人かの感想

①私は韓国の留学生で、コロナ禍のため日本に来れず、ゼミには最初はZoomで参加していた。日本に来て対面でゼミに参加するようになっても、ほかのゼミ生となかなか打ち解けることができなかった。でもこの海外研修旅行で、短期間であったが濃密な時間を過ごしたことで、ほかのゼミ生との距離はぐんと縮まった(Ryu Hochang)。
②現地に実際に行ってみてわかることが多かった。「百聞は一見に如かず」(秋田隼之介)。
③研修によって異文化に触れ、グローバルな視野を広げることができた(川島大拓)。
④初めての海外。今まで身近に触れられなかった文化や歴史を知ることができた(二ツ矢陽翔)。
⑤初めての海外旅行。文化の違いを、身をもって経験できた貴重な機会だった(中村楓長)。

文責:坂上 力


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