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2016/11/03 産業技術総合研究所 保原浩明先生にご自身のキャリアを話して頂きました。


大学院の前期課程では、高度な「研究力」と「発信力」の習得のために、自らの研究分野だけでなく、隣接する分野の理解も深めて総合的、学際的にアイデアを練る力を養っていきます。その過程では、卒業後のキャリアパス、将来の展望について考え、具体的なイメージを固めていくことも重要となります。

そのようなキャリア形成を支援する科目として、大学院前期課程1回生の必修科目に『スポーツ健康科学キャリアプロジェクト』があります。この授業では、自らの将来のキャリアを見通すために、①キャリアについて自ら学ぶ、②ゲストスピーカーのキャリアを参照する、③自らの研究を話す、④10年後のキャリアをGROWモデルにまとめる、ということを行っています。

今回は、ゲストスピーカーのお話を聴き、整理し、自らのキャリアの参考にする、という②の実践のため、産業技術総合研究所の保原浩明先生をお招きして、ご自身のキャリアについてのお話をうかがいました。

保原先生は、早稲田大学大学院博士後期課程を修了後、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、日本学術振興会特別研究員(PD)、メリーランド大学カレッジパーク校を経て、現在は産業技術総合研究所にて義足アスリートの動作解析の研究などに取り組んでおられます。現時点で40本以上の英語論文、60件以上の国際学会発表、そして2013年には国際バイオメカニクス学会より日本人初のPromising Young Scientist Awardを受賞されるなどの国内外での数々の受賞歴に代表されるように、名実ともに世界をリードする研究者です。

スポーツ科学、そして研究者の道を志したきっかけに始まり、大学院博士課程にて取り組まれた「身体運動における下肢のバネ的な振る舞い」に着目した研究と、国立障害者リハビリテーションセンター研究所にて取り組まれた「下肢切断者の義足リハビリテーション」に関する研究を複合する形で、現在の「スポーツ用義足の研究」につながっている事、そして「既存の価値を覆し、新たな価値を創る」事を目指して研究を進めておられる事をお話し頂きました。

お話の中では、今までのキャリア、その過程での気持ち・思考の変化など、失敗談も含めて赤裸々に語って頂き、「研究には紆余曲折がつきもので、失敗を怖がらなくてもいい」という事、「今やりたい事、好きな事を楽しみながらやる」事と「将来に対してビジョンを持つ事」を両立する事の重要性、「好きな事をやる事が、エネルギー源になる」事、そして(自分の専門、使用できる研究設備などに)「こだわらない」事の重要性などを熱く語って頂き、大学院生の今後のキャリア形成にとって非常に刺激的で印象に残る授業となりました。