研究科紹介Introduction

履修モデル

履修モデル(博士課程前期課程)

科目
区分
授業科目 配当
年次
履修モデル
経営・イノベーション
マネジメント
地域・多文化共生
マネジメント
福祉・健康
マネジメント
基礎
科目
食マネジメント特論 1年次(春)
(必須)

(必須)

(必須)
ミクロ経済学特論
マクロ経済学特論
統計学特論
経営組織特論
会計学特論
マーケティング特論
食総合特論
基礎科目修了要件単位(8単位以上) 10 8 8
展開
科目
A群 産業組織特論 1年次(秋)
行動経済学特論
国際経済学特論
食料経済学特論
ファイナンス特論
経営戦略特論
サービスマネジメント特論
食のリスクマネジメント特論
商品開発特論Ⅰ
商品開発特論Ⅱ
展開科目A群修了要件単位(8単位以上) 12 8 10
B群 食の地理学特論 1年次(春)
食の歴史学特論 1年次(春)
比較食文化特論 1年次(秋)
食の社会学特論 1年次(秋)
フードクリティーク特論 1年次(秋)
食の公共政策特論 1年次(秋)
健康マネジメント特論 1年次(春)
食と認知科学特論 1年次(春)
4 8 8
研究
演習
研究演習Ⅰ 1年次(春)
研究演習Ⅱ 1年次(秋)
研究演習Ⅲ 2年次(春)
研究演習Ⅳ 2年次(秋)
(必須)

(必須)

(必須)
研究演習修了要件単位(6単位以上) 8 8 8
その他 アカデミックイングリッシュ 1年次(春)
食マネジメント実践特論 1年次(秋)
0 2 2

●の箇所は2年次での受講を推奨する

3つの社会課題への挑戦

(1)食に対する経営・イノベーション

近い将来、人口減、高齢化が進み、食料品へのアクセス、日常の食生活をどうするかは最も重要な社会問題の一つです。食関連企業(食品製造業、流通小売業、外食・中食産業等)には、これらの社会問題への対応を事業にとり込む、持続可能なソリューション型のビジネスの組み立てが必要となります。単なる製品・サービスづくりではなく、人々が自らの生活実態に即して現実的に食生活をマネジメントできるように、生活者に寄り添い、社会性と倫理観をもって、製品・サービスづくり、地域デザインに関与していく事業の創生が急務である。事業に従事する人材不足も表面化するため、日常の食生活を軸に、地域の人々も参画できるボトムアップ型の生活・地域づくりのデザイナーが必要となるでしょう。

そのためには、社会経済の動きを学び、地域を知り、生活者を知ること、すなわち生活者のニーズを知ることは不便や不安を知ることであり、不便を解決するために本当に必要なものは何かを探求することが求められ、これがマーケティングの先端になると考えられます。加えてビジネスの用語を知り、それを使って議論し、自身の提案をできる能力が必要とされるでしょう。

このような課題を解決したいと考える人は、実践的なマネジメント能力の向上のために、ミクロ経済学特論や経営組織特論、そして会計学特論等を修得したうえで、マネジメント能力をさらに伸ばすために、産業組織特論や経営戦略特論等を、そして食に関わる知見を伸ばすために商品開発特論や食の歴史学特論等を修得します。その上で応用面も想定した研究としての修士論文を提出します。このような研究活動を行うことで、食関連企業(食品製造業、流通小売業、外食・中食産業等)において、持続可能な課題ソリューション型のビジネスを組み立て、消費者のニーズや諸事業での課題を正確に把握し、新製品・サービスづくり、そのための組織づくり、地域デザインに関与し、新事業の創生、それに各種事業の改善を行うことができる人材を目指します。

(2)食を通した地域・サスティナビリティと多文化共生

人口減少のなかで地域の生活、経済、コミュニティの持続性を確保する手立てが重要になっています。農漁業を地域コミュニティで支える(CSA: Community Supported Agriculture)一方、創意的で能力の高い若手経営者が地域を支える可能性も生まれています。地域経済と自然環境をリンクさせて分析・評価し、小規模な生業(なりわい)を含めて、環境負荷のない持続可能な農水産業の経営、地域内連携事業をマネジメントできる能力、地域コミュニティと新住民をコーディネイトする能力が求められています。また、地域の自然環境から生み出され、地域社会の歴史や文化に裏付けられた地域伝統食品や食ビジネスで、地域経済の振興を図るために、産品の品質保持、生産者組織の組織力の向上、消費者の市場における認知や選好の経済学的な分析が期待されています。

都市地域においても高齢化のなかで、食を通した地域の生活や経済循環の改善が社会課題となります。食は、行動規範や文化を通して共同体に深く関わり、食の行為は人々や社会のアイデンティティに深く結びついており、食を通した相互理解は多文化共生の重要な側面となりつつあります。外国人就労者を迎え入れ、世界レベルの多文化が共生できる社会をつくることも含まれます。歴史的なまた現在の食を通して自らの文化を問い直す理論的枠組みを構築するとともに、多様な文化や宗教に対応できるコミュニケーションの能力が求められます。農業や食産業は外国人の主な就労先でもあり、海外開発援助と連携して、実りある真の研修システムを生み出すことはこれからの日本社会にとって大きな意味をもちます。そのため、本研究科では国際的な業務に関わる実務者やそれを希望する者等も受け入れます。その知識の習得については、マネジメント能力を身につけるために、マクロ経済学特論や統計学特論を学んだ上で、さらに発展的に国際経済学特論や食料経済学特論を、そして食の知見を身につけるべく食の公共政策特論や比較食文化特論等を修得します。これらの知見を複合して研究活動を行ったうえで、修士論文を執筆します。このような研究活動を行うことで、経済や文化がグローバル化に向き合わなければならない現代、地域経済、自然環境、地域の食文化を分析・評価し、世界の多様な経済活動や食文化も含めて、グローカル、すなわち地球規模の視野を持ちながら、地域視点でも行動でき、地域独自の文化を生業として維持しながら、一方で多文化共生の事業ができるグローカル人材を目します。

(3)食を通した福祉・健康コーディネーション

今後急速な高齢化が進むと、高齢者が自律的に食を通して健康を維持し、社会活動も継続でき、充実した生活を送ることのできる社会が目指されます。そのためには、人々の食習慣や意思決定の特性を把握し、それに即した情報提供の方法を検討することが求められる。また、地域の食環境を整えることが必要であり、福祉施設だけでなく、食品事業者、流通事業者が提供する食品や食事の質を考慮し、供給システムを確立するなどのサービスの貢献は大きく、社会的市場となります。子どもたちの食環境の悪化も指摘されており、家庭を支え、地域で見守るには、学校と地域コミュニティとの連携が望まれます。自治体、福祉施設、病院の管理栄養士、学校の栄養教諭や自治体職員らが連携して、こうした地域の食と健康のコーディネーションを進めることの役割が大きくなります。

このような知識の習得を希望する人は、マネジメント能力の向上のために、ミクロ経済学特論や統計学特論等を身につけ、さらには行動経済学特論や食のリスクマネジメント特論、それに食の社会学特論や健康マネジメント特論等を修得し、これらの知識と研究活動により得られた知見を修士論文として纏めます。このような研究活動を行うことで、家庭、高齢者、子ども、それに地域における食環境の改善のために、人々や地域の食習慣や意思決定の特性と健康との関係を把握する。食品事業者、流通事業者が提供する食品や家庭での食事の質の向上のために、自治体、福祉施設、病院・学校が連携できるように地域の食と健康コーディネーションを進めることができる人材を目指します。