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リサーチ・トリップ4クラス合同報告会を開催しました

公務研究科では、例年、地域の行政機関や、NPOなどの地域社会を訪れ、ヒアリング調査を実施しています(本研究科ではリサーチ・トリップと呼んでいます)。地域が今、抱えている問題は何か、またこの問題に対して、地域がどのように挑戦しているかを知ることは、本研究科が掲げるカリキュラム・ポリシーである「政策力」と「現場」感覚を養うのに直結すると考えるからです。

本年は、4つのグループが次のテーマを掲げてリサーチ・トリップを行いました。

               観光資源の「発掘」と活用 ──鳥取県庁および境港市の取り組み

               平成の大合併から10年 ──合併は高山市にどのような効果をもたらしたのか

               創造する過疎 ──徳島県神山町・旧木頭村の挑戦

               豊岡市の「小さな世界都市」戦略 ──コウノトリ育むお米・城崎国際アートセンター・インバウンド政策

各グループの研究成果を共有するため、2017104日(水)に合同報告会を実施致しました。学生は、事前学習と調査のギャップに力点を置いた研究報告を行いました。学生を中心とする活発な質疑応答に続き、公務の職務経験をもつ教員から、行政の行動様式など具体的なエピソードを交えた講評がありました。

合同報告会の後半は、「四事例を通して見える地域社会・地方行政の今」と題し、ディスカッションを行いました。四事例を通してみることで、官と民の関係(境界線)の問い直し、地域ネットワークを支える中心的人物の存在が浮かび上がってきました。

本研究科の運営を担ってきた水口憲人教授は、リサーチ・トリップを通して、社会科学的想像力を養い、問題意識を磨き、地域の問題を発見して下さい、とまとめられました。このメッセージは、古川貞二郎本学客員教授(元内閣官房副長官)が、以前、本研究科シンポジウムにおいておっしゃられた「政策の向こう側にいる人の顔を想像することが大切です」という言葉に呼応するものです。本研究科の考える公務人材の姿は、これらの言葉に濃縮されています。学生がこれらの言葉を胸に刻み、立派な公務人材として活躍してくれることを教員一同、楽しみにしています。

リサーチ・トリップや合同報告会によって、学生が発見した問いのすべてに、答えが出たわけではありません。むしろ大きなクエッションが、私たちに課せられました。残された問いは、学生各人が、修士論文やリサーチ・ペーパーにおいて答えてくれるでしょう。また、本研究科は、シンポジウムなどを通して、こうした問いへの答えを探し、学知を社会に還元いたします (本年度のシンポジウムは、神山町の創造する過疎のキーパーソンである大南信也氏をお招きし、また、地方自治を専門に研究をしてこられた加茂利男教授にご登壇頂き、引き続き議論をおこないます。2018114日(日曜日)13:30開始。立命館大学朱雀キャンパス。詳細は、本ウェブサイトにて追ってご案内致します)。公務研究科の挑戦はまだまだ続きます。