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井上紗佑里氏(NHK)、山下正晃氏(高知新聞)をお招きして、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました

2018年6月13日(水)、朱雀キャンパス(307教室)に、NHK報道局ディレクターの井上紗佑里氏と高知新聞編集局記者の山下正晃氏をゲスト講師としてお迎えし、オープン・リサーチプロジェクトを開催しました。

両氏は、「地域」、「地方」に密着した取材経験をもっておられます。そこで、地域におけるメディアの役割は何か、あるいはメディアにとって公共とは何か、を主題に、お話をしていただきました。また、お二人とも公務研究科を修了したOB・OGであり、公務研究科で学んだことが、取材や報道の現場でどのように活きているのかについてもお話し下さいました。

山下氏は、人口減少をはじめとする、高知県を取り巻く厳しい現況をまとめた上で、地方新聞だからこそ伝えられること、伝えなければいけないことがあると力を込めます。私たちが普段、目にしない食品衛生監視員の活躍や、黒潮町で早朝サーフィンをする小学生など、具体的な記事や豊富な取材経験を織り交ぜながら、どのように工夫すれば、県民に、高知という地域の素晴らしさや、それを支える人々を伝えられるのか、絶えず考えているとお話し下さいました。

続く井上氏は、2011年3月12日に震災を受けた長野県栄村、2016年の軽井沢スキーバス転落事故などを報道した経験をもとに、公共放送としての使命を語って下さいました。公共放送は「誰のために、何のために、どのように」を問い続ける連続である、と井上氏は言います。そして、取材経験を通してあらためてわかったことは、一つの事件や社会問題が、実に、多面的であるということ。だからこそメディアは、事実を取材し、掘り下げ、再構成するにあたって、多角的である必要があると続けました。

公務研究科は、がんがん頭を使うことと、自分の責任で社会について考えることを重視したカリキュラム、授業運営を行ってきました。そして「社会的に有為な人材を育てる」ことに拘ってきました。お二人の活躍は、その見事な実例だと言えます。一人でも多くの院生が彼らの後に続き、それぞれに課した責任を引き受け、社会で活躍する日が来ることを、教員一同、心から願っています。