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石井正文 駐インドネシア日本国大使とのキャリア・ディスカッション開催

国際関係学部の授業「プロフェッショナル・ワークショップ」では、学生がキャリアの理解を深めることを学習目標に、様々な業種で活躍するゲスト講師をお招きしています。

2020年6月26日の授業では、石井正文 駐インドネシア日本国大使をお迎えし、外交官としてのキャリアについてお話しいただきました。

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ディスカッションはオンラインで実施され、インドネシアの学生が数多く参加。日本、中国、韓国、インド、タイの学生も加わる国際色豊かな授業でした。将来外交官を目指す学生にとっては、現役の大使から直接お話を聞ける貴重な機会となりました。

石井大使は1980年に外務省に入省。アメリカ・イギリス大使館赴任(政務班長)を経て、本省で総合外交政策局審議官、大臣官房地球規模課題審議官、国際法局長を歴任しました。駐ベルギー日本国大使(兼北大西洋条約機構日本政府代表部(NATO代表部)特命全権大使)を2年半務めた後、2017年4月より現職。日本とインドネシアの友好関係のため、地元料理や現地での外交記録を若者向けに発信しているインスタグラムは、フォロワーが14万人を超す人気アカウントです。

授業は、学生の質問に石井大使が答える形式で実施。「外交官に必要な資質」、「ソーシャルメディアが外交に果たす役割」、「外交官になる前に経験しておくべきキャリア」など、多くの質問が寄せられました。

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「良き外交官であるために必要なことは?」という問いに、石井大使は新しい環境に柔軟であることを強調しました。そのために何事にも好奇心旺盛であることが大事だそうです。外交交渉のコツは、一方が得をするゼロサムゲーム型の交渉はできないと理解すべきことだ、と述べました。それは外交に限らず、どの分野の仕事においても大変参考になるアドバイスでした。

「外交官としての礎を築いた経験や、心に残ったお仕事」について聞かれた石井大使は、中東で経験したビジネスマナーの違いに驚いたエピソードを紹介し、相手の行動の背景にあるものを考えることが外交官として欠かせない資質だと答えました。また、日本企業が海外に不正輸出した産業廃棄物の回収を担当した時に経験した現地の人との交流を振り返り、人の役に立つことの大切さ、感謝されることの喜びを知ったと語りました。

最後に石井大使は、大学時代にやっておくべき3つのことをアドバイスしました。一つ目は「歴史を学ぶこと」。新しい環境で人間関係を築くために、その国の歴史的背景を理解することが大いに役立ったそうです。二つ目は「ロジカルなコミュニケーションができること」。相手の信用を得るには、ブレない判断基準を持ち、一貫した内容を話せることが必要だからです。三つ目は、「友人を作ること」。数は少なくても構わないので、良き友人を作り人生を豊かにしてほしい、と結びました。

ディスカッションの間、人間は「チャーミング」であることが大切だと語った石井大使。その言葉を実践し、人とのつながりを大切にする石井大使の貴重な経験から、学生はキャリア学習の域を超えた深い学びを得ていました。