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今回のインタビューでは、2008年4月の開設に向け準備を進めている生命科学部・薬学部設置委員会事務局長の久保幹教授に、学部開設による学部生への影響や、その経緯について、詳しくお話を伺いました!

生命科学部・薬学部設置委員会
事務局長
久保 幹
理工学部化学生物工学科教授

ライフサイエンス分野の融合

新しく生命科学部・薬学部2つの学部の設置を目指されていますが、その経緯を教えてください。

新学部は2008年の開設を目指し準備を進めていますが、実はこの構想は2004年から始まっていました。2004年から全国の教育機関を調査し、ライフサイエンスに関する学びが各分野において分散し、体系的に学べていない実状が多いことが分かりました。ライフサイエンス分野は多くの領域と関わりの多い分野です。急速に発展する科学技術に対応し、理工学部・情報理工学部を中心に教育・研究を進め、幅広い学びの土壌を培ってきた立命館大学であれば、この分野を体系付けて学ぶことができると考え、開設に向けて動き出すことになりました。

 

この2学部が開設されることにより、特にびわこ・くさつキャンパス(BKC)にどのような影響があるのでしょうか?

立命館大学ではBKC拡充移転を契機として、1994年理工学部に化学を基盤とした生物工学科(現在の化学生物工学科)を立ち上げました。また、2004年には情報理工学部の開設に伴い、生命情報学科を新設しており、理工学部の応用化学科を含めるとライフサイエンス系の展開において、すでに一定の基盤が存在します。これらに加えて新たに医学系・薬学系領域が加わることにより、これまで以上に迫力があり、より魅力的な教育・研究拠点が形成されると考えています。

 

新学部の特徴を教えてください。

新学部の特徴は「融合型ライフサイエンス教育・研究」へのチャレンジということです。新学部では教学融合や産学融合を目指します。教学融合では、学科の枠を超えて幅広くライフサイエンスを学んでいくカリキュラムを構築していきます。また、文系・理系の学生の枠を超えて全ての人が知っておくべきライフサイエンスについての知識を、他学部で新学部の専門の先生が授業を行うなどが考えられます。産学融合では、企業の研究室を大学内に設けるなどして学生の教育に参加してもらい、企業マインドを学生に伝えてもらうといったことを考えています。

これまでにも、企業から共同研究への資金提供を受けるなどといったことは行われてきましたが、新学部ではさらに深く「連携」・「融合」することで、人的な繋がりを深めることを目標としているのです。こうした考え方は日本でも初めての試みなので、他大学のモデルとなり、一般化されるような取り組みとなれるよう努力していきたいですね。

 

いくつかの大学と協定を結ばれていますが、どのような取り組みをされるのですか?

現在、関西医科大学[リンク→ Headline News]と滋賀医科大学[リンク→ Ritsumeikan News]と学術に関する協定を締結しています。医師免許や医学博士号を持った教授を招くことで、教授間の新たな交流が生まれ、また学生同士が両大学を行き来して講義を受けることで、お互いに足りない分野を補い合うことができます。

基礎をきっちり

新設だけではなく、既存の学科も新学部へ移設・新展開される予定ですが、どのように変化するのですか?

環境の面では、施設の増設ですね。現在ある研究施設に、模擬薬局や動物実験用の施設、薬草園といった設備を整備する必要があります。カリキュラムの面では、まず各学科に共通する基礎的な科目や実験は、学科の区別なく統一して行います。今まで知らなかった領域について知る機会を増やし、自分の専門以外についても知識を持ってほしいからです。また、人数の上限や規制は設けますが、研究室についても学科の枠を超えて、自由に選べるようにします。

 

学ぶ範囲が広すぎると、専門性が薄れてしまわないでしょうか?

確かに学ぶ科目が多すぎると、内容が散漫になり、身につきません。そこで、科目を精選しクラス数を増やすことで、ある程度選択できる余地を残しながら、必要な科目は必ず学べるようにしたいと思います。もちろん実験も同じです。また、科目名にも工夫を凝らし、何を学ぶのか、学生にとってわかりやすいようにしました。

 

卒業した後の進路にはどのような可能性があるのでしょうか?

各学科それぞれの特性を活かした進路が考えられます[リンク→想定する進路就職先]。さらに、多角的な面からライフサイエンスについて学ぶため、病院経営など他分野への就職の幅も広がります。薬学部については、6年制のカリキュラムを終えた後に、大学院へ進学する、もしくは薬剤師や製薬会社の研究職に就くことが考えられます。また、附属校である立命館守山高校を卒業した学生には、生命科学部入学から5年で修士号を取得できる「ファスト・トラック制」の導入を検討しています。


目指すはわくわくする大学

新学部の将来像を教えてください。

まずは、ライフサイエンス分野での立命館大学の存在を強くしたいですね。また、こうして新しい取り組みをすることで、在学生への刺激になればとも思います。新学部ができることで、既存の学部にも新しい学びの広がりができます。それを活かすことで、幅広い見聞を持ち、自分の専門分野についての知識に特化し、かつ総合力のある人材が育っていくことを願います。

 

学生へのメッセージをお願いします。

ライフサイエンス分野についての学びは、新学部が責任を持って展開していきます。学生のみなさんには、新学部を一緒に育てていってほしいと思います。学生の力あっての大学ですから。今も活発に行われているオリター活動やイベント、交流会を通して、新学部と共に立命館大学をさらに盛り上げていってほしいと思います。

生命科学部・薬学部ホームページ
取材・文 酒井まり穂(理工学部4回生)
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