太古の歴史が刻まれたが指し示す
未来の

#001
総合科学技術研究機構 教授
古気候学研究センター センター長
中川 毅[写真右]
総合科学技術研究機構 准教授
古気候学研究センター 副センター長
北場 育子[写真左]

 地球の温度は、今後100年間に最高で5℃近く上昇するという予測があります。「未来について考える上で、過去に起こった気候変動を調べることは欠かせない」そう考えて、福井県のの底からを採集しました。

 長い年月をかけて湖などに積み重なったの土の層を「」といいます。全部で98mもある堆積物のうち、年縞がある上部45mは直近の7万年分に相当します。年縞の1年分はわずか0.6mm~0.7mm。その一枚一枚を数え上げ、さらに含まれる放射性炭素濃度測定することで年代を決定しました。誤差は1万年でわずか29年。世界一正確な「年代ものさし」です。

 年縞の中の火山灰や粘土などは噴火や地震、台風の跡です。花粉を分析すると当時生えていた植物の種類が分かり、そこから気候も分かります。すると、1万5000年前に急激な温度上昇が起こっていたことが分かりました。この氷河期末期に起こった気候変動と、現在の気候変動は、スピードや規模に似た部分があります。また大阪湾での調査では、宇宙から到達する放射線の量も、気候に影響することがわかりました。

 湖の底に眠っていた数万年の過去から、そしてはるか遠く宇宙から、未来を予想するという壮大な研究です。

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