文化のと変容
仏教美術のダイナミズムをする

#002
文学部 教授西林 孝浩

 のお話で有名な『西』で、おを求めて中国からインドまで旅をするのは、でしたね。彼は、歴史上実在した人物で、という名前です。7世紀に、インドのナーランダーで仏教を学びました。上の写真はインドのナーランダー寺院にある7世紀の仏像です。やがて、玄奘は中国に帰るのですが、その時、インドの仏像も持ち帰りました。すると、中国では、ナーランダー寺院の仏像のような、腰をひねったポーズで、彫りの深い顔立ちをした、インド風の仏像が次々と造られるようになりました。当時の中国の人々が、「インドの仏像って、カッコイイ!」と思ったのでしょうね。

 左上の写真は、中国のにある5世紀の大仏です。大仏の周りに、炎の表現が見えますね。これをと言います。背中に板を表すのが普通の光背なのですが、中国の4~6世紀頃の多くの仏像は、光背が、炎のようになります。右上の写真は、中国で古くから知られている、西という天の神様です。この西王母の周りには、雲があります。中国では、天の神様の世界は、このように雲があるものだと信じられていました。中国に仏教や仏像が伝わってくるのは、今から2000年ほど前のことです。中国で仏像を作る時、炎のように、周りに何か模様のあった方が、中国の人々にとっては、見慣れた天の神様と似ていて、安心できたようです。

 このように、中国の仏像を研究してみると、インド的なものや、中国的なもの、色んな文化を読み解くことが出来て、とても面白いものなのです。

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