災害時の意思決定を見える化する
ゲーミング・シミュレーション

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政策科学部 准教授豊田 祐輔

 2011年、タイで発生した大規模な洪水によって、世界遺産アユタヤ遺跡は水没してしまいました。以前から何度も浸水していたアユタヤ市では、応急的な土のを設置したのですが、市場に集まる商店主たちが「市場の面積が狭まり、商売に支障をきたす」と壊してしまったのです。これは地域において行政と住民が「リスク」を共有し、リスク対応について「合意」するためのコミュニケーションが不足していたと言えます。

 であるゲームの世界で災害を体験し、安全にリスクをできるように開発されたのがこの「ゲーミング・シミュレーション」です。アユタヤ島での洪水を再現し、商店主役のプレーヤーと市長役のプレーヤーなどが互いの思いやリスクを話し合い、防災のための行動をとり、洪水をれることができるのか、それとも防災対策を取らずに浸水し、多大な損害をこうむることになるのか。それぞれのシナリオをたどって、どのような判断や行動をとるべきだったのかを仮想世界で振り返ることができるのが「ゲーミング・シミュレーション」のメリットです。

 ゲームで体験することによって、住民と行政の相互理解がすすみ、住民自身も地域の防災を考えるようになります。それが災害対応力の向上につながると考えています。

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