世界初、震源を直接観測し、
地震発生のメカニズムに迫る

#071
理工学部 教授 小笠原 宏

 南アフリカは、ラグビーだけでなく地震研究でも日本ととても強いつながりがあります。120年以上の歴史を持つ金鉱山は、南アフリカを支える大切な役割を果たしています。しかし、地下4kmに迫る深さでも採掘が行われ始め、すぐ近くで発生する地震で、十数万人の坑内労働者がとても困っています。南アフリカでは採掘をより安全にすることは非常に重要です。一方、日本も地震被害国です。しかし、震源が深すぎるため、すぐ近くで地震を詳しく調べることができません。

 アパルトヘイト(白人以外の人種を差別する制度)が終わった後、両国が、地震の理解を深め災害を低減させるための共同研究を始めました。2010~2015年にはJICAと南アフリカ政府の間の二国間共同研究に発展しました。2015~2019年には、ユネスコに関係がある国際機関から支援をもらい、ドイツ・アメリカ・スイスなどとの共同研究につながりました。そして、地震発生帯に到達する掘削に成功しました。今は、地震の研究者だけでなく、地球誕生直後や火星の地下深くで、微生物活動があるに違いないと考える研究者も参加しています。地震や生命の謎が明かになるかも知れません。

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