中国は「責任ある大国」たりえるか?

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グローバル教養学部 准教授廣野 美和

 今日中国がPKO(平和維持活動)に派遣する隊員数は国連常任理事国の中で最も多く、資金面でのもアメリカに次いで第二位と、心強い存在になっています。一方で、環境の持続可能性や現地の雇用を必ずしも重視しない開発の方法が国際社会から批判されることも多々あります。中国がPKOおよび人道支援を行った紛争・災害地域に住む人々がどのように認識しているのか調査しました。

 カンボジアでは国から追放された元国王を北京に迎え、亡命に協力したことへの評価が高く、ほとんどの人が「中国は責任ある大国だ」と答えました。ネパールでは、大地震の時に、インドからを断たれていた石油を、中国がチベット国境側から届けたことに対して極めて高い評価があることが分かりました。このように政治や周辺国との関係といった本来とは別の事が「責任ある大国」であるといわれることも明らかになりました。

 近年では発展途上国においても環境保全や持続可能性に対する認識が高まっています。と呼ばれる新しいビジネス構想を推し進める中国にとって、「責任ある大国」として現地の人々の認識は無視できないものになるでしょう。

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