外国人観光客向けの飲食ビジネス
――カギを握る食のタブーへの対応――

#076
食マネジメント学部 教授阿良田 麻里子

 世界の約三分の一の人は、によって食べてはいけないもの、食のタブーをもっています。タブーやアレルギーのある人も、いろいろなおいしい物を食べたい気持ちは同じです。ですから飲食産業では、だれもが食べられないものを避けながら自由に食べ物を選ぶことができるようにする必要があります。

 同じ宗教でも人によって考え方は違います。豚のタブーといっても、豚肉やハムを避ければよいとする人もいれば、豚のエキスや脂も避ける人、豚を原料にした添加物まで気にする人、豚肉と同じ施設や道具を使うことまで避ける人もいます。国も違えば慣れ親しんだ食べ物も違い、食べたい物も違います。一つの特別食ですませてしまうことはできません。

 そこで大切なのが「情報開示」です。「のから揚げ」のようにおもな食材と調理法を示した「メニュー情報」だけでなく、サラダに少し入れたハムや揚げ油や調味料などの情報もわかる「材料表示」が必要なのです。表や絵を使っておもなタブー食材をわかりやすく表示したり、タブー食材のない料理を集めた抜き刷りメニューを作ったりすれば、外国の人も簡単に自分で選べるようになるでしょう。

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