農業から農村社会と
自然環境の持続可能性を問う

#099
国際関係学部 准教授雨河 祐一郎

 農業の(将来に渡っても持続・発展できること)を追求することは、農村社会や自然環境の持続可能性について考えることにがります。1960年代以降、タイでは農薬や化学肥料を大量投入することで農作物の生産量は増えましたが、それらの高い費用は生産者を苦しめ、農薬による健康被害や環境汚染なども問題になりました。その結果、農家や消費者だけでなく国の政策課題としても、持続的農業(資源や環境を守りながら続けられる農業)がげられました。そして同国では、1997年に有機認証を取得した農産物をEU市場へ輸出できるようになり、農薬に頼らない農業は広がりました。しかし、良い品質を保つことは難しく、それのみで生計を立てられる農家は多くありませんでした。

 また、タイにはQ-GAPと呼ばれる食料の安全性を示す基準があります。これは1990年代後半に民間業者が中心となって西ヨーロッパで作られ、現在では世界共通の基準となっている「グローバルGAP」に倣い、タイ政府が独自に開発した公営の「適正農業GAP)」です。その導入は2004年から行われてきました。しかし、輸出を伴わない生産地では特に、生産者のGAPについて理解が及ばず、その効果を発揮できていません。今後も持続可能な未来を実現するために、農業が抱える課題について考えていくことが大切です。

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