鉱物資源やエネルギー資源の持続的な確保は人類にとって重要な課題の一つであり、様々な分野の研究者が解決策を模索しています。ただそれは単純ではなく、例えば画期的な資源のリサイクル技術を開発できても、その技術を生かすためにコストの低減や普及政策も必要になります。
この研究では、TMR(製品をつくるために必要な資源を採掘量で計算するもの)から「資源パラドックス問題」と称して衝撃的な問題を提起しています。従来のガソリン自動車1台あたりのTMRは、鉄や銅など約20tであるのに対し、それらに加えてニッケルやリチウムが必要となるハイブリッド車は50t、さらに電気自動車は70~120tもの資源採掘量が必要なのです。
こうした課題の解決策として、廃棄物に含まれる資源のリサイクルに着目しています。使用済みリチウムイオン電池からコバルトを抽出したり、鉄鋼スラグに含まれるリンを低コストでリサイクルする方法を探ったり、マイクロ波を活用してリサイクル効率を上げたり有用な物質を抽出する装置を開発したりと、あらゆる手段を尽くして資源問題の解決に努めています。