再生可能エネルギーの普及を後押しする
ダイナミックプライシングの可能性

#105
経済学部 教授島田 幸司

 太陽の光で電気をつくる太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天気に左右されるため不安定だと考える人は多いでしょう。しかし、この不安定さを逆手にとったアイデアで、自然エネルギーもうまく活用することができます。2011年の東日本大震災で原子力発電所事故を経験し、再生可能エネルギーの重要性は増していますが、「安定供給の難しさ」や「お金がかかる」などの理由から、なかなか広まりません。この課題を解決するためには、人々の考え方や行動を変える必要があります。

 この研究では、太陽光発電を使う実験で、天気によって変わる電気代(差し引き)ポイントを設定し、残ったポイントは現金と交換できる仕組みを作りました。その結果、天気が良い(ポイントの減額が少ない)日は電気を使い、雨やくもり(ポイントの減額が多い)日はあまり電気を使わないことで、全体としての電力使用量も減ったことが分かりました。これまでは、真夏のお昼など電気をよく使う時間の節電が一般的でしたが、今回の実験では太陽光発電量が増えるときに電気を使い、発電量が少ない時に節電をします。この逆転の発想で、再生可能エネルギー問題は解決につながるかもしれません。

ボタンを押していろんな研究を見てみよう