縄文時代から
現代の人口問題を見つめ直す

#104
立命館グローバル・イノベーション研究機構 助教中村 大

 写真の両手を合わせた土偶は、約3500年前の縄文時代の村の跡から発見されました。この村の住民や近所の人びとも集い土偶の祭りが開催されたことでしょう。人間は集団で生活を営みます。住み続けられるむらづくり、まちづくりのためには、食べ物など生活を支える経済システムだけでなく、争いごとを防ぎ仲良く暮らしていくための人間関係つまり社会システムを作ることも必要です。これは数千年前の縄文時代のような小規模な社会でも、現代の日本のような大規模な社会でも同じです。

 そのとき、人口は重要な要素です。人口の規模は経済や社会の仕組みを左右し、その増減は経済や社会に大きな影響を与え、それらを変化させる「ゆらぎ」になるからです。この研究では、住居跡やの数をもとに縄文時代の人口をし、人口の推移と祭りの様子の変化を比較しました。その結果、人口の変動に合わせて祭りも変化することを発見しました。写真の土偶は人口がやや減少した時期に新たに生み出された祭りの道具なのです。現代の日本でも人口減少が進み、社会も変化しつつあります。過去をくことで、人口変動に対応できる社会をつくる手がかりを得られると期待しています。

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