日本の農業を土から変える「微生物」

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生命科学部 教授久保 幹

 自然の土の中には「微生物」がいて、落ち葉や動物の糞などのを分解してくれるので、植物はそれを肥料に育ちます。ところが日本では、世界でもトップを争うほどたくさんの化学肥料や農薬を使っているため、農地の微生物はほとんどいなくなっています。微生物のいない土で育った野菜は栄養素がとても低く、この50年間でニンジンのビタミンAは3分の1に、ホウレンソウのビタミンCは4分の1以下に減っているといわれています。そこで、安全で栄養の高い野菜作りのために、化学肥料や農薬を使わない農業を復活させようと開発したのが、土の豊かさを測る仕組み、〝SOFIX(Soil Fertile Index)〞です。微生物が元気に活動するのに大切な土の中の炭素量と窒素量の比率もつきとめました。

 SOFIXで診断しながら土を改善し、微生物が増えると、化学肥料を使って育てるよりも、栄養価が高く大きな野菜が、たくさん収穫できることが分かりました。全国から依頼を受けて、これまでに4000以上の農地をSOFIXで診断し、どのように改善すればよいか指導しています。SOFIXに基づく農法で育った「SOFIX野菜」が滋賀県のスーパーではすでに店頭に並んでいます。全国に広まる日も近いかもしれません。

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