商品の見えない品質を伝える広告

#042
食マネジメント学部 教授早川 貴

 「広告」とは、製品やサービスの価値を広く世の中に伝えることで、お菓子や飲み物のCMもその1つです。店で売られている食品がおいしいかどうかは、買って食べてみないと判りません。買う人に、買う前には知ることのできない製品の価値や品質を、判りやすく伝える仕組を「品質シグナリング」と言います。「広告」と「ライセンス」(免許、認証など)が、その代表です。有名な食品会社は、大量の広告を「シグナル」として用い、品質の良さを正しく伝えているからこそ、よく知られているとも言えるでしょう。

 さて、食品の中でも特に健康食品には、「トクホ(特定保健用食品)」や「機能性表示食品」のような、ライセンスの制度があります。機能性表示食品は、トクホほど厳しい審査を受けずに登録できるかわりに、ライセンスとしてのシグナル効果がトクホほど強くありません。その弱さを補うのは広告です。機能性表示食品は、広告を上手くできないと、登録前より売れなくなることさえあるようです。

 広告は実は、その量が、内容に関係なく品質をシグナルします。製品の品質が命にかかわる場合もある食品では特に、嘘の無い十分な量の広告が、社会的に求められるのです。

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