実は、人間がいつも見ている「物」に色はありません。本当は、物に当たった光が反射し、見る人がその反射光を「色」と思っているだけなのです。
そこで、人が感じる「明るさ感」を測定する「Feu」という単位を作りました。この「明るさ感」を測るものさしができたことで、より人の感覚に近い照明を作ることができるようになりました。例えば、同じエネルギー量の照明器具でも、床を明るく照らすより壁や天井に間接照明をつける方が「明るさ感」は高くなります。このことから、同じ明るさで省エネを実現することができます。しかし、省エネ照明では、外よりも部屋の中の方が暗いと感じることがあります。これも、外と同じ「明るさ感」に部屋の照明を調節すると、外と中が同じ空間のように感じられます。この感覚を活用すれば、病気などで外出できない人が、部屋にいながら外にいる感覚を味わうことができます。
さらに、色も「明るさ感」に影響すると気づいたことから、誰にとっても見やすい「バリアフリー」の考え方で、色の違いが分からない障がいを持つ人にも役立つ照明の開発を進めています。