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209 -  「防災缶」で「防災」をもっと身近に

「防災缶」で「防災」をもっと身近に

大槻知史さん 2004年立命館大学政策科学研究科博士後期課程修了 博士(政策科学)/立命館大学歴史都市防災研究センター客員研究員、高知大学准教授 (写真:左)
城月雅大さん 2008年立命館大学政策科学研究科博士後期課程修了 博士(政策科学)/立命館大学歴史都市防災研究センター客員研究員、高知大学特任助教 (写真:右)
自動販売機で購入できる防災缶「i BOUSAI(アイボウ)」を開発

  • No.209
  • 2011年2月25日更新
城月さん:
今回、地震などの大規模災害に備えた防災グッズとして、飲料水ボトリングメーカー、製缶会社等の協力を得て防災缶、「i BOUSAI」を開発しました。「防災缶」とは、その名の通り、防災グッズを280mlのスチール缶に入れたもの。今、考案しているのは、美・看・帰・夜の4種類で、それぞれ被災者の状況に合わせた防災グッズが入っています。

大槻さん:
防災缶「i BOUSAI」の魅力はその“身近さ”にあります。非常持ち出し袋などは、いろんな防災グッズがやみくもに詰め込まれている、いわば「防災の福袋」。いざ地震が起きた際に、本当に自分の役に立つのかが分かりにくく、購入拡大につながりませんでした。あるいは、せっかく買ってもタンスの奥で忘れ去られていたり(笑)。そこで、大地震の際の不安なシーンを絞り込んで、必要なグッズだけを詰め合わせたコンパクトな“安心のカプセル“として「i BOUSAI」をつくりました。 

                

城月さん:
「地震の備えをすべきだ!」と主張するのは簡単ですが、それだけでは市民による防災対策は広がっていきません。気軽に防災できるための仕組みや仕かけが必要で、それを準備することが防災の専門家の責任だと思います。「i BOUSAI」は、その第一歩です。
「i BOUSAI」に込めたもう一つの想いが、自動販売機を防災のインフラとして活用できないか、ということです。コンビニエンスストアは全国で4万3千店ほど、自動販売機はなんと265万台もあります。身近に置いてもらう防災グッズを考えた時、これだけ全国各地に網羅されている自動販売機を販売チャネルとして使わない手はないと考えました。海外では、治安上の問題で自動販売機が道ばたに設置されていることはほとんどありません。まさに、日本独自の防災インフラになり得ます。

               

大槻さん:
開発する上で、一番こだわったことは、“ユーザの視点から考えていくこと”。環境配慮商品がこれだけ普及したのは、「地球にやさしい」だけでなく、消費者に魅力的な商品を提供できるようになったからです。同じように、防災商品も「災害時に役立つから買いなさい」では普及しません。だから、ユーザが買ってみたい!暮らしの中に置いておきたい!と思う「防災缶」であるように、デザインに徹底的にこだわりました。

城月さん:
このデザインは、ロンドンを拠点に活動されているグラフィックデザイナーの本田かほりさんのデザインによるものです。「良いデザインは、製品を有用にする」、この原則に基づいて、来る日も来る日も3人でメールやSkype電話でやり取りをしながら、このデザインにたどり着きました。正直、かなり疲弊しましたが(笑)自信作です。

大槻さん:
また、仲間の研究者にも声をかけて、地震の際に何が一番不安かを徹底的に議論して、「かゆいところに手が届く」ように、缶の中身を検討しました。iBOUSAI(アイボウ)という名前も、暮らしの中でユーザに自然に寄り添って、いざという時に頼りになる「相棒」でいたい。という、商品のコンセプトが込められています。

大槻さん 城月さん:
研究分野の中で評価される研究をしたり、論文を書くということは、研究者の仕事としてもちろん大切なことだと思います。しかし、一方でこれからは研究を具体化し、社会に向けて解決策を提案していく必要があると考えています。今回の「防災缶」はその挑戦のひとつ。まだ試作段階のため販売には至っておりませんが、今後商品化に向けて検討を進めていく予定です。「防災缶」をきっかけに「防災意識」が高まり、災害時には一人でも多くの人命が救われることにつながってほしいと願っています。

「商品化に協力したい!」という方がおられましたら、
ぜひ城月(castle@fc.ritsumei.ac.jp)まで連絡をお願いします!

               
●4種類の「防災缶」
「美」・・・女性の安心缶。
     エッセンシャルオイルやLEDライトなどが入っている。
     被災後の状況でも、女性が自分らしくいることを支援する。
「看」・・・カラダの安心缶。
     止血用ガーゼやアルコール消毒綿などが入っている。
     怪我をした際や、避難所に避難した後の体調管理を支援する。
「帰」・・・徒歩帰宅時の安心缶。
     帰宅支援マップやカード型ラジオなどが入っている。
     被災後、職場や学校から徒歩で帰宅する人たちを支援する。
「夜」・・・就寝時の安心缶。
     厚手のソックスや居場所を知らせる笛などが入っている。
     地震発生直後、家から脱出するまでの安全確保を支援する。

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