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489 -  物語を届け続ける、それを望む人・待つ人のもとへ 【前編】

物語を届け続ける、それを望む人・待つ人のもとへ 【前編】

団 士郎 教授 
応用人間科学研究科

  • No.489
  • 2013年2月1日更新
応用人間科学研究科の団 士郎先生は、家族心理カウンセラー、家族療法訓練トレーナー、さらには漫画家・コラムニストとしても活躍をされています。また、東日本大震災以降は本学の復興支援活動の一環として、被災地でのマンガパネル展や講演などを実施されています。


私は、友達の影響で小学6年の時から漫画を描き始めました。大学4年の時、病気療養のため1年留年せざるをえなくなりました。他にすることもなかったので、新聞の読者欄に一コマ漫画を投稿していました。その数点が掲載され、送られてきた謝礼は、当時の大学生にとっては結構な小遣いになりました(笑)。やがて、同じように投稿していた人達と一緒に、紙面に新たに設けられることになった漫画コーナーのレギュラーになりました。
もし自分があの時、健康で就職活動ができる状態であったら、漫画を描いて投稿することはなかったはずです。病気療養中で時間があったからできたことです。だから私は、「何が転じてよい方向に向かうかなんて、分からないものだなぁ」といつも思っています。

大学では、心理学を専攻していました。病気が治った翌年、就職活動もせず、「さて、どうしよう。漫画でも描いて暮らしていこうかなぁ」と漠然と甘いことを考えていたところ、お世話になっていた大学の先生が、就職先を紹介してくださったのです。公務員として児童相談所や知的障がい者相談所の心理職として、対人援助の現場に長く携わりました。
私の信条として、ともに仕事をする仲間は「ザ・ドリフターズ」や「クレイジーキャッツ」のようなチームでありたいと思っていました。メンバーの一人ひとりが個性を発揮し、その後もずっと活躍し続けていますよね。私はチームの仲間が目前の課題に、協力して本気で取り組む。それを通じて互いの能力を高めあっていくことが大切だと考えてきました。

 50歳になった時、安定した管理職の立場よりも、独立の道を選ぶことを決めました。公務員を辞めて「仕事場D・A・N」を立ち上げ、友人、知人には退職の知らせではなく、「FA宣言します!なにかご用命があればどうぞヨロシク!!」と書いた挨拶状を送りました。「プロ野球選手か!」というツッコミも入れられつつ、たくさんの温かい愛情にあふれた電話をもらいました。仕事場に借りたワンルームマンションには、まだ備品は何ひとつなく、腹ばいになって漫画を描くところからのスタートでした。 講演、相談、漫画の連載などを日々こなしつつ、フリーになってから数年が経った頃、立命館大学院・応用人間科学研究科の新設置に伴い、教授としてお誘いをいただきました。できるだけ実務畑に近い人を探しているとのことで、引き受けることにしました。
以来12年にわたり、大学院で家族心理臨床(家族療法)に関する講義をしています。

家族心理臨床で取り組んでいることは、研究ではなく「実践」です。具体的には、人々の抱える問題について、人と場の関係を変化させることで解決に向かうという立場からの実践をしています。職場を例にすると、同僚の人柄や立場は変わらないのに、席替えをしただけで場の雰囲気が変わることがありますよね。家族も関係性を持ったひとつのシステムであるという観点から、状況の変化を試み、結果を出すことを心がけています。
世の中を見てください。事件の多くが家族関係の中で発生しています。「一番危ないのは家族である」(笑)と言っても言い過ぎではないかもしれません。事件が起きてしまってから、原因を探ったり、どうのこうの言うのは野次馬とかわらないのではないかと思っています。ですから問題解決に加えて、大きな事件を起こさない、未然に防ぐという、予防のために家族にできることを探し求めています。

 相談にきた家族が、「(問題のある)このような状況でも、自分達はよくやっている」と思えるようになっていかれこと。これが、家族心理臨床における仕事のやりがいですね。来談者は、もともと自分が持っている力に気づき、それをエネルギーに次第に元気を取り戻していきます。問題がなくなることではなく、家族や夫婦が元気になっていくという結果が大事なのです。

※後編(2月4日公開予定)は、東日本大震災への復興支援活動についてのお話です。


【お知らせ】

●「団士郎家族漫画展」
日時:2013年1月18日(金)~2月18日(月)8:30~20:30
場所:朱雀キャンパス 1Fロビー周り
参加費:無料





●立命館大学朱雀キャンパス公開講座 シネマで学ぶ「人間と社会の現在」
『生き抜く 南三陸町 人々の一年』
ゲスト:井本里士 氏【MBS 毎日放送「VOICE」編集長)
聞き手:団 士郎 教授(立命館大学 応用人間科学研究科)

日時:3月9日(土) 【開演】13:30(開場13:00) 【対談】15:30~16:30
場所:朱雀キャンパス 5F大講義室
鑑賞料:一般600円、立命館大学生・教職員300円、京都シネマ会員300円


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