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525 -  「ふさふさの森」が教えてくれる“空間づくりってこんなに楽しい!!”

「ふさふさの森」が教えてくれる“空間づくりってこんなに楽しい!!”

(左から) 松宮 かおるさん(理工学研究科博士課程後期課程3回生)
吉川剛史さん(理工学研究科博士課程前期課程2回生)
永田 みなみさん(理工学研究科博士課程前期課程2回生)
藤井晴日さん(理工学研究科博士課程前期課程修了 株式会社日建設計シビル)
中辻浩介さん(理工学研究科博士課程前期課程2回生)
清水 慎之介さん(理工学研究科博士課程前期課程2回生)

「第2回子どものまち・いえワークショップ提案コンペ」で最優秀賞を受賞

  • No.525
  • 2013年5月28日更新
「子どものまち・いえワークショップ提案コンペ」とは、学生を対象に、日本建築学会により開催されているコンペです。このコンペでは子どもを対象とした、まちづくりや住環境に関わるワークショップを提案し、最優秀賞に選ばれた企画は、実際にワークショップを開催することができます。2012年6月に開催された第2回コンペでは、立命館大学理工学研究科環境都市専攻チームの「ふさふさの森」が最優秀賞に選ばれ、11月には東京都江戸川区立小松川小学校の体育館で、実際にワークショップを実施しました。

――「ふさふさの森」とは何ですか?また、その名前の由来は?

「ふさふさの森」とは、天井から約1万本のビニールテープが吊るされた状態から、はさみを使って自由に自分の居場所を作ってもらい、空間づくりの楽しさを知ってもらうという企画です。ビニールテープを吊るしたときの透明感や、柔らかく風になびく感じがまさに“ふさふさ”だったので、この言葉を入れようと思いました。そして吊るされたテープが森のイメージに近いこともあり、付いた名前が「ふさふさの森」です。これは無理に決めようと思った訳ではなく、制作が進むにつれて自然についた名前でした。

――「ふさふさの森」のテーマは?

“自分の体に合わせた空間づくり”ですね。一般的な建築では、柱を建てて屋根を掛けるところまで、全ての空間が“足し算”で作られます。でも、ふさふさの森は、最初に無数のテープが吊るされた状態から、人が自由に空間を切り開いていく“引き算”の方式で作られていきます。最初から与えられたものでなく、それぞれの体に合わせた自由な空間づくりを楽しんでもらうことで、子どもの飽きがこないようしました。半透明のテープで仕切られた、ゆるやかな境界の不思議な感覚も味わって欲しいと思いました。 
   

――ワークショップでの子供の反応はどうでしたか?

初めて見るふさふさの森を、下から覗いてみたり、周りをぐるぐる回ったり、興味深そうにしていました。森の中に置く椅子などのアイテムをゲームで取り合った時の盛り上がりは凄かったですね。その後に空間づくりが始まってからは、予想外のアイデアの連続でした。いつの間にか、トライアングルのチャイムが付いた森の玄関が出来ていたり、上からぶら下げた楽器で演奏会が開かれたりしていました。体育館のカーテンを閉めて「夜のふさふさの森」にした時には、ランプを持って演劇を始める子がいたり、机と食器を並べて「居酒屋」を開く子もいましたね。1つのお店が出来ると、お客さんになって集まる子どももいて、グループ同士の交流も自然と生まれました。

誰かが指示した訳でもなく、誰が始めたかも分からないけれど、それぞれの空間が1つになって、人の繋がりが生まれていく。小さなふさふさの森の中に、まちづくりの原点を見たような気がしました。それに、子どもの自発性は凄いな、と改めて思いましたね。結局、終わりの時間が来ても誰も帰ってくれないくらい、最後まで大盛況でした。気付くと、子どもより夢中になっている自分たちもいて、みんなが心から楽しめたワークショップになったと思います。普段、1人で机に向かって設計をすることが多い私たちにとって、自分の作ったものを人に喜んでもらえて本当に嬉しかったです。         
   


――今回の経験を踏まえての感想や、これから挑戦してみたいことは何ですか?

(中辻さん)
今のまちづくりは、経済的な合理性ばかりに目が向いている気がします。でも昔の集落を見れば、もっと自由でみんなが助け合い、みんなに愛される場所だったと思います。昔のように、その土地で育った子どもが大人になっても誇りを持てるようなまちを作りたいと思います。

(吉川さん)
今回の企画は子どもを対象にしていましたが、次は大人の方を対象にしても面白いと思います。個人的には、外部環境をうまく使った公共スペースの設計もしてみたいです。

(清水さん)
自分の作ったもので、たくさんの人に影響を与えていきたいと思うようになりました。そのために「これさえ見れば誰でもアイデアを再現出来る」というような図面を作って広めるようなことをしていきたいですね。

(永田さん)
アイデアを出すだけだと机の上でも出来ますよね。でも実際にやってみると場所や人手が必要だったり、設計通りにいかなかったりして、思い通りにならないことが沢山ありました。立案から制作まで、「ふさふさの森」で全部の行程に関われたことは、貴重な経験になったと思います。

(松宮さん)
今後の課題としては、ふさふさの森の活用方法ですね。実は、ワークショップで使った大量のふさふさが残っているんです(笑)。また同じワークショップを開くとしても、ゴミになってしまうのはもったいないので、終わった後の活用方法も含めて考えていく必要があります。また、今回の企画を実現するにあたり、場所の確保や協力者・資金集め・スケジューリングなど、ワークショップ全体をマネジメントした経験を活かして、現在研究室の後輩たちと進めているプロジェクトにも活かしていきたいと思います。

(藤井さん)
参加してくれた子ども達はもちろん、見学に来られた保護者の方や近隣の方にも楽しんでいただけて、とても嬉しかったです。企画段階では、自分たちが考えたルール・場面展開で子ども達が空間作りを楽しんでくれるか不安で、何度も案を詰め直しました。ですが当日、全く予想していなかった遊びがあちこちで始まり、子ども達の想像力の豊かさに驚かされました。私はこの春卒業して土木設計の仕事に就きました。建築・ランドスケープ・土木の領域を横断しながら、都市づくりに貢献していきたいです。

~取材を終えて~
取材の時こそ「あんなしんどいこともあったな~」と笑って話される場面もありましたが、人・資金・設計などの面で、実現までには相当なエネルギーを費やしたそうです。今はそれぞれ目標をもって、新しいことに挑戦されている皆さん。また別の形で、皆さんのアイデアに出会えることを楽しみにしています。
   


  • 取材・文
  • 山内 快(経営学部3回生)

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