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2017年度 立命館西園寺塾 7月29日講義「タケダのグローバル化への挑戦」を実施しました。

2017年7月29日(土)
 ・13:00~14:30 講義
          講師:武田薬品工業株式会社
                     相談役 長谷川 閑史
 ・14:45~17:00 ディスカッション


【指定文献】
 『マッキンゼーが予測する未来―近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』
                 リチャード・ドッブス 他【著】ダイヤモンド社

 

▼受講した塾生のレポート(Y.N.さん)
 まず、長谷川先生の経営者としてのご覚悟に感銘を受けた。日常生活を律することにおかれても、会社の成長の持続に向けても、非常に強いご意思のもとに、「不退転の決意で実行」されてきたのだと感じた。
指定文献を直接参照されることはなかったが、講義でご紹介いただいたタケダの取り組みは、同書で提起している問題に対する、一つのアプローチを示していただいたと理解した。医薬品産業の状況についても丁寧に教えていただいたので、業界動向とタケダと長谷川先生にとっての問題意識をつなげて感じることができた。

 医薬品産業の状況についてのご説明のなかで、ここ10年の間にプラットフォーム技術が大きくシフトし、創薬元についても、10年足らずの間に製薬企業以外のプレイヤーが半分以上を占めるようになってきたというお話は、衝撃的だった。『マッキンゼーが予測する未来』にある”テクノロジーの変化のスピードと普及”の実例である。その際に「論理的/批判的な分析/検証/考察に基づき戦略立案」を行い、グローバル化と共にM&A戦略を進められたのは、まさに”直観力のリセット”を行ったということだと思う。Cross BorderのM&Aにおいても、テクノロジーの補完だけではなく新興国という成長市場を意識した買収を実施したことも、”破壊的な力を持つ4つのトレンド”の一つへの対応をとられていたということである。

 ディスカッションにおける”直観力のリセット”についての質問に対して、「もがき苦しんで結論を出す」「結論が出てもまた考える」「過去の成功体験ではなく虚心坦懐に見ているかを考える」というお答えをいただいた。それを実践してこられた方のお言葉は、とても説得力があった。

 また、製薬業界はグローバルにフラットな業種であり、「千の技術」と言われるほどの様々な技術が開発されている状況を踏まえ、一社で全てに対応するという発想ではなく、自社でできない(やらない)部分は他社で補完するというお話があった。これは、私の携わる業界にも通じる方向性である。
そのなかでご紹介いただいた、バイオテクやアカデミアと認証試験前のコラボレーションを行い、製薬化ビジネスにつなげるというやり方は、技術開発とビジネスの形として、参考になった。

 「変化の時代に何も変革しないことが最大のリスクテーキング」を自らの命題ととらえ、「変化に懸命」になろうと思った。


 

▼受講した塾生のレポート(T.K.さん)
 前段の講義では、ダーウィンの『⽣物の進化の歴史を⾒ても、最も強いものや最も賢いものが⽣き残った訳ではない。最も変化に懸命だった者、最も環境変化に適応した者が⽣き残った』という⾔葉から始まり、グローバル化/技術⾰新の進展によって加速度的に変化する環境下においては、常に変⾰を起こし続けるのがリーダーの最⼤の役割というお話をいただいた。

 その後、医薬品産業の概況を学んだ。主に莫⼤な研究開発費の負担に耐えるために統合が進んだ経緯や、各種イノベーションにより低分⼦化合物から⽣物学的製剤への基盤技術がシフトしている現状、そして統合を繰り返し、⼤きな研究開発費を捻出している製薬企業が⽣み出す医薬品よりも、ボストン・ケンブリッジに集積しているバイオテク/アカデミア/NPO が⽣み出した医薬品の売上の⽅が⼤きくなっている事実をお聞きしました。この現状認識は、私が所属しているIT 業界と似ている。この10 年間の技術⾰新によって、当初の黎明期を⽀えてきたIT ⼤企業は消滅するか、⼤きく役割を変えてきている。IT 技術も製薬技術と同様に、基本的にはアカデミアの研究の成果、または数名の天才的な技術者によって⽣み出されるものが多く、特⾊のあるベンチャーが⼀点突破で⼤企業に伍することは珍しいことではない。もちろん製薬であれば、物流や製造、各国ごとの規制対応、賠償リスクなどについてはベンチャーでは荷が重いと思われるが、⼤企業としてはこのベンチャーの⼒をどのように⾃陣内に⼊れていくか、が今後もポイントとなるように思う。それがリサーチセンターのような場作りなのか、M&A なのか、様々な⼿法はあるが、⽇本企業の悪い癖である「⾃前主義」を抑えるのは並⼤抵のことではないように思う。⻑⾕川先⽣は事も無げに仰っられたが、相当の勇気を持ったうえで、緻密に活動した結果なのではないかと想像した。

 他の企業とはレベルが異なる武⽥製薬⼯業のグローバル化について、様々な視点でお話をいただいたが、特に後任者の選定プロセスを具体的に聞けたのは⼤きな学びとなった。ヘッドハンダーを使わなかった理由や、①Relocatability ②10 years commitment ③Live up with Takeda-ism という"Gentleman's Agreement"についても、とても実際的で⾃分の腹に落ちたように思う。

 今回のお話をうかがい、製薬業界がグローバル化の是⾮を語っているレベルではなく、グローバル化するのが当然であり、さもないと⽣き残れない、という切迫感が強いことを感じた。そのトップが切迫感を持っていることと、その切迫感をしっかりと伝えていることによって、業界・社員の共通感覚となり、このような⼤きな変⾰を起こせる原動⼒・遂⾏⼒に繋がったのではないかと想像している。私は事前レポートのなかで「この指定文献は⾮常に興味深いものだと感じているが、ここに⽰されている事例や⾒出される⽅向性について、しっかりと⾃分・⾃社の事に置き換えて検討し、次の⽇から⾏動を変え、アクションを起こす社⻑はいるのだろうか」と書きました。未だにその気持ちには変わりはなく「⼤⽅のエグゼクティブは変わらないだろうな」と思う⼀⽅で、⻑⾕川先⽣のように危機感と好奇⼼を持った⽅であれば、このような本を使いこなせるのだろうと思った。他⼈の事を、上から⾔っているばかりでなく、私も学び続けなければならない。プロにはなれませんが、昨年はプログラミングに⼊⾨し、⾃社のプログラマーの⾔うことが少しは分かるようになった。最近はAI や統計が流⾏っていますので、夏休みには”STEM”の1 つ"Mathmatics"を学び直そうと思っている。

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