研究について

about Reserch

私個人の専門分野は建築・都市計画学であるが,当研究室では,建築や都市,地域といった構築環境において多様に生起している空間事象に焦点を当て,空間構造の特性を形態学的あるいは幾何学的な視点から記述・分析・評価する理論や手法の開発を行っている.空間事象をあるひとつの断面から把握し,それらを重層させることによって,構築環境における空間事象を客観的に表現・解明・予測する際の道具立てを提供することを試みている.また,開発した様々な手法を用いた分析によって得られた知見を,今後の建築・都市空間計画に適用するための方途について考究している.

実際の研究対象は,住居などの単体の建築から集落・市街地・都市・地域に至るまで広範な構築環境に及んでいる.また,これまで用いてきた研究手法は,特に,数理形態学や幾何学(計量幾何学・積分幾何学・計算幾何学など)に関連するものが多いが,言語学や記号論,文化人類学や民族学などの分野における人文科学的な手法とともに,数理生態学、計量地理学、オペレーションズリサーチにおける手法なども取り入れ,それらを融合させながら,可能な限り客観的で汎用性のある手法に展開するように心がけてきた。
主な研究内容としては 建築・都市空間の「調査」,「解析」,「実践」に大別される。

1. 建築・都市空間の調査;世界の伝統的住居・集落・都市の調査研究

集落調査は30年以上前から継続して展開している。
1980年頃は、日本各地に残る伝統的家並みの現地調査(約150箇所)を行い、建築形態の背後にある意味や構造を解読・生産する理論の構築を目的として、門内輝行氏(現京都大学教授)とともに記号論的な研究を行った。
日本の家並み調査の後、1990年より、主に東京大学生産技術研究所の藤井明教授とともに,インドネシア・パプアニューギニア・中国・中南米・アフリカ・中東などの地域を対象として、住居・集落・都市の現地調査を継続的に行っている(現在まで約300箇所)。
実測した集落配置図や住居平面図をもとに、自然・社会環境条件と空間構成の対応関係を相互に比較し、住居配列の形態的特性、素材と風土の関連性、空間の意味構造、住居形態の変容、民族や場所に固有な空間形成方法などの観点から、居住文化の特性について実証的な研究を行っている。
→世界の伝統的住居・集落・都市調査履歴

2.建築・都市空間解析:新たな幾何学的指標の開発

建築・都市空間などの構築環境を形成する形態的な要素に着目し、空間特性を記述する数理的指標の開発を行い、現実の事象に適用している。
特に、幾何学的な手法を中心課題として位置づけ、例えば、建物配置の稠密性尺度の導出、隣棟間隔や可視建物数の推計方法、建物間の隙間の計量化とその分布様態の特性考察,室内や街路の開放性指標、都市施設の配置パターンの同定手法と利用者との最近隣距離分布の定式化、異種用途施設間の関連性尺度、グラフ理論における隣接行列の固有ベクトルを用いた特徴抽出方法などを提案してきた。

(1)景観解析
街路景観の複雑性や多様性を計量する情報尺度を提案し、定量的な分析を試みた。また,集落や都市の調査結果をもとに、可視領域の計量やランドマークの定量的・定性的評価も試みている。

(2)流動解析
都市のダイナミックな様相を捉えるために、人や車などの移動に伴う交通現象を対象として数理的な考察を試みた。移動経路のパターンや断面流動量について計量幾何学的モデルを提案し、街路パターン別(格子型・放射環状型・連続平面)の経路長と直線距離の比に基づくコンパクト性の計量化やOD調査に基づく地域内外の結合・集中様態の評価問題,小学校の通学路指定問題,震災時における帰宅困難者と街路上の流動量の推定問題などに適用した。

(3)解析手法
一方、空間解析のツールを開発するためには建築・都市空間情報の処理技術が必要不可欠であり、これまで,特にコンピュータによる図形処理方法に重点をおいて、計算幾何学的な手法の展開を継続している。人口・地価・地形・ネットワークといった通常の空間データ処理方法や画像処理技術はもとより、都市施設や建物配置をポテンシャル図として等値線表記する手法や、施設配置計画におけるVoronoi図構成問題、空地の解析に適用可能な最大空円問題、ネットワーク上の最短路探索問題、多角形の平行閉曲線・被覆・重なり部分の作図法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測方法、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量方法,建物間の隙間量の分布などを対象として研究してきた。
空間解析に際しては効率的なアルゴリズムの開発を目指し、すべて独自でプログラム(FORTRAN・BASIC・C++などの言語)を作成し、GISとCADを融合させた自前の解析システムを構築している。個人・院生の著書・論文はこのシステムを用いて計量・図化している。
また,都市内境内空間の形態特性の研究も新たに開始している.

3.空間計画の理論探求と実践

研究の最終的な目標のひとつは、望ましい構築環境の実現である。まず,地域計画への直接的な適用を意図した実務的な研究として、公共施設や老人福祉施設、ゴミ処理場などの迷惑施設(NIMBY)の最適配置問題を研究してきた。また、施設の位置の最適化法とは別に、人口分布と施設容量を考慮しながら利用圏を適正に分割する方法も提案した。すなわち,施設配置が所与な場合における利用圏や管轄区域の策定方法の問題を取り上げ,配置と分割に関する様々な幾何学的解法を考案してきた.特に、従来のVoronoi分割を建物や公園などの面的な広がりを伴う領域に対して拡張し、かつ、利用者の人口分布と施設容量を考慮した圏域構成問題に展開した.一連の手法を、震災時における広域避難場所の指定区域や小学校区などの圏域構成の適正評価問題に適用した。一連の手法を、駅勢圏や、災害時における広域避難場所の指定区域、小学校区分割問題などに適用し、研究にのみならず地域マスタープランの作成にも適用してきた。
 また,研究成果は機会があるたびに、実際の建築・都市・地域計画において実践している。これまで個人住宅、集合住宅、宿泊施設、商業・業務施設・事務所ビル、工場、病院、学校建築、研究施設などの実際の建築設計や、都市・市街地再開発計画、市町村のマスタープランの作成を手がけ、また、国際設計競技にも参加し、研究成果を生かしながら建築・都市・地域計画の実践を行ってきた。建築構造研究者と共同で新しい構造システムによる建築の実現も目指している。
 近年はサスティナブルシティとしてのコンパクトシティを対象とした研究を継続しており,他の研究者と共に21世紀の都市空間ビジョンの提案に向けて模索中の段階にある.

1。世界の伝統的住居・集落の形態論的考察:インドネシア・パプアニュ?ギニア・南米・アフリカ・イエメンなど、海外の集落の現地調査を継続的に行い、実測した住居の平面図や配置図をもとに、空間構成の原理を相互に比較し、素材と風土の関連性・空間の意味構造・近代化に伴う住居形態の変化・民族や場所に固有な空間形成方法など、居住文化の特性について実証的な研究を行ってきた。
2。街並み・都市景観の分析:日本各地に残る伝統的家並みや現代の街路景観の調査を行い、景観の複雑性や多様性に関する定量的な分析を試みた。近年は、比較的マクロなランドスケープを対象として、可視領域の面積や可視建物数を尺度とした定量的評価手法を提案している。
3。建築・都市空間の形態解析:建築・都市空間を形成する形態的な要素に着目し、空間特性を記述する数理的指標の開発を行い、現実の事象に適用してきた。建物配置の立体的な稠密性尺度の導出や隣棟間隔の推計方法、都市施設の配置パターンの同定手法や異種用途施設間の関連性尺度、グラフ理論を用いた特徴抽出などを提案してきた。
4。都市空間における移動経路と流動量の時空間的把握:都市のダイナミックな様相を捉えるために、人や車などの移動に伴う交通現象を対象として数理的な考察を試みた。移動経路のパターンや断面流動量について計量幾何学的モデルを提案し、OD調査に基づく地域内外の結合・集中様態の評価問題や小学校の通学路指定問題などに適用した。
5。施設配置と圏域分割の手法:地域計画への直接的な適用を意図した研究で、公共施設や老人福祉施設などの最適配置問題や、広域避難場所指定区域、小学校区といった、施設配置に伴う圏域分割問題を扱ってきた。
6。建築・都市空間の情報処理手法:都市施設や建物配置の様態を等高線表示する手法、施設配置計画における地理的最適化問題などの計算幾何学的手法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量などを行いながら、効率的なアルゴリズムの開発をめざしてきた。

 

A.建築・都市空間構成の解析

1.世界の伝統的住居・集落・都市の形態論的考察
過去10年以上に渡り、インドネシア・パプアニュ?ギニア・南米・アフリカ・イエメンなど、海外の伝統的集落の現地調査を継続的に行っている.実測した住居の平面図や配置図をもとに、自然・社会環境条件と空間構成の対応関係を相互に比較し、住居配列の形態的特性、素材と風土の関連性,空間の意味構造,近代化に伴う住居形態の変化,民族や場所に固有な空間形成方法などの視点から、居住文化の特性に関して実証的な研究を行ってきた。
伝統的な集落や住居においては、環境条件の複雑かつ微妙な差異に適応した独創的な空間形成方法が随所にみられ、それらは現代の建築・都市計画にも充分に通用する叡智に富んでいる。今後の居住環境の計画方法を探求するためにも、社会・文化論的な観点も含めてそれらの空間形成方法を体系的に整理し、他の研究者と連携をはかりながら、居住空間形成方法のデータベースを構築することを考えている。
世界の伝統的住居・集落を調査していると、人間は様々な住まい方をしてきたことがわかります。しかし、いわゆる近代化の波がいたるところに押し寄せてきて、居住形態にも地域的な差異が希薄になってきています。この傾向は住居だけではなく、都市風景においても同様で、明らかに多様性から均質性へと移行してきています。これも、重大な環境問題のひとつといえます。自然界で生物種の多様性が重要であることと同じ意味において、人間社会でも文化の多様性が維持されるべきであると考えています。
インドネシア・パプアニュ?ギニア・南米・アフリカ・イエメンなど、海外の集落の現地調査を継続的に行い、実測した住居の平面図や配置図をもとに、空間構成の原理を相互に比較し、素材と風土の関連性・空間の意味構造・近代化に伴う住居形態の変化・民族や場所に固有な空間形成方法など、居住文化の特性について実証的な研究を行ってきた。
世界の伝統的住居・集落の形態論的考察:インドネシア・パプアニュ?ギニア・南米・アフリカ・イエメンなど、海外の集落の現地調査を継続的に行い、実測した住居の平面図や配置図をもとに、空間構成の原理を相互に比較し、素材と風土の関連性・空間の意味構造・近代化に伴う住居形態の変化・民族や場所に固有な空間形成方法など、居住文化の特性について実証的な研究を行ってきた。

2.街並み・都市景観の定量的・定性的分析
日本各地に残る伝統的家並みや現代の街路景観の調査を行い、景観構成要素の意味や配列規則を解読するとともに,景観の複雑性や多様性に関する定量的な分析を試みた。近年は、比較的マクロなランドスケープを対象として、可視領域の面積や可視建物数を尺度とした定量的評価手法を提案している。
日本各地に残る伝統的家並みや現代の街路景観の調査を行い、景観の複雑性や多様性に関する定量的な分析を試みた。近年は、比較的マクロなランドスケープを対象として、可視領域の面積や可視建物数を尺度とした定量的評価手法を提案している。
街並み・都市景観の分析:日本各地に残る伝統的家並みや現代の街路景観の調査を行い、景観の複雑性や多様性に関する定量的な分析を試みた。近年は、比較的マクロなランドスケープを対象として、可視領域の面積や可視建物数を尺度とした定量的評価手法を提案している。

3.建築・都市空間の形態解析
建築・都市空間を形成する形態的な要素に着目し、空間特性を記述する数理的指標の開発を行い、現実の事象に適用してきた。建物配置の立体的な稠密性尺度の導出や隣棟間隔の推計方法、都市施設の配置パターンの同定手法や異種用途施設間の関連性尺度、グラフ理論を用いたネットワークの特徴抽出方法などを提案してきた。
これまで,建築・都市空間を構成する物的要素を基本単位として、主に数理的な解析手法を展開してきたが、環境をよりよく理解・創造してゆくためには、空間の幾何学的性質のみならず、意味や効果も考慮に入れ、人間の意識や行動と空間構成要素との関連性を的確に把握する手法に展開しなければならないと考えている。
建築・都市空間の形態解析:建築・都市空間を形成する形態的な要素に着目し、空間特性を記述する数理的指標の開発を行い、現実の事象に適用してきた。建物配置の立体的な稠密性尺度の導出や隣棟間隔の推計方法、都市施設の配置パターンの同定手法や異種用途施設間の関連性尺度、グラフ理論を用いた特徴抽出などを提案してきた。

4.都市空間における移動経路と流動量の時空間的把握
空間の解析・計画を具体的に計量・描出するためには、建築・都市空間情報の処理技術が必要不可欠であり、これまで,特にコンピュータによる図形処理方法に重点をおいて、計算幾何学的な手法の展開を継続している。人口・地価・地形・ネットワークといった通常の空間データ処理方法や画像処理技術はもとより、都市施設や建物配置の密度分布を等高線(等値線)によって表記する手法や、施設配置に伴う地理的最適化問題、空地の解析に適用可能な最大空円問題、ネットワーク上の最短路探索問題、多角形の平行閉曲線・被覆・重なり部分の作図法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測方法、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量方法などを対象として,効率的なアルゴリズムの開発を目指してきた.
建築・都市空間の情報処理手法:都市施設や建物配置の様態を等高線表示する手法、施設配置計画における地理的最適化問題などの計算幾何学的手法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量などを行いながら、効率的なアルゴリズムの開発をめざしてきた。
設計者と他者との適切なコミュニケーションをはかるためには、共通の「ことば」が必要である。従来からの建築図面や模型に限らず、CGやVRを駆使した表現手法が必要と考える。また、表現手法の開発は、同時に、建築空間情報のデータベースの作成と連動することが予想され、CADとGISの融合に展開すると考えられる。この研究は他の研究者と協力しながら進めていきたい。

4.都市空間における移動経路と流動量の時空間的把握
都市のダイナミックな様相を捉えるために、人や車などの移動に伴う交通現象を対象として数理的な考察を試みた。移動経路のパターンや断面流動量について計量幾何学的モデルを提案し、OD調査に基づく地域内外の結合・集中様態の評価問題や小学校の通学路指定問題などに適用した。
都市空間における移動経路と流動量の時空間的把握:都市のダイナミックな様相を捉えるために、人や車などの移動に伴う交通現象を対象として数理的な考察を試みた。移動経路のパターンや断面流動量について計量幾何学的モデルを提案し、OD調査に基づく地域内外の結合・集中様態の評価問題や小学校の通学路指定問題などに適用した。

B.建築・都市計画の方法論

1.施設配置と圏域構成の計画方法
公共施設や老人福祉施設などの最適配置問題や、施設配置が所与な場合における利用圏や管轄区域の策定方法の問題を取り上げ,配置と分割に関する様々な幾何学的解法を考案してきた.特に、従来のVoronoi分割を建物や公園などの面的な広がりを伴う領域に対して拡張し、かつ、利用者の人口分布と施設容量を考慮した圏域構成問題に展開した.一連の手法を、広域避難場所の指定区域や小学校区などの圏域構成の適正評価問題に適用した。
施設配置と圏域分割の手法:地域計画への直接的な適用を意図した研究で、公共施設や老人福祉施設などの最適配置問題や、広域避難場所指定区域、小学校区といった、施設配置に伴う圏域分割問題を扱ってきた。

2.建築・都市・地域計画の実践
これまで、個人住宅、集合住宅、宿泊施設、商業・業務施設・事務所ビル、工場、病院、学校建築、研究施設などの実際の建築設計や、都市・市街地再開発計画、市町村のマスタープランの作成を手がけ、また、国際設計競技にも参加し、研究成果を生かしながら建築・都市・地域計画の実践を行ってきた。近年は,建築構造研究者と共同で新しい構造システムによる建築の実現も目指している。
また、研究成果は機会があるたびに、実際の建築・都市・地域計画において実践している。これまで、個人住宅、集合住宅、商業・業務施設、工場、学校、研究施設など、民間の建築設計事務所と共同で設計活動を行ってきた。また、単体の建築だけではなく、都市・市街地再開発計画、市町村のマスタープランの作成も手がけ、国際設計競技にも参加してきた。
研究の最終的な目標のひとつは、望ましい環境の実現である。建築や都市空間は時代精神や場所性に根ざす文化の表現であり、環境学の分野においても、21世紀の新たな居住環境空間モデルの提案が要請されるであろう。画一性から多様性へ、成長促進から成長管理へ、効率重視から文化の重視へと都市論のパラダイムが大きく変化してきている。これからの都市計画においては、大がかりなクリアランス型ではなく、現実の都市においてミクロな改造を連携させたコンステレーション型の空間モデルが重要であると考える。それが、いわゆるニューコンパクトシティといえるもので、これを文化としての都市空間モデルとして提案したいと考えている。

C.建築・都市空間情報の処理手法の開発
空間の解析・計画を具体的に計量・描出するためには、建築・都市空間情報の処理技術が必要不可欠であり、これまで,特にコンピュータによる図形処理方法に重点をおいて、計算幾何学的な手法の展開を継続している。人口・地価・地形・ネットワークといった通常の空間データ処理方法や画像処理技術はもとより、都市施設や建物配置の密度分布を等高線(等値線)によって表記する手法や、施設配置に伴う地理的最適化問題、空地の解析に適用可能な最大空円問題、ネットワーク上の最短路探索問題、多角形の平行閉曲線・被覆・重なり部分の作図法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測方法、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量方法などを対象として,効率的なアルゴリズムの開発を目指してきた.
建築・都市空間の情報処理手法:都市施設や建物配置の様態を等高線表示する手法、施設配置計画における地理的最適化問題などの計算幾何学的手法、都市施設と利用者との最近隣距離分布の計測、建物や街区の形状指標計算、室内や街路の開放性指標としての立体角の計量などを行いながら、効率的なアルゴリズムの開発をめざしてきた。
設計者と他者との適切なコミュニケーションをはかるためには、共通の「ことば」が必要である。従来からの建築図面や模型に限らず、CGやVRを駆使した表現手法が必要と考える。また、表現手法の開発は、同時に、建築空間情報のデータベースの作成と連動することが予想され、CADとGISの融合に展開すると考えられる。この研究は他の研究者と協力しながら進めていきたい。

 

(7)  その他(社会活動など)

主な活動の場は建築学会と都市計画学会であるが、都市住宅学会、オペレーションズリサーチ学会、地理学会、形の科学会にも所属している。
また、研究成果は機会があるたびに、実際の建築・都市・地域計画において実践している。これまで、個人住宅、集合住宅、商業・業務施設、工場、学校、研究施設など、民間の建築設計事務所と共同で設計活動を行ってきた。また、単体の建築だけではなく、都市・市街地再開発計画、市町村のマスタープランの作成も手がけ、国際設計競技にも参加してきた。

 

(8)  将来計画

1。居住空間の形成方法の体系化:伝統的な集落や住居においては、環境条件の複雑かつ微妙な差異に適応した独創的な空間形成方法が随所にみられ、それらは現代の建築・都市計画にも充分に通用する叡智に富んでいる。今後の居住環境の計画方法を探求するためにも、社会・文化論的な観点も含めて体系的に整理し、他の研究者と連携をはかりながら、居住空間形成方法のデータベースを構築することを考えている。
2。建築・都市空間分析:建築・都市空間を構成する物的要素を基本単位として、主に数理的な解析手法を展開してきたが、環境をよりよく理解・創造してゆくためには、空間の幾何学的性質のみならず、意味や効果も考慮に入れ、人間の意識や行動と空間構成要素との関連性を的確に把握する手法に展開しなければならないと考えている。
3。 建築空間情報の表現・処理手法の開発:設計者と他者との適切なコミュニケーションをはかるためには、共通の「ことば」が必要である。従来からの建築図面や模型に限らず、CGやVRを駆使した表現手法が必要と考える。また、表現手法の開発は、同時に、建築空間情報のデータベースの作成と連動することが予想され、CADとGISの融合に展開すると考えられる。この研究は他の研究者と協力しながら進めていきたい。
4。新たな建築・都市空間モデル:研究の最終的な目標のひとつは、望ましい環境の実現である。建築や都市空間は時代精神や場所性に根ざす文化の表現であり、環境学の分野においても、21世紀の新たな居住環境空間モデルの提案が要請されるであろう。画一性から多様性へ、成長促進から成長管理へ、効率重視から文化の重視へと都市論のパラダイムが大きく変化してきている。これからの都市計画においては、大がかりなクリアランス型ではなく、現実の都市においてミクロな改造を連携させたコンステレーション型の空間モデルが重要であると考える。それが、いわゆるニューコンパクトシティといえるもので、文化としての都市空間モデルとして提案したいと考えている。

 

(9) 教官からのメッセージ

世界の伝統的住居・集落を調査していると、人間は様々な住まい方をしてきたことがわかります。しかし、いわゆる近代化の波がいたるところに押し寄せてきて、居住形態にも地域的な差異が希薄になってきています。この傾向は住居だけではなく、都市風景においても同様で、明らかに多様性から均質性へと移行してきています。これも、重大な環境問題のひとつといえます。自然界で生物学的な種の多様性が重要であることと同じ意味において、人間社会でも文化の多様性が維持されるべきであると考えています。
建築や都市といった構築環境における「かたち」を通して社会・文化の問題をとらえてみたいと思っています。「かたち」に興味がある方は、ぜひ研究活動にご参加下さい。

<English Version>