「活力ある地域社会の形成」に関するアンケート調査現地報告会に関するお礼

Posted on 2020.12.23

加藤雅俊先生(産業社会学部准教授)が立ち上げられた「活力ある地域社会の形成」というプロジェクトに関しまして、ご報告いただきました。


加藤雅俊(産業社会学部教員)

 

 「活力ある地域社会の形成」に関する研究プロジェクト(代表:加藤雅俊)は、この「Sanshaの風景」にてご紹介いただきましたように、202091日から1031日にかけて、諫早市1,600名および雲仙市500名の合計2,100名の住民の皆さまを対象としたアンケート調査を実施*[1]しました。

 

 調査結果の集計が終わったことを受け、アンケート調査にご協力いただいた皆さま、そして現地の住民の皆さまへのフィードバックを目的として、122日には長崎県庁にて記者会見を行い、1212日には高城会館(諫早市)にて、13日には愛の未来センター(雲仙市)にて、現地報告会を開催しました。記者会見には5社以上の報道関係者にご参加いただき、現地報告会には二日間でのべ40名程度の住民の皆さまにご参加いただきました。上記にご参加・ご協力いただきました皆さまに、心よりお礼申し上げます。

 また今回、新聞各社の皆さまのご厚意により、記者会見および現地報告会に関する記事の転載が認められました。ここに添付させていただきます。この場を借りて、新聞各社の皆さまにあらためてお礼申し上げます。

 

 今回の調査は、市町村合併や大規模公共事業を経験した地域住民の皆さまが、合併後の地域社会や行政サービスに対して何を思い、公共事業がもたらした社会生活の変化などをどのように感じているかを明らかにし、地域活性化に関する学術的分析や政策策定に役立てていくことを目的としていました。

 まだ単純集計の段階であるため、今後の詳しい分析が必要ですが、アンケート調査を通じて、現段階では以下のことが分かりました。

 

・諫早市と雲仙市では、市町村合併(平成の大合併)と大規模公共事業(諫早湾干拓事業)によって、日常生活の基礎的単位である地域社会に大きな動揺が生じている

・具体的には、回答者の多くは、利便性の向上や行政サービスの改善を感じる一方で、新たな単位への愛着を十分に感じられないだけでなく、地域には活力が失われ、一体感も生まれず、そこに対立が存在するものと感じている(言い換えれば、経済的な効果や社会統合に関する効果を感じることができない)

 

・しかし、諫早市と雲仙市のイメージ・特色や誇るべきものについては一定の傾向(共通性)があり、それらを主体的に活用していくことが今後の地域活性化のポイントであり、将来世代により良い地域社会を継承していく際のカギとなる

・具体的には、①地域の人びとが地域の貴重な資源である「豊かな自然とその恵み」について学び、実際に触れること(例、歴史・自然環境の学習を通じた地域アイデンティティの構築)、②地域資源を活用した事業の育成・支援(例、六次産業化、体験型観光)、③地域間交流の深化(例、旧市町を横断するイベント・行事、各地域にある地域資源の相互体験・学習)、④広域連携の促進(例、諫早・雲仙・島原・大村市の住民・行政・企業を横断した協力)などである

・そのためには、住民の主体的な関与(地域のことを知ること、ともに話し合い考えること、差異を尊重しつつも、地域の活性化のために、そして将来世代のために協力して行動すること)と、行政(市や県など)の連携が不可欠である

 

 なお、今後の予定ですが、以前もご紹介しましたように、①アンケート調査の結果(概要版)につきましては、2021年春以降に、アンケート回答者のうちご希望の皆さまにお送りすることに加え、インターネット上で公開する予定です(詳細については、準備が整い次第、「Sanshaの風景」にて報告します)。加えて、②アンケート調査に関する分析を進め、2021年度内には、学術論文や政策提言として取りまとめて、発信していくことを予定しています。また、③今後の調査につきましては、関係者の皆さまや住民の皆さまへの聞き取り調査、追加のアンケート調査、文献・資料調査などを進めていく予定です。そして、④本研究プロジェクトの最終的な成果は、『「活力ある地域社会の形成」の可能性と課題-諫早市および雲仙市を手がかりに-』(仮)としてまとめていきたいと考えております。引き続き、本研究プロジェクトに対して、ご協力いただけましたら幸いに存じます。

 

 最後になりますが、アンケート調査にご協力いただいた皆さま、そして記者会見および現地報告会にご参加いただいた皆さまにあらためてお礼申し上げると同時に、皆さまのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 

「活力ある地域社会の形成」プロジェクトを代表して   加藤雅俊

 

 

なお、今回のアンケート調査に関するお問い合わせ先は、以下となります。ご不明な点などございましたら、お気軽にご連絡ください。

 

「活力ある地域社会の形成」プロジェクト事務局(代表:加藤雅俊)

住所:〒6038577 京都市北区等持院北町561 

   立命館大学産業社会学部 加藤雅俊研究室 

TELFAX0754663070

Emailr-comgst.ritsumei.ac.jp(@マークを半角にしてご利用下さい)



文責:加藤雅俊(産業社会学部准教授) 


*[1]本アンケート調査は、「独立行政法人 日本学術振興会 科学研究費補助金(若手研究B:17K13682、基盤研究A:19H00571、基盤研究B:17H02480、基盤研究B:20H01449 、基盤研究C:19K01464)」、「公益財団法人 クリタ水・環境科学振興財団 国内研究助成・継続助成」、「公益財団法人 日本生命財団 環境問題研究助成」、「公益財団法人 カシオ科学振興財団 研究助成」、「公益財団法人 三菱財団 人文科学研究助成」、「公益財団法人 住友財団 環境研究助成」、「学校法人 立命館 研究推進プログラム」の研究成果の一部となります。この場を借りて、上記の諸機関に、あらためてお礼申し上げます。




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※朝日新聞(2020年12月18日 長崎県版)


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※西日本新聞(2020年12月12日 長崎版)


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※朝日新聞(2020年12月12日 長崎県版25面


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※長崎新聞(2020年12月13日 24面)


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