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- 著作権法の縛りから、経済を解放(宮脇 正晴准教授)
今、米国著作権法にあるフェアユース※1(公正な利用)を日本でも取り入れようとする動きがあります。日本の著作権法は、著作権が及ばない例外を一つずつ規定しており、当てはまらないケースはすべて違法と捉 えられる形態です。一方フェアユースは、問題となっている利用行為が「公正(フェア)」と判断されるもの であれば、著作権者の許諾なしにその利用を認めるという制度です。公正かどうかは裁判所の事後的な 判断によるため、これまで著作権侵害を恐れ、金縛り状態だった利用者も、裁判で自らの行為がフェアと 判断されると信じるのであれば、行動を起こすことができ るようになります。フェアユースの導入によって、ベンチャー企業や新規事業の活発化が期待されています。実際アメリカでは、グーグルに代表される新しいコンテンツビジネスの多くがフェアユースを活用して成功しており、 その経済効果は多大です。グーグルは著作権問題と常に 隣り合わせていますが、企業は社会の公益性を主張し、社会はこのビジネスをフェアだと認めています。著作権法の制限のあり方を考えることは、企業や国の経済成長の 手助けに繋がっているのです。
- 地デジ放送の複製制限を現行の1回から10回に増やす「ダビング10」の開始が待たれています。録画媒体・機器メーカーにとっては販売につながる施策ですが、著作権 団体はデジタル録画に対して課される「私的録音・録画補 償金※2」の対象の拡大を望み、関係者の意見の対立で新ルールが実行できない状況でしたが、新たにブルーレイディスクとその録画機が補償金の対象となり、ようやく「ダビング10」が実現します(2008.6現在)。
- 【フェアユース※1】
- 米国の著作権法107 条「批評、解説、報道、研究などを目的とする、著作物の公正な利用は著作権の侵害とならない」の日本版規定の創設が検討されている。
- 【私的録音・ 録画補償 金※2】
- 私的な複製は著作権法で認められているが、音や映像が劣化しないとされるデジタル方式による 録音、録画の場合は、補償金を徴収し、著作権者への利益還元を図っている。
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