2008年度研究会報告
第5回(2009.3.18)
テーマ | ①「ASEAN諸国の経済結合・域内分業関係の形成」 ②「中国政治の現状と課題」 |
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報告者 | ①桐山 昇(中央大学教授) ②毛 桂榮(明治学院大学教授) |
報告の要旨
「人文科学研究所」付置の「グローバル化と公共性」プロジェクト・チームは、“グローバル化の現代―現状と課題”を共通テーマとする全2巻の出版の目処も立ち(御茶の水書房、2009年3月既刊)、次の研究テーマのひとつをアジアに据えることにした。そこで、この分野の専門家を招いて、上記研究会を3月18日午後1時から午後5時に開催した。
第1報告の桐山報告は、ASEAN諸国の経済実態を、直接投資の現状や原材料の調達状況を視点として、域内経済の結合と分業の体制について、近時の幾度かにわたる現地調査を踏まえ、資料に即して説明するものとなった。この報告は、主としてベトナム、タイ、インドネシア、シンガポールの現地企業の「聞き取り調査」に依拠するものであって、それぞれの経済動態には、かなりの違いがあることが示され、ASEAN諸国の経済実態を知る好報告となった。
第2報告の毛報告は、戦後中国政治史を踏まえた現代中国政治の実態分析であり、政権内の動態や経済構造の地域偏差の実情が明示され、また、比較政治論的視点から中国政治にアプローチすることで、政府型報告とは別の興味深い分析も披歴された。両報告は、いずれも、よく整理されたレジュメに即した報告であり、また、東アジアと東南アジアの現状にかかわるものであるだけに、両報告を交差させる視点から、また、個別の報告についても活発な質疑と応答が繰り返され、充実した研究会となった。
中谷 義和