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2016.04.25

新連載企画『FOCUS ON EIZO』スタート 【vol.1】 品田 隆学部・研究科長にFOCUS!

新連載企画FOCUS ON EIZO
【vol.1】品田 隆学部・研究科⻑に
FOCUS!

映像学部・研究科にはどんな先生がいるのでしょうか。今回は新連載企画として映像の先生をご紹介し、それを通じてどんな学部・研究科を知っていただく「FOCUS ON EIZO」をスタートします!

Vol.1:品田 隆学部・研究科⻑にFOCUS!


初回は品田 隆学部・研究科⻑にFOCUSします。専門はリニア映像制作(演出)。「学部⻑」「研究科長」のイメージとは真逆の、茶目っ気たっぷりで、決して口数は多くないけれど、胸の中に情熱を燃やしている、そんな先生です。
どんな学生時代を送り、映像学部に来るまでどんな道のりを経てこられたか、インタビューしました。

すべては8mmフィルムから始まった                         
—大阪芸術大学芸術学部映像計画学科ご卒業ですが、芸大をめざすきっかけを教えてください。
高校3年生の時、地元(新潟県⻑岡市)を走っていたチンチン電車(栃尾鉄道)が廃線になることになり、その最後を撮ろうと、友人に手伝ってもらい家の8mmフィルムカメラで栃尾鉄道廃線ドキュメンタリーを制作しました。その作品を高校の文化祭で上映してみんなに観てもらった。この経験がきっかけでドキュメンタリーを撮りたくて芸大をめざしました。

—芸大時代はどんな学生生活を送っていたんですか?
ドキュメンタリーばかり撮っていました。「水子供養のお寺」とか。全部で4作品ぐらい。あとは、気の合う先輩といつもドンチャンやったり、映画について語り合ったり、学生運動はもうとっくに終わっていたけれど、気取って難しい話を延々朝までやったりして楽しかったですね。
大学の授業は実習が主で課題ばかりやっていました。例えば8mmフィルムで3分の短編を1人1本作る実習があり、テーマは自由。僕の作品は 「死命」(先生の造語)というタイトルで、女の人が自殺する間際にいろんなことがフラッシュバックするというゴダールを意識した作品(笑)。
学生の頃に、自分自身と向き合って真剣に悩むと「生きるとは何か」「死とは何か」とか哲学的なテーマの作品が多くなりますよね。


CM業界への就職                                   
—卒業後どのような経緯でCM制作会社に就職されたのですか?
就職に関しては、映像に携わるっていうのがとにかく当然の目標でした。当時も映像業界に入るのは狭き門だった。自分の場合は、最終的に親身にしてくださった先生がCM制作会社(電通映画社、現・電通クリエーティブX)を紹介してくれて。ドキュメンタリー制作をしたいと思っていたけど、これがまたやるとCMは本当におもしろくて。すごく単純な話かもしれないけど、プロが創る映像のクオリティーとこだわり、そして自分が携わった映像を「みんな」が「見たことある」ということがすごく幸せでやりがいがありました。CMはテレビでたくさんの人の目に触れますからね。

—どんなCMに携わられたんですか?
大手家電メーカーの炊飯器、ステレオ、パソコン、大手食品メーカーのカレーなど、制作部としていろんなCMに携わりました。当時のアイドルスターとか起用してね。CM制作会社には5年位いたけど、本当にいい経験をさせてもらいました。その時の経験と映像感性が自分で映像を創る上でのベースになっています。実はその頃に現場で撮影監督として一緒に仕事をさせていただいたのが映像学部で今客員教授をされている島村漱先生だったりします。



「創る」ことへのこだわり                               
—その後起業して個人事務所を設立されました。
たぶん、そのままCM制作会社の制作部にいたら、プロデューサーになっていました。それはそれでいいのだけれど、でも僕はやっぱり演出がしたいと思って、地方のテレビ局に転職してディレクターになりました。でもそこでも自分が作りたいものが作れないっていうジレンマがあって。
そんな時に芸大時代に気が合いお世話になった例の先輩から「個人事務所立ちあげれば?」って誘われて。最初の頃はその先輩のオフィスを間借りして個人事務所を始めました。演出家として自分で食べていく方法を考えないといけないという苦労はあったけど、何より楽しかった。
今までの人間関係が自分を導いてくれて、 知り合いから仕事を紹介してもらったり、作品を観てオファーがきたりして国内外飛び回って365日ひたすら仕事ばかりやっていました。今までに長短含めて300本位企画・演出しました。不思議なもので悩んだり、辛かったりした作品ほどいい作品になる。作品は徹底的にこだわり、最後まで諦めないことが重要だと思いました。

—そんなこんなで立命館大学映像学部の教員に。
立命館に来たのは、島村先生から声を掛けていただいたのがきっかけです。人間の出会いって不思議なものですね。正直なところ少し迷いましたが、やはり将来の映像業界を盛り上げるために、「後進の育成」は大命題。必ずしも映像業界だけに限らず、「映像」の可能性や影響力を知りながら様々な分野で活用し、社会に貢献してほしい。そんな思いでここに来ました。

—では、最後に学生や高校生にメッセージをお願いします。
いろんな経験をしてください。それが表現者のベ—スになる。
いろんな分野の知識を吸収してください。一つの物だけに集中するのではなく、視野を広く、でもこだわりはしっかりと持ってください。
得意な分野(こと)を一つ、「これは誰にも負けない」ということを身につけてください。それがアナタの強みになる。
“シズル感”という言葉を知っていますか?「現実感」や「質感」を指す広告業界でよく使われる用語ですが、これは実際にそれを知っていたり、やったことがある人にしか出せない。 「そこ!それ!」みたいな共感を呼ぶ表現は、実感がないと作り出せない。遊びでもなんでもいいので、そんな実感を自分の中にたくさん貯めていってください。
 
品田先生ありがとうございました。
映像学部・研究科には品田先生のように、教員になるまで様々な現場実績を積んでこられた先生が多く、直接伺うときっともっといろんな経験談を聞くことができると思います!

次回は、望月 茂徳先生(インタラクティブ・メディア)にFOCUSします。

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