2023年度の卒業式・学位授与式が、3月21日（月）に執り行われました。
ご卒業・ご修了おめでとうございます！！！
今回のEIZOVOICEでは、「立命館大学映像学会『優秀研究（制作・論文）の顕彰』」の受賞作品をご紹介します。
「映像学会」とは・・・
映像学に関する学術の研究と普及を目的とした学会で、映像学部・研究科に属する教員、映像学部生・研究科院生、卒業生・修了生などから構成されています。
学会賞とは、その映像学会から、学びの集大成でもある「卒業研究」「修士研究」に授与される栄えある賞です。
最も成績が優秀と認められたものに「学会賞」、今後の活動を期待し表彰される「審査員奨励賞」、成績に関わらず特筆すべき意義をもったものと認められたものに「特別賞」が授与されます。
【受賞作品をご紹介】受賞理由もぜひあわせてご覧ください！！
2023年度 立命館映像学会 優秀研究顕彰（受賞者・受賞理由）
◆「学会賞」（修士研究）
氏名：長谷川 綾音
題目：視覚障害を考慮した3Dゲーム空間における移動支援に関する探索的研究
受賞理由：
本研究の目的は、視覚障害者が３Dゲームをよりよくプレイするための移動支援について実践的な知見を導出することである。とりわけ、視覚障害を持つプレイヤーに固有のゲーム体験の認識を明らかにすることに力点を置くと同時に、ゲーム開発に活用可能な実践的な知見を見出すことにフォーカスを当てたアプローチが取られた。具体的には、検証用のゲームコンテンツを制作した上で、視覚障害者を対象としたテストプレイを実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ（M-GTA）を用いた分析が行われた。結果として、視覚障害を持つプレイヤーは、音によるフィードバックをもとにゲーム空間を認識しつつ、「自己主体感」にもとづく操作を行うことで、フロー状態へのきっかけを獲得しているという知見が示された。プレイヤーが主体的に空間を知覚するための手掛かりを示すことは重要であるが、一方で、自己主体感を低減させるような過度なナビゲーションはフロー状態へのきっかけを喪失させる恐れがあることが指摘された。この知見は、先行の作品におけるアクセシビリティ支援にみられる移動補助が時としてプレイヤーの自己主体感を低減させ、フロー状態を阻害する要因になっている可能性を示唆するものといえ、関連研究に一石を投じる重要な含意を持つ。本研究の成果は、視覚障害者がゲームプレイの中で楽しみを見出す過程を詳らかにしたことに加え、ゲーム開発に実践的に活用可能な視点を提供しており高く評価できる。
◆「学会賞」（論文）
氏名：伊藤 うらら
題目：配信型音楽ライブにおける観客の満足度に影響する要因について 〜半構造化面接と重回帰分析を用いた実証研究〜
受賞理由：
本研究はコロナ禍以後に、大きく拡大した配信型ライブサービスにおける満足度に影響のある要因を実証的に明らかにすることで、現状の配信型サービスの改善や将来的な革新に繋がる知見を整理しようとする研究である。まず前段階として、配信型ライブの観賞経験がある人を対象に半構造化面接を用いた予備調査を行い、そこから26の要素を抽出した上で、海外の先行研究との突合を行うことで合計36の重要要素を措定する。その上で、カテゴライズによって17まで絞り込んだ重要要素を第二段階の研究対象とし、因子分析を用いたアンケート調査により、演出因子、配信特徴・交流因子、アーティストの能力因子、画質因子を導出し、それぞれの尺度の信頼性検討のため、下位尺度ごとにα係数を算出した上で、分析結果が一定の信頼性（内的整合性）を有することを示した。こうして明らかになった因子について重回帰分析を行った結果、①演出、②配信特徴・交流、③画質、④アーティストの能力の順に標準偏回帰係数が大きいことが示され、配信型ライブにおける総合満足度に及ぼす可能性がある影響因子を導出したことは高く評価できる。
◆「学会賞」（制作物＋解説論文、小論文）
氏名：辻 翔馬
題目：世界の「一瞬」を歩く
受賞理由：
ゲームは主人公が射殺されるという衝撃的な場面から始まる。一気に引き込まれるシュチュエーションだ。そしてその場所は時間が止まった世界であり、自分がなぜ事件に巻き込まれたのか？という謎を解いていく事になる。時間が止まった世界で自分ひとりが動きまわり、「聞き込み」をしていくのだが、人々に接近すると、身体に呪文のようにテキストが浮かびあがってくるという斬新なインターフェイスを確立した。得意とするグラフィックスのみならずプログラミングも自ら担うなど専門性と総合力を持ち得ている。次世代のゲームクリエイションを予感させる作品である。
受賞された皆さん！おめでとうございました！！！！
今後の皆さんのご活躍を祈念しております。