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2017.08.02
卒業生 松浦真一さん監督作品が第39回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)にて入選!
PFF(ぴあフィルムフェスティバル)をご存知でしょうか?
この映画祭は、“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに、1977年にスタート。現在では、単なる映画祭の枠に留まらず、映画コンペティション「PFFアワード」を中心に、“新しい才能”を発見・紹介し、育成していくなどの活動をおこなっており、映画業界をめざす者にとってここでの入選は将来をも占う非常に意味のあるものとなっています。アワードでグランプリ等を受賞すれば、そのうち1名がスカラシップ権を得ることができ、2年間じっくりと映画制作に打ち込むことができます。
このPFFの今年の入選作品が先日発表され、映像学部卒業生の松浦真一さん(2013年卒、ライオンズゼミ)監督『子どものおもちゃ』が見事選ばれました。映像学部ではご本人に早速アポをとり、入選の喜びや現在に至るまでのエピソードなどを伺いました。
―入選おめでとうございます。
ありがとうございます。
―松浦さんは映像学部在籍時、ゼミはメディアアートのライオンズゼミでしたが、映画部の部長をされていたとか。
はい。映画部に入っていたので劇映画を撮りたい欲求はそちらで満たし、ゼミでは非劇映画といえばいいのでしょうか、そういうものを撮る欲求を満たしていました。
映画部は、多々ある映画制作団体の中で、今は違うかもしれませんが、制作のシステムのようなものがなくて、行き当たりばったりでみな撮っていました。全体的なクオリティも低いと言わざるをえなかったのですが、他の団体では感じていたなんとなく共有されている色のようなものを感じなくて、悪く言えばまとまりがないともいえるのですが、それが気に入り、結局部長までつとめました。
まとまりがないわりには、作った作品について率直に批評しあう伝統みたいなものもあったりして、上映会後は各々えらそうに批評しあう期間が続き、無闇に傷ついたり、傷つけたりなどしていました。いま思えば、作品も含めた自分自身を客観視するための経験であったと思います。「これはけなされるやろなぁ」とか、「これは驚くやろ」みたいな。そう思ったら真逆の感想をもらったりして。
ゼミでは、なんといっても教授と直接お話できるというか、そういうところに魅力を感じていました。ライオンズ教授には、様々なアバンガルドを教えてもらいました。劇映画であろうと、非劇映画であろうと映像であることには変わりありません。今は劇映画に関心がありますが、ライオンズゼミでの経験は、そのことと地続きであると思います。
―卒業後はどのように過ごしていたんでしょうか?
在学時、周囲が就職活動を始めた頃、自分もその波に乗って就活をするのかなと思ってたんですが、なにもしなかったですね。結局なんだかんだですると思ってたんですが、本当になにもせずに卒業した自分に驚きました。
ただ、在学時からアルバイトで生活費はまかなっていたので、なんとなくひとり暮しの金回りについてはわかっていました。ので、アルバイトをそのまま続けて、なおざりにしていた脚本に専念することにしました。ひたすら書きましたが、何回書いても脚本だと思えないものばかりができあがりました。
そんな時、京都シネマで、在学時に色々お世話になった映像学部の川村健一郎教授と偶然お会いしまして。お茶に連れていってもらったのですが、その席で、いくつか撮りたい企画を教授に話しました。今回入選した『子どものおもちゃ』の企画も話しました。すると、「それ、撮ってみたら?」と。急に背中を押された気持ちでした。
確かに『子どものおもちゃ』だけは、ぎりぎり自主制作で撮れる、と思いました。ほかの企画は、自主制作では撮れない規模の、ほとんど妄想に近い企画だったので、『子どものおもちゃ』のことも話しておいてよかったと思います。そこから、なんとか脚本を書き上げ、映画部や映像学部の友人などに声を掛けて、いろんなことが動き出しました。
ちょっと、『子どものおもちゃ』の内容についてお話しさせていただくと、おおざっぱに言って、おもちゃの拳銃遊びに興じる小学生たちの出会いと別れの活劇といった趣の映画です。映画会社に勤めていた友人がたまたま会社を辞めてスタッフとして来てくれた時は嬉しかったですね。かなり映画作りのノウハウを教えてもらって、とても感謝しています。と同時に、かかった経費やそんな風に自分の作品に協力してくれた人たちのためにも絶対になにか結果を残さなければと、そう強く責任を感じたこともあり、PFFに入選が決まったときは本当に嬉しかったです。
『子どものおもちゃ』が完成してから、次作・次々作の脚本にも着手してきました。最近ようやく脚本を書いている感触のようなものがつかめてきたように思います。もちろんまだまだですが。もし、背中を押されることもなく、『子どものおもちゃ』を撮らずに、脚本を書き続ける生活を送っていたら、このような感触すら、やってこなかったかもしれません。
―そんなこんなでPFFの事務局から入選を告げる電話がかかってきた松浦さん。9月には入選作品の上映会が開催されます!映像学部で映画作りを学ぶ在学生の皆さんにも、是非上映を観に行っていただきたいと思います。それでは最後に、後輩へメッセージをお願いします。
上映に来ていただけるとありがたいです。自主映画を撮っていても、意外と他人の自主映画を観る機会はなかなかないものだと思います。これもなにかの縁だと思って、メール(kodomonoticket@gmail.com)を通して私に連絡いただければ、前売り券を手売りします。代金も私が自腹を切って多少負担します。とにかく、一度メール(kodomonoticket@gmail.com)にご一報ください。
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