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09.29

PEOPLE

2022

海外フィールドワーク(英語で学ぶタイの地域開発とツーリズム) 黒川ゼミにおける海外研修参加報告

220929usagawa 7宇佐川 柚香さん

学科・回生 経済学科・3回生
出身 大阪府立刀根山高等学校 

1.フィールドワーク参加を決めた動機

高校生の頃から、海外の地域開発を学び、携わることにとても興味を持っていました。そこで大学生になって、このようなフィールドワークに参加することを考えていましたが、コロナ渦で授業すらも対面で行うことができず、当然海外フィールドワークも不可能でした。
今年に入って、このフィールドワークのお話をいただき、地域開発に関して学ぶだけでなく、英語を積極的に使用することや、日本以外のコロナ渦の影響を現地にて自分の目で見ることによって、新しい知識と経験を得ることに加えて、自分がコロナ渦で失った「挑戦する行動意識」を取り戻したいという思いを持って参加しました。
日本語が全く通じない環境を恐れず、自分の意見を相手に伝えようと積極的に動く必要があり、アジア圏とはいえ高い英語力を持っていない自分にとっては英語力、調査力の向上にも大いにつながると考えました。

2.授業・実習の内容

KKU(コンケン大学)やコンケン地域内でのプロジェクト団体(農園・養魚場・お菓子工場等)を訪問し、コミュニティの代表の方にタイ語で説明をしていただき、KKUの教授が英語に翻訳する形で行われました。実際に布織の体験をさせていただいたり、農園の葉っぱを舐めてみたり、その土地で採れた物を使った料理を食べさせてもらったり、どのような商品を生産しているのかなど現地の経済活動や食文化を実際に体験させていただき、丁寧な英語による説明も加え、知識と実践力をより身につけることができたと感じています。立命館学生からの質問は英語でKKUの教授に伝え、それをタイ語に翻訳して伝えていただきました。
KKUの教授以外に、2人のタイの学生にも毎日付き添ってもらい、プロジェクト内容を一緒に体験したり、英語でコミュニケーションを取ったり、それ以外にも日本語やタイ語を互いに教え合うことや、一緒に食事に行く場面もありました。KKUのサポートはとても心強く、私たちが快適にこのフィールドワークを進めることができた最大の要因だと感じています。
最後にはKKUの会議室で他の教授、学生の前で英語で今回の調査報告をプレゼンテーションさせていただきました。訪問先で学んだ経済活動や文化を報告すると共に、SWOT分析や日本の例を用いて自分たちが考える今後の戦略等をそれぞれ提示しました。私が担当した有機農業のプレゼンテーションでは、タイの王族がみずからの資金を投じ、農業や工芸品などを支援・開発し、タイ国民の生活向上を進めるRoyal Projectにて有機栽培の活動にも携わった方が経営している農場を訪問し学んだことを発表した後に、有機農業拡大に成功している欧米を例に挙げながら、この地域で有機農業を拡大するために彼の経験や知識をどのように活かしていくべきなのかを提案させていただきました。KKUの教授、学生からもタイで学んだことがどのように日本にも役立つのか等の多くの質問があり、慣れない環境に緊張しつつも楽しくプレゼンテーションと意見交換をすることができ、滅多にすることができない経験をさせていただきました。
220929usagawa 1― 訪問先での筆者の農業実習
(左は大学内の水耕栽培実験農場、右は有機農業に取り組む農家の水田)220929usagawa 2― 調査結果の発表会で英語で報告する筆者(右端)  


3.生活(授業・実習以外の様子)

【宿泊施設について】
Wi-Fi・エアコン完備のホテルで、綺麗でしたが日本のアメニティ等を基準として行くべきではありません。タイ(日本以外)におけるトイレの使用方法(紙を流さない、水スプレー等)を知らない学生が多かったので、事前に知っておくべきだと思いました。

【衣服について】
私は10日分程度を持参し、現地で購入もしました。タイでは安くシャツや下着などは買えるので、足元が悪い場所での実習や、急に雨が降ることもあったため、捨てても良い服を持っていくのがベストでした。

【食事について】
このフィールドワークの大半宿泊したホテルでの朝食はビュッフェ形式で、日本人が食べやすい味付けになっていました。昼食や夕食は実習訪問先やホテル周辺の露店、ナイトマーケットで本場のタイ料理を食べました。訪問先のおもてなしがものすごく豪華で嬉しかったです。基本的に辛いものが多かったですが、毎日いろんな種類のタイ料理、特にタイ東北のイサン料理を食べることができたので、食文化にもたくさん触れることができました。
220929usagawa 3― 訪問先でのタイ東北の郷土料理 (フルーツも豊富)


4.現地での交流の状況

現地での会話はすべて英語でした。KKUの教授や学生はあらゆる場面で話しかけてくださり、わかりづらい部分はゆっくりであったり、ジェスチャーを入れたりして、いろんな話で盛り上がりました。初めて訪れる場所だからこそ、疑問に思うことはこちらからすぐに質問することが大事だと感じました。タイの学生も英語を流暢に話すというわけでもなかったので、伝わるように言い方を変えてみたり、重要な部分を強調して話したりするとスムーズに会話が進んだので、文法を細かく気にするよりも、積極的に話してみる事の方が大事だと学びました。
コンケンの露店等では英語が通じず、タイ語のメニューをグーグルレンズなどの翻訳機にかけて指をさすことにも挑戦しました。バンコクは日本人や欧米人が多いためか、コンケンよりは英語が通じました。
最終的には伝えようと努力すればなんとかなると気付き、コミュニケーションは挑戦することが第一だと感じました。
220929usagawa 4― 有機農業を進める農園での種植え(左)
現地の方とタイのお菓子カオトムマットを作っている(右)


5.フィールドワークを通して身についたこと・印象に残ったこと

このフィールドワークで身についたと感じるのは、挑戦することです。
短期間であるからこそ、最初から思ったことは恐れずに取り組んでみようと思っていました。結果的にはどんな場面でも、日本語で立命館の学生と話すよりも現地の人と英語で話す方が、知識も英語の会話力も上がりました。訪問先でも、”Can I try?” と聞くと、現地の方はこちらの姿勢に応えて優しく隣で教えて下さって日本では滅多にできない経験ばかりさせていただきました。
印象に残ったことは、持っていたタイに対する印象と現実の違いです。
日本人は日本の方が発展していると思いがちで、バンコクを訪問すると東京以上の都会で驚きました。コンケンでもスマホの電波もしっかり飛んでいて、その回線速度も日本より早く(80-120Mbps)、5Gもつながり、日本より電波が届きやすいのが実状でした。これらのことから、この話題はバンコクで訪問したJICAタイ事務所でも話したのですが、日本からタイの開発に関する意見を上から言うのではなく、同等の立場、もしくは日本がタイから参考にする側として意見を考えつつ、日本にもどう共有することができるか考えることがこれからは最適であると感じました。タイに行くまでのプロジェクト以外の事前学習が不足していたと思っています。


6.フィールドワークに参加してよかったと思うこと

日本にいるだけでは得られない様々な知識や考え方を身につけることができました。考え方が異なる部分や、タイの方々のフレンドリーさ、穏やかさや、タイの学生の積極性に圧倒されることも多々あって、コミュニケーション取る上で自分に足りない部分など、日本では気付くこともあまりない点に気付くことばかりでした。LINEやインスタグラムで連絡先を交換し今でもやり取りを続けていますが、帰る時には寂しくなりましたし、必ずまた来年会いに行きたいと思うような素敵な人たちばかりに出逢うことができました。
また、私自身フィールドワーク以外のことに関してももっと挑戦しようと考えるようになりました。ここ2年間はコロナ渦を理由に諦めたりすることが多かったですが、今は自分で行動を始めればなんとか実現できるのではないかと思っています。やはり自分の年は大学生になって海外旅行・国内旅行すらもできなかったりしたことから、どうすれば可能であるかということを考えずに最初から諦めている人が多いと感じています。自分もその1人で、あまり挑戦しようとしていなかった2年間を後悔していますが、このフィールドワークを通して、これからはこの経験を活かして勉強や就活等でも積極的に行動していこうと思います。220929usagawa 5KKUの教授(左)と学生2人(右) 


7.後輩へのメッセージ・アドバイス

英語力に自信がなくて行くことを迷っている人がいたら、恐れずに参加してみるべきです。他の要因で行くか迷っているとしても、少しでも行ってみたいという気持ちがあれば参加した方が良いと思います。費用・食事・宿泊施設などに関する不安箇所があれば、参加したメンバーに聞けば情報は沢山あるので、行くまでに対策を用意しておく、情報を調べておくことさえすれば、大きな問題が起こることはないと思います。何回も訪問している教授に加えて、フィールドワークを把握しているKKUの教授や学生、参加経験のあるTAもいるので、あまり不安はありませんでした。不安なところは、事前によく把握し対処・準備しておけば大丈夫です。
あとは自分のことは周りに頼りきりになってはいけませんが、必要な時はしっかり相談し頼ることも大切かと思います。結局のところ積極性や体調管理など、求められていることは日本にいる時と一緒です。
現地で得られることは訪問先での経験や知識はもちろん、今後の自分の視野を広げることも可能です。迷って参加せず後悔するのではなく、ぜひ挑戦してみてほしいです。参加することは経験だけでなく、自分の自信にもつながるはずです。私も2023年度のタイフィールドスタディーツアーには皆さんの手助けをするために、もしTAとして参加する機会があれば頑張りますので、これを見てくださっている皆さんと一緒にタイに行けたら嬉しいです!
220929usagawa 6― コンケン最終日のプレゼン後の写真撮影
(写真撮影時のみマスクを外しています)

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