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TOPICS & EVENTS

06.20

TOPIC

2025

アメリカ経済論に藤田怜史先生、下斗米秀之先生をゲストスピーカーとして招聘

 立命館大学経済学部の専門教育科目「アメリカ経済論」(大橋陽教授担当、34回生配当)において、ゲストスピーカーを招聘しました。

 この授業では、本学部専任教員の大橋陽教授、中本悟教授が編集した『現代アメリカ経済論――新しい独占のひろがり』(日本評論社、2023年)を教科書として使用しています。同書は、2人の編者のほか、アメリカ経済論、アメリカ経済史、世界経済論を主たる研究分野としている研究者10名によって執筆されました。

 2025年春学期の授業では、執筆者2人をゲストスピーカーとして招聘し、執筆を担当された章の内容について、出版後の新たな展開を踏まえながら、講述していただきました。

 第4回(430日)では、藤田怜史先生(岐阜市立女子短期大学国際コミュニケーション学科准教授)にご登壇いただきました。藤田先生は、第4章「軍需産業――軍産複合体の特質と存続要因について」を執筆されました。授業では、冷戦期の産物とも言える「軍産複合体」が、冷戦後もなぜ存続しているのかを大きな問題として提示されました。軍産複合体は、国家と軍需産業が協力し国益よりも私益を追求してしまう利益集団と考えられています。しかし、それがいまなお存続しているキーは、たんなる利益集団ではなく、諸制度の束として、アメリカに深く織り込まれているからだと説明されました。

 第2次トランプ政権が成立し、動乱の時代が訪れています。藤田先生は、受講生に対して「日本の軍産複合体」のあり方について考察を促す課題を提示されました。受講生の多くが、アメリカの軍需体制との比較を通じて、国家安全保障と自立、そして日本社会における制度のあり方について思考を深める機会となりました。

 第11回(618日)では、下斗米秀之先生(明治大学政治経済学部准教授)にお越しいただきました。下斗米先生には、第8章「産業界が生んだ『非正規移民』」、第9章「高度人材の育成とグローバル頭脳獲得競争」の2章をご執筆いただいております。第11回では、第9章をベースに、執筆時以降の研究の進展を踏まえて最先端の講義をしていただきました。トランプ大統領によりハーバード大学の留学ビザが取り消されたニュースは皆さんご存知だと思います。テキストですでに高度人材がアメリカから流出していると議論されていましたが、それを加速する出来事が生じています。
250620America <下斗米先生の講義の様子>

 冷戦期アメリカは、非同盟中立国インドに技術援助政策を行い、そこで育成された高度人材がシリコンバレーを支えてきました。それを自ら手放そうとしているアメリカの姿が何を物語るのか、深く考えさせられる講義でした。

 

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