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【実践経済演習Ⅰ】J.フロント リテイリング株式会社との連携PBL:大丸京都店でのフィールドワークを実施しました
実践経済演習ⅠのPBL(課題解決型学習)クラスでは、J.フロント リテイリング株式会社の全面的なご協力のもと、エスノグラフィーを学ぶフィールドワークを実施しました。この取り組みは、AIにはできない「顧客自身も言語化できていない課題」を現場で発見し、アイデアへと昇華させる力を養うことを目的としています。
■ 専門家から学ぶ「エスノグラフィー」と「デザイン思考」
フィールドワークに先立ち、同社役員の野村様を講師としてお招きし、対面での特別講義を開催しました。
野村様は、前職の航空会社で顧客視点をビジネスに取り入れる顧客分析デザインをご担当され、その中でエスノグラフィー(行動観察調査)の重要性に着目されました。講義では、その豊富なご経験に基づき、以下の点についてご教示いただきました。
エスノグラフィーとは何か:顧客の現場での行動観察を通し、言葉にならない課題やニーズを汲み取ることの重要性。
デザイン思考によるアイデアの深化:発見した事象から本質的な課題を見抜き、独自のアイデアに繋げる方法。
アイデアの多様性を担保する考え方:多角的な視点を持つための取り組み。
■ 大丸京都店を舞台にしたフィールドワークとワークショップ
講義で得た学びを実践するため、後日、大丸京都店にてフィールドワークを行いました。
【午前の部:参与観察】
学生たちは店内を巡りながらお客様の行動を注意深く観察し、顧客が何に困っているのか、どこにボトルネック(障害)があるのかを、それぞれの視点で発見していきました。
【午後の部:グループワーク】
午後は大学に戻り、グループワークを実施。各自が発見した課題やボトルネックを共有し、デザイン思考を用いて「本質的な問題は何か」を深く掘り下げ、再発見する作業に取り組みました。
■ 学びの集大成:役員へのプレゼンテーション
秋学期の試験終了後、再び野村様にご来校いただき、フィールドワークとワークショップで練り上げたアイデアを発表する最終プレゼンテーション会を行いました。
上場企業の現役役員を前にした発表は、学生たちにとってまたとない貴重な機会であり、その緊張感がひしひしと伝わってきました。しかし、学生たちは練習の成果を発揮し、自らの考察を堂々と発表。野村様からいただいた的確なフィードバックは、彼らの学びを一層深いものにしてくれました。
■ おわりに
多くの方々のご協力により実現したこの度のPBLクラスは、学生たちの感想からも、非常に実り多い経験となったことが伺えます。この授業で得た「現場で課題を発見し、思考を深める力」を、2年生以降の学びや活動でさらに発展させ、ご協力いただいたJ.フロント リテイリング株式会社様の想いにお応えできる人材へと成長してくれることを期待しています。
参加した学生さんの感想を紹介させていただきます。
「本当に貴重な経験ができ、募集の時に応募した自分をほめたいと思うとともに、この授業に参加することができ、とてもうれしかったです。大学でこのようなことをしたいと考えていたので私の中ではとても理想的なプログラムでした。」
「初めての経験が多くて、とても新鮮だった。ただ作業をするだけでなく、普段の何気ない会話も交えながら進める雰囲気が楽しく、刺激的で新しいアイデアも浮かんだ。とにかく、これまでにない新しい学びのスタイルで、印象に残る時間だった。」
「野村さんが直接いらっしゃった授業全てにおいて、物事を多角的に見る力の大切さと難しさを身を以て感じました。この授業を取るまではひらめき、もしくは過去の事例と重ねて解決策を考えることが出来る力の総称を課題解決能力と呼ぶと考えていました。しかし、デザイン思考について学ぶ中で、それだけでは問題解決には程遠いということに気が付くことが出来ました。有用性、実現性、革新性を最も満たす案を出すためには、発散と収束を繰り返すことが大切であり、この考え方は直接問題解決の糸口を見つけようとするタイプであった私にとっては目から鱗が落ちるようなものでした。」
「授業に参加して面白かったと感じた時は、フィールドワークから発表までの準備期間です。発表までの準備期間では、野村さんの講義を参考にしながら、フィールドワークで観察した事実に対して「なぜ」を何度も繰り返して解決策を模索しました。その過程で議論が止まってしまった時がありました。その中で、何気なくグループの一人が「〇〇があるって知らなかったよな」と言った一言で全員が納得し、議論が一気に進んだ時がありました。この時、自分一人ではこんな意見を出すことはできなかったと感じ、グループワークの面白さを実感しました。」