MENU

TOPICS & EVENTS

07.14

EVENT

2022

2022年度メントレ第2弾が開催されました

 メントレ第2弾「学びと自己分析編」が68日(水)に開催されました。第1弾「学びと就職活動編」に引き続き、多くの学生が参加してくれました。
 「メントレ」は立命館大学経済学部独自の就職応援企画で、「なぜ学ぶのかを考えることは、自分を考えることであり、それはなぜ働くのかにつながる。」をコンセプトとしています。立命館大学経済学部同窓会の協力・後援を得て実施されてきたこの企画は、今年で10年目を迎えています。

  冒頭、経済学部副学部長の橋本貴彦先生の挨拶があり、続いて4回生3名に後輩へのメッセージを送ってもらいました。

 1人目の藤本夏穂さんは、「私の就職活動について」というテーマで、「就職活動」、「研究活動」、「最後に」という3点についてよく組み立てられた説明をしてくれました。
 第一に就職活動について、「大変だったこと」はメンタルの維持だったそうです。真偽の不確かなネット情報や、適性検査や面接の結果、周囲の就活状況に焦りや不安を感じることもあったそうですが、趣味のピアノを弾いたり、友人と電話したり、適度にアルバイトを入れたりして解決しました。また、「大切なこと」は1人で抱え込まないことです。エントリーシート(ES)の添削をしてもらったり、面接練習に付き合ってもらったりし、相談したり客観的な視点でのアドバイスをもらった結果、ES通過率も上がったとのことでした。
 第二に研究活動について、研究活動は就活に必ず役に立つと言います。ゼミ内の4人グループでレベルの高い研究活動に取り組んだことで、ひたむきさが強みだということを再発見するなど自己分析にもつながり、グループの中での役割も踏まえてオリジナルなガクチカを手にできたそうです。
 最後に、自分のペースで焦らないことが大切とのメッセージを送り、着実に自分が成長し、その成長体験を就活に活かすことの大切さを伝えてくれました。

 2人目の滝澤周平さんは、「24卒の皆さんへ――学びと自己分析」と題し、3回生4月から開始した就職活動を振り返ってくれました。大まかな流れとしては、5月にインターンシップに応募、69月に夏のインターンシップ、12月から翌年1月に冬のインターンシップ、23月の早期選考で就職先が決定したとのことでした。後輩へのメッセージとしては、夏のインターンシップに関しては、できる限り幅広い業界にわたって、できるだけ多くの企業に応募して欲しいとのことです。最終的な就職先は食品メーカーでしたが、必ずしも最初から興味があった業界ではなかったそうです。多様なインターンシップを経験することによって業界や職種について理解が深まり、自分が本当に何をしたいのかがハッキリしてくるとのことでした。もう一つ大事なことは、就活の空白期間の11月、12月にはとくに、ゼミナール大会に向けて集中的に研究したと言います。
 その研究活動で得られた力は、経済産業省の社会人基礎力で言えば、「前に踏み出す力」(主体性、働きかけ力、実行力)、「考え抜く力」(課題発見力、計画力、創造力)、「チームで働く力」(発信力、傾聴力、情況把握力)でした。たとえば、よく強みとして挙げられるコミュニケーション力や協調性という言葉は抽象的すぎるので、本当はどういう意味か突き詰めなくてはなりません。また、キツイ1年だったからこそ、支え合う本当の仲間ができたそうです。

 3人目の古屋早羅さんは、まさに発表タイトル通り、「実体験から感じる自己分析で重要なこと」を話してくれました。古屋さんは就活を前にして不安を抱えている3回生に向けて、「自発的に行動を起こす」、「さまざまな人の視点を取り入れる(人を頼る)」、「言語化」という3点が大切だと言います。
 第一に「自発的に行動を起こす」とは、メントレやキャリアセンターを活用したり、学業や研究に注力したり、自分で調べ尽くすことを意味します。学業、研究は就活にとって遠回りではなく、思考力、質問力が身につき、本当に正しいかどうか疑う力が身につきます。古屋さんは夏のインターンシップに応募せず、そのESを作成するのに時間を費やすのではなく、学業に時間を費やしたそうです。
 第二に、「さまざまな人の視点を取り入れる(人を頼る)」とは、友人や先輩、先生、キャリアセンターに手助けしてもらうことです。コンタクトを取るのはなかなかハードルが高いと思うかもしれませんが、迷っている時間のほうがもったいないと思い行動を起こすことが必要です。
 第三の「言語化」によって、曖昧ではなく深く緻密に考えていくと、自分の真の志望業界や職種、自分の軸が見えてきます。やりたいこと、得意なこと、成長の仕方など、それぞれ「なぜ?」と深掘りしていくことで、次々と問いが生まれ、より深い自己分析につながると言います。たとえば、成長曲線を例に取れば、どのように成長したいのか、成長を誰に認められたいのか、どのように認められたいのか、と問いを重ねて明確化していくことになります。こうした問う力は学業や研究で身につけたものにほかなりません。

  メインは、経済学部の佐藤隆先生による「学びと自己分析――Do, or do not. There is no try.」のレクチャーでした。佐藤先生は、「自己分析はなぜ必要か」、「就活のための自己分析とは」、「自己分析をするための能力」、「論文のススメ」という4つの柱でレクチャーを進めました。
 導入の「自己分析はなぜ必要か」について言えば、第一に、学生はあまたの企業(380万)から就職先を選ばなくてはならず、選ぶには判断基準が必要で、ぶれない判断基準を身つけるには自己分析が必要と説きます。第二に、企業もまた就活生をふるいにかけるので学生は自己分析が必要になります。企業は、50万もいる新卒者から優良な労働力を選別する必要があり、ESは労働力が優良かどうか判断するためのパンフレットです。どのような商品でも見かけがダメだったら売れないのと同様、ESがダメだったら企業はその就活生を雇い入れようとはしません。だからESで優良な労働力であることを示すために自己分析は不可欠なのです。
 次に、自己分析一般の話というよりも「就活のための自己分析とは」と焦点を絞り込みます。ここで使われるのは5W1Hで、“Who”、“When”、“Where”はすぐに埋まります。ガクチカであれば、「私が」、「学生時代に」、「あるところで」といった形、志望理由であれば「私が」、「入社後」、「御社で」といった形です。だから就活で問われるのは、「何を(What)」、「どう(How)」、「なぜ(Why)」という部分であり、この自己分析が必要とされます。就活と自己分析に関する書籍はあふれていますが、一例として八木仁平『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方――人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』(KADOKAWA2020年)を参照しながら続けましょう。
 Whatは好きなこと、「情熱」を持って取り組めること、Howは得意なこと、才能、成果が出たものです。集合を思い浮かべればいいのですが、このWhatHow2つが重なった部分が、「WhatHow=やりたいこと=好きなこと×得意なこと」となります。さらにWhyは大事なこと、価値観を意味します。WhatHowWhy、この3つすべてが重なった部分が、「WhatHowWhy=本当にやりたいこと=好きなこと×得意なこと×大事なこと」であり、場合によっては「天職」と呼べるものなのです。そうして、「得意なやり方で好きなことをやりました。なぜならばそれが大事なことだからです。」というストーリーを組み立てればガクチカになりますし、「得意なやり方で好きなことをやります。なぜならばそれが大事なことだからです。」というストーリーを組み立てれば志望動機となるのです。
 では「自己分析をするための能力」とは何か、という話に進み、佐藤先生はそれを「本質を探る能力」だと言います。先生の好きなエピソードは、自動車王ヘンリー・フォードが言ったとされる言葉だそうです。それは、「もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう。」というものです。「速い馬が欲しい」という言葉を字義通りの意味で捉えているだけだったら、速い馬を探すだけで、自動車を「発明」することはなかったはずです。「速い馬が欲しい」という言葉に隠された真意を「速い移動手段が欲しい」と読み取れば、自動車なり鉄道という新たな解決策が生まれてきます。さらに、言葉に隠された意味が「時間の余裕が欲しい」ということであれば、テレワークや業務改善といった、元の「問い」の構造を転換するような「答え」が出てくるようになります。それには、“For what?”=「何のため?」という本質を探る問い、“So what?”=「だから何?」という帰結を導く問いの往復運動が必要となってくるのです。
 そこで「論文のススメ」ということになります。つまり、質問する力、問う力を身につける1番の早道は研究し、論文を書くことです。というのは、論文の型と自己分析の型はまったく同じだからです。論文では、問題と解決は、仮説検索(抽象化)と仮説検証(具体化)の組み合わせとなっており、Q&Aでストーリーを構成していきます。同様に、自己分析では対象が変わるだけであり、自己分析で問う過去の人生と直近の人生は、天職の探索(抽象化)と天職の検証(具体化)の組み合わせとなっており、人生のストーリーを構成していくのです。
 「論文のススメ」ではもう一つの強み、つまり、立命館大学経済学部で学ぶ強みを佐藤先生は強調されました。大学でバイト経験をしたことがある人は90%、部活・サークル活動を4年間続けた人は49%と、採用側からしてみればバイトや部活・サークルの経験は珍しくもないのですが、就活生はそうしたレッド・オーシャン(競争の激しい市場)で自己PRをしようとします。確かに留学経験がある人は3%と少ないのですが、立命館大学経済学部にはそれ以上のレアな価値があります。日本全国の経済学部で卒論を必修化しているのは50%程度にすぎません。立命館大学経済学部では卒論必修化はもちろん、原則全員がゼミに所属できる恵まれた環境にあります。しかも、3回生(3回生後期配当の演習Ⅲ)で論文提出が必修化されているのは大学が数多くあるといえども(おそらく)立命館大学経済学部だけであり、そのような就活生の割合は0.1%にすぎません。
 レッド・オーシャンでエピソードを語るよりも、0.1%しかいないブルー・オーシャン(競争のない未開拓市場)で勝負しない手があるでしょうか。佐藤先生は、「やるのは、今」と3年生を力強く鼓舞してレクチャーを結びました。

220714mentore2

 佐藤先生のレクチャーはもちろんですが、3名の4回生の話もすべて、メントレの趣旨を具現化したもので、すべて自己分析は学業、研究活動を通じて磨かれるという話に通じていました。佐藤先生と4回生には、「就活のスケジュールと研究の関係はどうなっているのか?」、「自己分析はいつまでに終わらせればよいのか?」、「やりたいことの話と論文をどうからめればよいのか?」など、フロアの3回生から質問が出されました。

  立命館大学経済学部では、SPI模試(Web受験)の実施や、秋口のメントレ第3弾など、これからも就職応援企画に力を入れていますので、情報をしっかりチェックして機会を最大限活用してください。

BACK