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2024年度ゼミナール大会 最優秀賞チームインタビュー
ゼミナール大会とは?
学生同士の知識の深め合いや研究意識の向上を目的に、毎年12月に開催される3回生を中心とした学術イベントです。学生は、自らが設定したテーマについて徹底的に研究し、経済の専門家である教員や多くの学生の前で報告することにより、社会で役立つ問題発見・分析・解決の能力、プレゼンテーション能力を養います。2024年度は88チーム、約300名の学生が参加しました。(優秀者発表会 受賞者の皆さん)
以下に、2024年度ゼミナール大会で最優秀賞を受賞した大野ゼミ「ひとり親家庭の子どものライフコースへの不利」班(3名)の方にインタビューをした内容をまとめました。
是非、皆さんの今後の学びの参考にしてください。
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●どうしてこのメンバーでチームを作ろうと思いましたか?
チームの組み方は「マッチング理論」という、最適なチーム構成の方法についてのミクロ経済学の理論を参考にし、ゼミ生個々のやりたいこと・達成したいことをベースに、マッチングしました。もちろん機械的に行うわけではなく、理論の実践にあたっては、ゼミ生同士で話し合いや意見交換を行い、各々の個性や特徴を活かすことの出来るようなチーム構成を目指しました。
このように大野ゼミでは、「ゼミ生全員が自分の意見を持ち、思考し、積極的に発信していくこと」を大切にしています。また、大野ゼミは、論理的に考える習慣が身に付く場でもあり、今回のチーム決めではこうした大野ゼミの「良い点」が活かされた機会でした。
●どうしてこのテーマを選びましたか?
メンバーの中で、「教育」や「格差」といったテーマに対して関心と問題意識を持っていたからです。
研究当初は、教育機会の地域格差など幅広く「教育」と「格差」というテーマを取り扱っていましたが、最終的には「ひとり親家庭の子どもの教育格差」という点に収束しました。研究が収束に至った経緯としては、先行研究の多くにおいて、「ひとり親家庭」の存在が見過ごされているように感じたことが挙げられます。
この点において、ひとり親家庭の子どもの経済的・環境的不利について扱った私たちの研究は、「教育」と「格差」に関わる研究や社会問題に対して、新しい視点を与えるものであったと考えています。
●努力したことや大変だったことなどを教えてください。
菊池:「教育」は自分にとって馴染みの薄いテーマであったため、研究を始めるにあたり、関連する論文を読むなどの情報収集を行うことに努めました。また、複数の先行研究で得た知見を基に、自分たちの研究の方向性や分析手法を決めていくことは、想像以上に精神的体力を使うため、非常に大変だったこととして記憶に残っております。
小松:1年前にゼミナール大会の優秀者発表会を見た際に、経済学の視点から考察することが重要であると感じたので、経済学部で学んだことを研究で活かせるように努力しました。アンケートを行ったときに、答えていないデータを省いて分析を行う必要があり、必要なデータのみを抽出して並び替えるという作業が大変でした。
森田:教職課程を履修していたため、教育に関する意識や知識はある程度持っていました。しかし、学術的な知識や見解の理解は十分ではなかったため、学術論文などから情報を収集し、理解を深めるよう努めました。また、菊池君も言っているように、3人での研究であったため、研究の方向性や進め方の細部について、工程ごとに意見や知識を共有しながら進めることが求められ、それが大変でしたね。
●大会当日はどのような気持ちでプレゼンに挑みましたか?
菊池:私の担当パートは、研究の流れや意義を説明する重要な導入パートでした。私の伝え方によっては、後の2人のパートが聴衆に理解してもらえない可能性もあったため、「丁寧に話すこと」を意識しました。
小松:ゼミの授業で発表の機会が多く、二人のプレゼンが上手だなと感じていたので、私の発表さえうまくいけば大丈夫だと思っていました。3人の中で最後のパートだったので、残り時間だけは常に気にするようにしていました!
森田:『会場全体の注目をさらってやる!』という強い想いでステージに立ちましたね。しかし、気持ちが高まるとつい話しすぎてしまう“悪い癖”(笑)があること、そして私の発表パートが『分析結果』を伝える役割であったことから、簡潔に伝えることや、事実と意見を明確に分けて伝えることをかなり意識していました。
(左:プレゼンの様子、右:授賞式の様子)
●ゼミナール大会を通して気づいたことや学んだことなどを教えてください。
菊池:取り扱った研究分野への理解だけでなく、自分自身の価値観や他者との関わり方といった人間的な部分においても大きな成長が出来たと考えています。小松さんや森田さんだけでなく、同じ大野ゼミの別の研究班との関わりの中で、自分自身についての気付きも得られたと考えております。
小松:研究を行う中で、どこを最終ゴールにするのかについて話し合ったときに、政策の検討を行うところを目標にしていたので、ゴールを決めていたからこそ研究を進めていくことができたと感じています。
森田:学術的な学びはもちろんのこと、菊池君が言っているように、『自分自身』についての学びも多くありました。チームでの研究活動を通じて、自分の強みや弱み、得意なことや苦手なことなど、普段の生活では気づかないことにたくさん気付かされました。今回の学びを、今後の学習や仕事にもぜひ活かしていきたいと考えています。
●今後の目標を教えてください。
菊池:今回の私たちの研究は、社会学的なテーマに比重をかけて研究を進めました。一方で、経済学的な視点について不足していたように感じています。今後は、ゼミナール大会で取り扱ったテーマを軸に、より経済学的な視点を含んだ研究をしていきたいと考えております。
小松:ゼミナール大会を通して、データの分析をし、分析結果から政策についての考察を行なうことができました。今後は、さらに様々な社会問題を解決するための政策を考え、実現につなげていきたいです。
森田:今回の研究を通して、これまであまり焦点が当てられてこなかった教育達成における家族との関係性による影響や性別の違いによる影響を明らかにすることができました。しかし、時間的制約もあり、本研究では既存データやアンケート調査のみに基づいた結果となりました。そのため、今後はインタビュー調査などを取り入れ、より『生の声』を大切にした研究を進めていきたいと考えています。
―――――メンバーの皆さん、ご協力ありがとうございました。