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12.22

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2025

自動車リサイクル施設を見学しました!(笹尾ゼミ)

環境経済学・笹尾ゼミに所属する2回生が、20251217日に岐阜県養老町にある自動車リサイクル施設、KMI株式会社(https://kmi-k.co.jp)を訪問し、自動車リサイクルの現状について実際に解体現場を見せていただきながら、お話を伺いました。
 2005年施行の自動車リサイクル法により、かつて埋め立て処分が主だったシュレッダーダスト(破砕くず)等の再資源化が義務付けられました。運用から20年を経た現在、技術向上によりその再資源率は96%を超える高水準に達しています。昨今は国内取引台数が減少傾向にある一方、EV(電気自動車)の普及に伴う車載電池の回収や希少金属の高度な選別が、循環型社会の実現に向けた新たな重要課題となっています。
 今回見学したKMI株式会社では、自動車リサイクル法に則した形で、フロンガスの回収やエアバッグの適正処理を行うことに加えて、それ以外の各種パーツを「付加価値リサイクル」として再利用(リユース)したり、有用金属をリサイクルしたりするために、徹底した分別・解体が行われていました。

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 今回の訪問で私は想像以上に解体作業に人の手が関わっていたことや解体から販売までの工程管理、重機による作業の規模感に驚きました。特に、手作業でリユース部品を取り外し磨き上げる工程では、その新品のような美しさに中古部品への認識を改めさせられました。整然と管理された保管場所の光景には、社会科で習った塩引き鮭を連想するほどの力強さを感じました。251222sasaozemi 3251222sasaozemi 4

その後に見学した、ワイヤーハーネスを被覆と導体に分ける機械の様子や、最後に重機を用いる工程などのリサイクル作業を通して、私は普段、財を消費した後のことをほとんど考えられていなかったことを痛感しました。そこで、解体や分別のしやすさといったリサイクル工程そのものに重きを置くならば、リサイクルに必要なことは「つくりの簡素化」ではないかと考えました。しかし、現在推奨されているEVやハイブリッド車は、その方向性とは真逆にあるのではないかと感じ、この点についてどのように捉えているのか質問したところ、高電圧バッテリーへの対応や作業時の危険性、解体工程の複雑化などの理由から、取り扱いが非常に難しいと教えていただきました。また、制度の変化や後継者不足で廃業する業者が多いという現実に加え、社長の「若者の車離れ」への懸念に触れ、私自身、購入するプロセスそのものに満足してしまい、その後の愛着や循環への意識が希薄だったと気づかされました。次世代の循環型社会に向けては、EVによる脱炭素化を進めるだけでなく、拡大生産者責任の強化や、産業構造の変化に伴う地域経済の存続を支える基盤づくりが不可欠であると強く実感しました。
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 今回の見学は公益財団法人自動車リサイクル促進センター(https://www.jarc.or.jp)及び株式会社読売エージェンシー(https://www.yomiuri-ag.co.jp)の多大なご協力の下で実施することができました。大変有意義な見学の機会を与えてくださった、両団体の方々の皆様にお礼申し上げます。 

経済学部2回生 松尾岳

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