RITSUMEIKAN立命館×2025年大阪・関西万博

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【REPORT】大阪・関西万博に向けた機運醸成を!万博テーマ事業プロデューサー・中島さち子さんと学生たちが語り合うワークショップを開催【REPORT】大阪・関西万博に向けた機運醸成を!万博テーマ事業プロデューサー・中島さち子さんと学生たちが語り合うワークショップを開催

立命館大学は大阪・関西万博のSDGs共創プロジェクト「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーに参画しています。このプログラムで共創に向けた取り組みとして、2023年2月より本学学生を対象とした、全6回の学生参画支援プログラムを始動。募集枠を遥かに超える102名の学生が参加を希望し、共創チャレンジ申請に向けての企画立案に取り組んでいます。

過去4回の活動で、リーダーシップやコミュニケーションについて学んだり、同じく万博に向けて活動する大阪大学の学生団体と交流してきた学生たち。3月23日に開催された第5回目のプログラムでは、大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーである中島さち子さんを迎えて、万博イベントの企画検討を擬似体験するワークショップが開催されました。その様子をレポートします。

大阪いばらきキャンパスに、中島プロデューサーが登場

学生たちが待ち受ける会場に姿を現した中島さん。司会を務める本学の荒木 寿友先生(大学院教職研究科教授)による紹介の後、挨拶を行いました。

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中島さち子さんは、ジャズピアニスト、数学研究者、STEAM教育家、メディアアーティストとして国内外で多彩な活動に取り組んでいる

大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを実現するために、8名のプロデューサーが「いのち」に関わる8つのテーマ事業をそれぞれ担当しています。その中で中島さんが担当するのは、「いのちを高める」という教育に関わるテーマ事業になります。

「遊びや学び、スポーツや芸術に関わる体験を、みんなでシェアすることで生きる喜びや楽しさを感じ、ともにいのちを高めていく……、言い換えれば『いのちを元気にしていこうよ』というテーマだと理解しています」

中島さんは、「いのちを高める」の意味をそのように説明します。また、万博はパビリオンやそこで催されるイベントだけでなく、すでに活動ははじまっているのだといいます。中島さんが手掛けるシグネチャーパビリオン「クラゲ館」をともに盛り上げる“クラゲチーム”の仲間とともに、すでにさまざまなプレイベントに取り組んでおり、今回のワークショップもそのひとつなのだと、中島さんは学生たちに伝えます。

「私は万博を、社会が未熟で十分な光があたっていない方々が潜在的に持つ輝きを、爆発させる場として活用したいと考えています。万博を通じてさまざまな人と出会い、巻き込み、社会的弱者や少数派の可能性を開くことで世界を変えたいんです。なので今日参加してくれた皆さんも、ぜひクラゲチームに加わっていただき、私たちと一緒に社会を変える挑戦をしていただきたいと思っています」

中島さんから学生に熱いメッセージが贈られ、挨拶は締めくくられました。

学生たちがそれぞれの思いとともに「いのち高まる」ものを紹介

ワークショップ前半は、中島さんが担当するテーマ事業について理解を深めるため、それぞれが持参した「いのちが高まる」ものを紹介することからスタート。

ある男子学生は、両親からプレゼントされた額縁入りメッセージアートを手に「これを見るたびに元気が出る」と紹介。ウイスキー瓶を手に「お酒は命を縮めるかもだけど、人との距離も縮めてくれる」と自論を述べて笑いを誘った女子学生もおり、「『いのちが高まる』という言葉には、さまざまな捉え方があるよね」と、学生の柔軟な発想を楽しんでいました。

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「いのちが高まる」ものについて話し合うことで、参加者の距離はグッと縮まった

続いて学生が取り組んだのが、それぞれの「いのちが高まる瞬間」と「万博を機にめざしたい社会」について、A3サイズの紙に書き出すというワークです。

「推しを見ているとき」「ダンスバトルをしているとき」「みんなでスポーツ観戦しているとき」など、さまざまな「いのちが高まる瞬間」を書き出した学生たち。めざしたい社会については、誰もが否定されず多様な価値観が尊重される社会といった意見が多く見られました。

ワークが終わると学生たちが書いた紙を壁に貼り出して展示。それらを眺めながら互いの主張について意見を交わしたり共感しあいながら、次のワークショップに備えました。

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会場にはクラゲ館の模型も展示。中島さん自ら、学生たちに説明する場面も

ワークショップの内容を学生たちが発表

後半のワークショップでは、中島さんが実際に取り組んでいるテーマ事業の7つの軸の中から6つのテーマをもとに、具体的なアクションやイベント企画について考えを巡らせます。クラゲチームの仲間でもある各テーマの専門家たちをファシリテーターに迎え、学生たちは10チームに分かれてワークに取り組みました。「素敵なアイデアがあれば、ぜひ万博につなげていきたい!」と中島さんが期待を寄せるなか、各チームは自由な発想のもと企画を組み立て、最後にその結果を各チーム1分で発表しました。

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思いや考えを伝え合い、企画を検討する学生たち

【学び・遊び】というテーマを選んだのは、2チームです。Aチームでは、子どもに向けた五感を刺激するプロジェクションマッピングのアイデアを発表。「たとえば海外の現地映像と共に匂いなども配信。同時にオンラインで現地の人に郷土料理を教えてもらう体験もすれば、より国際理解が進むのでは」と述べました。

Bチームは、子ども時代にスライムをつくった体験が、科学的な気づきや学びにつながっていたことを紹介。学校や国を超えて世界単位でそうした体験をつなげる仕組みをつくりたいという構想を発表。中島さんが「私がやっている『未来の地球学校』に近い取り組みですね。一緒にやりませんか?」と勧誘する展開となりました。

【民族芸能・祭り】というテーマに取り組んだチームは、祭りの魅力を「音楽や踊り、屋台を通じてこみ上げてくるワクワク感」だと定義。そのワクワク感の醸造には、頭で答えを探すのではなく、体験から感じるアプローチが大切ではないかと意見を述べました。

【インクルーシブ】をテーマに選んだ学生たちは、健常者と障害者が分断されない社会をつくるためには、体験・感動を共有する交流の機会を増やすことではないかと発表。中島さんから「クラゲチームにも、誰もが楽しめる『ゆるスポーツ』に取り組む人がいます。何か一緒にやるといいですね」とアドバイスがありました。

【日本文化・世界の文化】というテーマでも2チームが発表しました。Aチームは、「チャドウ(茶道)ベンジャーズ」というアベンジャーズになぞらえたチーム名の紹介を皮切りに、プレゼンテーションを開始。現代日本人や世界の人々にとって敷居が高いと思われている茶道を、現代生活に落とし込むアイデアを発表しました。

Bチームは、「文化とは、食や芸術など世界中の人が楽しめ、相互理解を深められ、平和につながるもの」だと定義し、地域や大陸単位で文化を体験できるアクティビティを、各地で展開するというアイデアを発表しました。中島さんからは「それこそまず茨木市でやってもいいですし、万博につながるイベントのアイデアとしてもいいですね!」と評価される発表となりました。

【循環型経済・ゴミ】というテーマでも2チームがプレゼンをしました。Aチームは、「ゴミ集めをゲームにすることで、ゴミに価値を与える」というアイデアを発表し、みんなで楽しく循環型経済を実現させたいという考えを述べました。

Bチームは、「部活動におけるリサイクル循環」というアイデアを紹介。部活を引退した時に使わなくなった道具を新入生に提供し、部活動に興味を持ってもらいながら道具を循環させていくシステムを、まずは小中高大が連携する立命館からスタートさせてみたいと意欲を見せました。

【世界とつながる】というテーマでは、会場参加者とオンライン参加者の2チームが取り組みました。会場チームは、「国という概念を取り払って世界をつなげる」というアイデアを提案。食やファッションなどの文化がごちゃ混ぜになったブースをつくることで、自分の興味があることから自然と世界とつながり、ワクワクできる場をつくりたいと発表しました。

オンラインチームは、メタバースを利用して各国の文化を体験できるゾーンをつくり出す案を発表。中島さんからは「私たちももっと世界をつなげたいと考えているので、興味深く聞きました」と感想を述べ、自身が関わったカンボジアと徳島をメタバースでつなぐ取り組みを紹介しました。

立命館の学生たちの熱を、万博、そして世界へ

中島さんは今回のワークショップについて、「めちゃくちゃ濃い時間でした。学生たちが優等生な答えではなく、本音で意見を語ってくれたのがとても良かったです。アイデアとしては、すぐ実行できるものもあれば時間が必要なものもありましたが、この立命館の熱が、立命館や万博を超え、世界に広がってくれたら最高ですね」と手応えを語ります。そして、立命館の学生たちに、万博がはじまるまでのプレイベントだけでなく、万博会場での企画や当日の運営まで、クラゲチームとして大いに関与してほしいと期待を述べました。

学生たちは今回のワークショップで検討した内容をもとに、まずは「第6回学生参画支援プログラム」で万博に向けたプレイベント企画を立案し、5月21日開催の「いばらき×立命館DAY」での実施をめざします。「いばらき×立命館DAY」には、中島さんも参加予定です。今回生まれた学生たちのアイデアが、どんなかたちになるのかぜひご期待ください。

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今日という日を記念して、グーとパーを重ね合わせる“クラゲポーズ”でハイチーズ!

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