RITSUMEIKAN WINTER SPORTS
DEC 15, 2017
立命館大学スキー部には、2017年12月現在アルペンが8人、クロスカントリーが4人、モーグルが1人所属している。
シーズンは11月から4月。夏季は、陸上トレーニングなどを行い、夏休みには毎年アルペンの選手からメンバーを選抜し、海外遠征を行っている。
他の種目から学べることも多く、ステップアップするためには何が必要かを一人ひとり考え、共有することを重視している。チームの目標は、2月に開催されるインカレでの1部昇格だ。
主将吉和 祐太郎さん
(スポーツ健康科学部4回生)
アルペン
主将吉和 祐太郎さん(スポーツ健康科学部4回生)アルペン
3歳の頃からスキーを始めた吉和さん。家族でスキーに行くことが多く、兄と一緒にアルペンスキーの練習に参加していた。吉和さんが取り組んでいるのは、回転、大回転、スーパー大回転の3種目。スキー板が異なる回転と大回転では滑り方も異なるが、自然と使い分けができるという。アルペンの魅力は、傾斜につっこんでいくスリルやスピード感とゴールしたときの雰囲気だと語る。
2016年12月、怪我を負った吉和さんはしばらくスキーができず、悔しさと焦りのなか、必死にリハビリに取り組んだ。「いつ復帰してもいいように夏季の練習で十分やってきた。ずっと支えてきてくれた両親と献身的なサポートをしてくれたリハビリの先生のためにも頑張りたいです」と今シーズンへの思いを語る。目標は全日本選手権で優勝し、五輪出場権を獲得することと全日本学生スキー選手権大会での3冠。昨シーズンの怪我を乗り越え、スキーの楽しさを味わいながら、雪上の闘いに挑む。
本間 有次さん
(経済学部3回生)
クロスカントリー
本間 有次さん(経済学部3回生)クロスカントリー
「まだいける、まだいける、そう思いながら走っています。自分との闘いです」と語るのは、スポーツの中でもっともきつく、体力が必要といわれるクロスカントリーに取り組む本間さん。部の練習に加え、朝のランニングや1日2回のジムでのトレーニングなど日々厳しい練習を重ねている。小学3年生の頃、友人に誘われたことがきっかけでクロスカントリーを始め、高校時代には世界ジュニア選手権に出場し、日本人トップの成績を残した。
一般的なレースでも10、15kmの距離を滑るクロスカントリー。コンディションが悪く、諦めてゴールできなかったこともあるという。「途中で諦めてしまったら、きつさだけが残ってしまい、次につながりません。今はなんとしても最後まで滑りきろうと思っています」と話す。2016年、2年に1度開催されるユニバーシアードの強化指定選手に選ばれたものの、選考で惜しくも出場を逃した。2018年こそはユニバーシアードに出場し、優勝するという目標を掲げている。
藤木 豪心さん
(政策科学部2回生)
モーグル
藤木 豪心さん(政策科学部2回生)モーグル
中学生の頃、初めてナショナルチームに選出され、高校以降は、毎シーズンナショナルチームの一員として闘ってきた藤木さん。チームでの合宿では、他の強い選手から学ぶことも多く、刺激になるという。モーグルの魅力は、コースを20秒前後で滑り下りてくる迫力。とにかくスキーが好きだという藤木さんは、練習がうまくいかない時には、モーグル以外のスキーをしたりパウダースノーで滑って遊んだり気分転換をして、またしっかりモーグルと向き合うという。
昨シーズン、初めてのワールドカップに出場を果たした藤木さん。しかし、緊張や焦りで思うような滑りができず、悔しい思いをした。そのため、夏季のトレーニングでは、昨シーズンの経験を踏まえた新しい練習を取り入れ、五輪も意識して練習を重ねてきた。今シーズンもワールドカップ出場権を獲得し、12月から世界各地で戦っていく。「今までで一番よく仕上がっているので、楽しみです。攻めるのみです」と笑顔で話す。目標は、五輪出場。大きな目標に向け、藤木さんの挑戦が始まる。
競技説明
1.アルペン
アルペンには、回転(SL)、大回転(GS)、スーパー大回転(SG)、滑降(DH)の4種目があり、滑降と回転を組み合わせたスーパー複合もある。
- 1.回転「Slalom(スラローム)」
- 急勾配で、細かいカーブを素早く完璧に曲がる、細かいリズムのターンテクニックとスピードが競われる技術系種目。2本の滑走タイムの合計で順位が決まる。他の種目とは異なり、旗門にはフラッグではなく、赤と青のポールが交互に設置される。内側の脛でポールにあたり、手でたたいていく。ポールをまたいでしまうと失格となる。
- 2.大回転「Giant Slalom(ジャイアント・スラローム)」
- 緻密なコース戦略やゲームマネジメントなど、アルペンで求められる要素が凝縮されている種目。2本の滑走タイムの合計で順位が決まる。旗門は、2本のポールの上部を旗でつないだもので、コース上には50~60本の旗門がたてられ、赤、青の旗門を交互に通過していく。
- 3.スーパー大回転「Super Giant Slalom(スーパー・ジャイアント・スラローム)」
- 滑降と同じ高速系種目のひとつで、スピードへの強さが必要な滑降と、ターン技術が要求される大回転の両方の要素が求められる。大中のカーブを曲がり、旗門数が多いため、ターン中に選手にかかるG(遠心力)は滑降以上といわれている。
- 4.滑降「DOWNHILL(ダウンヒル)/DH」
- アルペンのなかでもっともコースが長く、滑走速度は平均で時速100km/h以上となるスピード種目。本番のレースは1回のみで、いかにスムーズにターンし、最後までスピードを落とさずゴールできるかが鍵となる。
2.クロスカントリー
クロスカントリーには、クラシカル走法(スキー板を履いた脚の平行を保ちながら、左右交互にスキー板を滑らせる)とフリー走法(走法に制限がない)の2種類の走法がある。
距離は、1.4kmほどのスプリント種目から50km以上の長距離種目まであり、大会ごとに開催される種目が異なる。コースのレイアウトやアップダウンも大会ごとに異なり、専用のコースや公道、公園内の林間などの場所にコースが設置されることもある。
クロスカントリーのスタートは、出走する選手が個別に一定の時間をおいてスタートするインターバルスタートと、出場選手全員が一斉にスタートしてゴールの着順によって勝者が決まる、マススタートがある。
スキー板の幅は約50mmで、中央部が厚く、前後の端が薄いアーチ型のスキー板を使用する。伝統的な走法となるクラシカル走法用の板は、フリー走法用よりも少し長く、軽い物が多く、先端の反り上がりが大きくなっている。裏には細かい溝が入っており、溝の形や太さ、深さなど雪質やコンディションに合わせて板を変える。ワックスも数種類の中から選び、入念な準備が必要となる。
3.モーグル
コブのある急斜面を滑り下り、途中2箇所に設置されたエア台でエアを行う競技。ターン技術、エア演技、スピードの3要素で審査する競技され、その合計点で勝負が決まる。コース全長は200mで、平均28度前後の傾斜となっている。華やかなエアは大きな見所であるが、最重要要素のターンは、採点の60%を占め、エアとスピードは20%である。採点基準は、ターンの質(フォームとランディング)、エア(高さや難易度)、滑らかさ(スピードチェック)滑降停止やフォールラインの変更、手つき、尻もち、横滑り、ストック2度突きなどは減点の対象となる。
エアは、インバートフリップ(宙返り)、ループ(側転)、ストレートローション(水平回転)、オフアクシス(ひねりを加えた回転)、アップライト(回転なしの立ち技)の5種類がある。1本のうち、2回のエアはカテゴリー、もしくは回転数を変えなければならない。選手が使用するスキーは、たわみや反発、ターン時のコントロール性能に長けた専用の板で、長さは男子が170cm台、女子は160cm台のものを使うのが主流となっている。そして、膝を曲げた低い姿勢での滑走のため、短めのポールを使用する。