第Ⅰ章
2019年度全学協議会の意義と開催に向けて
1.全学協議会とは
立命館大学は、建学の精神である「自由と清新」と教学理念「平和と民主主義」に基づき、「未来を信じ、未来に生きる」の精神をもって、確かな学力の上に、豊かな個性を花開かせ、正義と倫理をもった地球市民として活躍できる人間の育成に努めることを教育的使命としています。
本学では、多様なバックグラウンドや個性を持つ学生達が、学園ビジョン R2020 「Creating a Future Beyond Borders 自分を超える、未来をつくる」を実現する主体として学び成長していくことを、様々な部署が連携し、教職協働で支援しています。正課・課外をはじめ学生生活全体を通じた「学びのコミュニティ」の中で相互に学び合い、切磋琢磨する中で、学生・院生が成長することをめざしています。こうした本学の取り組みをすすめる上で、学生・院生の皆さんと協議する場として全学協議会があります。
全学協議会とは、本学における、大学という「学びのコミュニティ」を構成する学部学生(以下、「学生」という)、大学院生(以下、「院生」という)、教職員および常任理事会が、教育・研究、学生生活の諸条件の改革・改善に主体的に関わり、協議するために設置された機関です。協議の場である「全学協議会」は、大学を構成する全ての構成員が自治に参加する「全構成員自治」の考えのもとに、学生の自治組織である学友会、院生の自治組織である院生協議会連合会(以下、院協)、教職員組合、大学(学部長が理事として参加する常任理事会)の4つのパートの代表に、学生生活等を支援する立命館生活協同組合(以下、「立命生協」という)がオブザーバーとして加わり構成されています。
本学では全学協議会の中で、これまでの教育と学生・院生支援の成果を点検し、今後の方向性を確認する取り組みとあわせて学費に関する議論を行ってきました。また、こうした協議の過程では、学部長・研究科長などの学部・研究科執行部と学生・院生が学部・研究科の課題について協議する懇談会や、教育、学生生活、キャンパスの課題などの各種懇談会等が開催され、学生・院生の声をふまえた大学の改革・改善に取り組んできています。
全学協議会
1948年度に学友会からの提起を受け創設された協議機関です。1979年度までは大学(常任理事会)の学費提起と関わって不定期開催でした。1979年度から2011年度までは、学費提起とあわせて4年毎に全構成員に公開する形式で開催されました。1988年には「全学協議会会則」が確認され、この協議会は「大学運営に関する諸問題(①教学改善および学生生活援助に関する事項、②学費および学園財政に関する事項、③学園の事業計画に関する事項、④その他本協議会で必要と認めた事項)について協議し、学園の発展に資することを目的とする」と定められています。近年では、2016年度・2018年度に全学協議会を公開で開催しました。
R2020
2020年にむけて立命館が選ばれる学園であり続けるべく、立命館学園のあるべき姿としての学園ビジョンR2020(Creating a Future Beyond Borders 自分を超える、未来をつくる)と、その実現に向けた中期計画(前半期:2011年度~ 2015年度、後半期:2016年度~ 2020年度)を策定し、計画的に学園の改革を進めてきた取り組みのことです。
2.前回の全学協議会の開催状況
前回の全学協議会は2018年度に開催されました。2016年度に開催された前々回の全学協議会から1年強という期間しか経過していないこと、R2020後半期計画(2016 ~ 2020年度)の実施途上であることから、前々回以降の教育、学生・院生支援の成果を総合的に総括し、点検することに重点を置きにくい中での開催となりました。他方、取り組みが進んでいる課題、学生実態から明らかになっている課題、各パートから出されている教育・学生生活等の論点も多く存在していることから、こうしたことを出発点として議論をすすめることとしました。あわせて2019年度以降の学費・財政政策が大学から提起され、協議がすすめられました。これらの協議の経過は「2018年度全学協議会確認文書」としてまとめられ、その内容は第Ⅱ章の「これまでの議論経過」で後述します。なお、学費政策について大学は2019年度学部入学者と2020年度までの大学院入学者の学費について提起し、2020年度以降の学部学費政策等については、2019年度に改めて全学協議会を開催し協議することを確認しました。
3.2019年度全学協議会開催に向けて
前述のとおり、2019年度全学協議会では、2018年度全学協議会で議論された、学費政策議論の前提となる教学実態とそれに関連して学友会から指摘された学び(正課・課外)の質を可視化して改善していく課題、食環境や安心・安全、キャンパス禁煙などのキャンパス環境に関わる課題などについて、引き続き協議することを確認しています。加えて大学は2011年度から2020年度までの学園計画であるR2020から、2021年度から2030年度までの次期学園計画である R2030に移行する節目の中で中期計画と学費政策を連動させる観点から、学部学費については2年間(2020年度・2021年度)の学費政策を提起することとしています。また、大学院の学費政策については学部の学費政策サイクルと一致させる(2021年度まで延長する)かどうかについて、大学院政策との対応とあわせて検討することとしています。こうした点が2019年度全学協議会での協議の出発点となります。
また、本学は、これまで推進してきた、「学びの立命館モデル」の確立に向けた教育改善および学生生活支援の取り組みを発展させ、次の10年間(2021-2030年度)の計画の土台を形成すべく、「学びのひろがり、つながり、変革を協創する( ともに創り上げる)ラーニング・イノベーション」(以下、協創施策)を開始しました。協創施策は、2019年度から2022年度までの4年間にわたる実施を予定しています。協創施策やそれに続く諸施策を通じて、本学を今まで以上に、学生・院生一人一人が自らの知的な関心・興味を沸き立たせ、主体的・創造的な学習の姿勢と自由な挑戦の精神を育み、卒業・修了時に自らの学びを通じた成長を実感できる場へと変革していくこと、ここに2030年度に向けた長期的なテーマがあります。今次全学協議会においても大学からこの協創施策の取り組みを各パートに提起します。
2019年度の全学協議会が、2018年度の協議会の到達点から出発して、これらの方向にさらに大きな一歩を踏み出す議論の場とするべく、学生・院生をはじめとする構成員のみなさんがこの議論に積極的に参加することを期待しています。
R2030
2030年にめざす新たなビジョンとして、2018年8月に学園ビジョンR2030(挑戦をもっと⾃由に Challenge your mind Change our future)が策定されました。現在、このビジョンを踏まえ2021年度以降のチャレンジ・デザイン(中長期計画)の策定に向けた検討がすすめられています。
全学協スケジュール
4.学びのフィールド・支援の広がりと活躍する学生
前述のとおり本学は、建学の精神・教学理念・立命館憲章等を踏まえ、社会に有為な人材を輩出するために、様々な学生支援に取り組んできました。特に2020年までの学園の中長期計画であるR2020では「学びのコミュニティと学習者中心の教育」を一つの柱としました。この実現に向けて、学習者が専門的な素養に加えて、Borderを超えて主体的に学ぶ力をも伸ばすことができる学びのスタイル「学びの立命館モデル」の確立をめざし、多様な学びを支援してきました。正課での活動や海外での学びやインターンシップに加え、正課外では従来からあるクラブ・サークル活動に参加する学生のほか、多様なコミュニティ形成を支援すべく、2012年度から、活動のプロセスを支援する成長支援型の奨学金を新たに導入し、3人以上の自主的コミュニティの立ち上げを支援してきました。この成長支援型奨学金を受給して活動する学生は、毎年500 〜 650人程度おり、意欲ある学生に応える制度となっています。さらに、ピア・サポート活動に参加する学生も実人数で3,368人(2018年度把握分)おり、36団体が活動をしています。こうした規模でピア・サポートを展開している大学は他にはなく、本学の大きな特色といえます。
こうした正課・正課外を通じた学びが多様に広がる中で、特に顕著な取り組みをすすめている学生たちの一部を紙面の限り紹介します。
目次
- 第Ⅰ章2019年度全学協議会の意義と開催に向けて
- 第Ⅱ章 これまでの議論経過と今後の方向性について
- 第Ⅲ章 2020年度・2021年度の学費政策について
- 資料