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永浜准教授が「発達障がいを生きない。」を出版されました。

永浜明子准教授(専門:臨床哲学)が、ミネルヴァ書房から「発達障がいを生きない。」という書籍を出版されました。

受講学生の一人と10年以上連れ添ってきた日常での様々な出来事を振り返って、「障がい」とは何か、「特性」とどのように向き合うのか、日々、試行錯誤を繰り返しながら、二人が歩んできた道のりが綴られています。

そもそも「障がい」という言葉は、何を意味するのでしょうか?

少なからず、私たちは、この言葉に対して、ポジティブなイメージを抱くことはなく、妨げや何かが機能しない、また何かが劣っているといったネガティブな言葉として受け止めていることと思います。ただ、それは、誰のことを基準に、またどのように判断しているのでしょうか?

永浜先生は、「障がい」というものは、特定の誰かにだけ紐付けられたものではなく、ひととひととの関係性の中で、生じたり、生じなかったりするものである、つまり、ひととひととの関係性の「間」に起因するものであると述べられています。人々は、一般的に、ひととひととの異なりや違いを捉えて、自分自身の存在を確かめようとします。その眼差しが、違いがあるということを捉えるだけに留まらず、優劣や自身との異なりを過剰なまでに奇異に感じ、それを障がいと捉えてしまいます。そして、ひとには違いがあることを前提にするのではなく、他者と異なるマイノリティの存在に対して、偏見や差別といった感情を抱いてしまいます。

ひとには、それぞれ特性がありますが、その特性を「ギフテッド」と呼び、「特別な力」として表現することもあれば、特性が本人だけでなく、その周りの人々の生きづらさを助長することがあります。ひとがそのひとらしく生きることは、容易ではないのですが、本書で述べられているように、「あなたはあなたのままでいい」という生き方やひとのありようを、一人でも多くのひとが受け止め、ひとにはそれぞれ違いがあること、そしてそれぞれが各々の輪郭を持っていることを理解してほしいと思います。

本書は、専門書としてではなく、一般書として取り扱われているのは、同じような境遇に置かれる人たちの背中を押したいという願いが込められています。ひとの尊厳やひとのありよう、またひととどのように向き合うべきなのかについて、とても考えさせられる一冊です。

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