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本研究科博士課程後期課程1回生松村哲平さんの研究が「Journal of Sports Science & Medicine」に原著論文として掲載されることが決定しました。
スポーツ健康科学研究科博士課程後期課程1回生で、本学RARA学生フェローの 松村哲平さんが、スポーツ健康科学部教授 橋本健志先生、立命館大学総合科学技術研究機構助教 小島千尋先生、スポーツ健康科学研究科博士課程前期課程卒業生 福澤和志さん、スポーツ健康科学部卒業生 酒井佑弥さんと共同で取り組まれた研究論文「Caffeine exerts neither ergogenic nor hypoalgesic effects on sprint interval exercise with intensive exercise-induced muscle pain」が、「Journal of Sports Science & Medicine」に原著論文として掲載されることが決定しました。
運動を行うとしばしば、運動の数日後などに現れるいわゆる筋肉痛とは異なり、運動直後~十数分後までで痛み(Exercise-induced pain: EIP)が生じます。特に、強度の高い運動(例えば、短い休憩を挟みながらスプリント運動を繰り返すスプリントインターバル運動)では、強いEIPが発生することが考えられます。運動中のEIPに関して、コーヒーなどに含まれるカフェインを運動前に摂取することで、持久系のペダリング運動などで生じるEIPが低減することが示唆されています。しかし、より高いEIPが生じる可能性のあるスプリントインターバル運動中のEIPに対するカフェインの効果はこれまでほとんど着目されていませんでした。加えて、カフェインの摂取によってスプリントパフォーマンスが高まった結果、EIPの低減効果が打ち消される可能性も考えられます。本研究では、強いEIPが生じるスプリントインターバル運動に着目し、カフェインが「運動パフォーマンスを上げつつEIPを下げる」などといったことが起こりうるのかどうかを検証しました。
実験の結果、30秒の全力ペダリング運動を3回繰り返すスプリントインターバル運動における運動パフォーマンス(発揮パワー)はカフェイン摂取によって変化しませんでした。また、大腿部に生じるEIPもカフェイン摂取によって低減されることはありませんでした。そのため、「運動パフォーマンスを上げつつEIPを下げる」ような一石二鳥の効果は支持されず、強いEIPが生じるようなスプリントインターバル運動において、カフェインの摂取が運動パフォーマンスの増加やEIPの低減に有効ではない可能性を示唆する知見となります。