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サクラスカラー・レポート:トミー・マイヤーさんが在大阪・神戸米国総領事館との交流イベントを企画しました!

EVENT
サクラスカラーズ3回生のトミー・マイヤーさんが、在大阪・神戸米国総領事館からアカシュ・R・スーリ渉外広報部部⻑をお招きし、“A Consular Conversation: Exploring Diplomacy with the US Consulate”と題する交流イベントを企画しました。イベントの成果について、トミーさんにご寄稿いただいたレポートをご紹介します!

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左:トミー・マイヤーさん 右:アカシュ・R・スーリ氏

私は現在、ジョイント・ディグリー・プログラム(JDP)の学生として、クラスメートと共にグローバル国際関係学を専攻しています。周りには、専攻とは全く関係のないキャリアを選ぶ仲間も多く、民間企業への就職がその例です。一方で、政府機関を希望する学生もいて、特に米国国務省は人気の就職先です。私自身も政府機関でのキャリアを目指したく、1回生の時にはワシントンDCの日本国大使館に訪問する機会にも恵まれました。それから京都で1年半を過ごすうちに、米国国務省と何かイベントを実施し、アメリカの外交官から直接話を聞くことも、良い機会になるのではと考えたのです。

そして5月15日に、立命館大学国際関係学部事務室と協力して、在⼤阪・神⼾⽶国総領事館から、アカシュ・R・スーリ渉外広報部部⻑と、現地採用職員の阪田隆治氏を衣笠キャンパスにお招きし、交流イベントを開催しました。このイベントは、米国国務省について良く知らない人への入門講義として、また外交に携わる方法を学ぶ機会として、外交、米国国務省、そしてそのどちらかでのキャリアに興味がある学部生・大学院生を対象に企画したものです。

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イベントは2つのセッションで構成され、第1セッションでは、スーリ氏が、赴任先のインド、マレーシア、日本で様々なポストを歴任した経験や、国務省の役割や活動内容について説明しました。オープンディスカッションの形式の第2セッションでは、参加者が国務省や国際関係の分野でどんなキャリアを歩めるのか話を聞き、それぞれの関心や状況を踏まえてスーリ氏に質問しました。私自身、この2つのセッションでモデレーターを務めさせていただきました。

ここでは、特に紹介したいセッションの内容や、学生がイベントを企画する前例があまりないなか、どうやって実現したのか、自分自身の体験談をご紹介します。

交流イベントの内容

スーリ氏のお話の中で、一部の学部生にとっては特に印象深いアドバイスがあったので、学部生の読者の皆さんにもご紹介したいと思います。スーリ氏は、大学から大学院へ直接進学する選択肢以外に、まず社会人として経験を積むことにも目を向けてほしいと強く勧めていました。修士を取得すればチャンスは広がりますし、素晴らしい経験にもなるでしょう。しかしスーリ氏は、自分で稼ぐこと、もっと重要なのは、職場で働いた経験が、将来同僚と一緒に力を発揮するうえで非常に役に立つ、と伝えました。国務省の受験者が、面接に行きつくまでに何度も不合格になることは珍しくないので、次の受験までに、収入を得ながら経験を積むことも出来ます。スーリ氏は、シリコンバレーの民間企業で広報の仕事をしていましたが、その時に身につけたスキルが、今のキャリアに大いに活かされていると話しました。「大学院での学びは非常に有意義で、より多くの機会につながるでしょう。しかし、キャリアの途中でも、大学院に行くことは可能ですし、もしかしたら、あなたの職場から学費の援助があるかも知れませんよ。」とスーリ氏は繰り返しました。

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「国務省で働くことは、単なる仕事以上の意味があります。」スーリ氏は強調しました。外交官は2-3年毎に別の国へ赴任するため、人生の岐路で大きな選択を迫られます。結果として、国務省特有のライフスタイルを送るようになるのです。スーリ氏は、このような生活は、配偶者のキャリアなど、家族に大きな影響を与えるものだと強調しました。時に子供がいる場合、常に社会環境や教育に配慮をしなければなりません。しかしながら、次々と新たな国を探訪出来ることは特権でもあります。人生を大きく左右されるのが外交官の特徴であり、それゆえに、単なる仕事ではなく、「ライフスタイル」そのものとなるのでしょう。このセッションを通じて、私も参加者も、外交官になれば困難なこともあるけれど、かえがえのない喜びもあることが良く分かりました。

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特筆すべきは、イベントに多くの大学院生が参加したことであり、意外な質問が飛び出したことも私にとって驚きでした。ある大学院生は、米国出身ではないものの、セッションに参加して、自国の外務省や米国大使館の現地職員として働こうと思ったそうです。また、学部生・大学院生を問わず、複数の参加者から、「スーリ氏と話がしたいので、連絡先を教えてほしい」と、私や国際関係学部事務室に照会がありました。それが一時的な興味からであっても、長期的なキャリア目標のためでも、参加者がセッションから何らかの収穫を得たことを知り、本当に嬉しい限りです。

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イベント企画の裏側

立命館大学では、これまで学生主導でイベントを実施することはあまりないようでした。そこでこの機会に、簡単に自分自身の経験をお伝えします。私は以前から米国総領事館とつながりがあったのですが、そうでなくても、実現には1本の電話、1通のメールで十分だったと思っています。2023年11月に、スーリ氏にお話を伺い、キャリアに関するアドバイスを頂くため、総領事館を訪ねました。そこで立命館大学で何かイベントが出来るかもしれないと話したところ、スーリ氏から好意的な反応があったのです。次に国際関係学部事務室へ相談し、サポートしてもらえることになったので、計画を進めるため、総領事館への正式なプロポーザルを準備しました。詳細が固まり次第、事務室と会場や参加者募集の方法について話し合いました。時間と会場が決まった後、ウェブサイト上に参加者募集のフォームを作成。数週間後にイベント実施の運びとなりました。

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確かに計画には時間がかかり、最初の総領事館訪問からイベントの実施まで約6カ月を要しましたが、あまり苦労はしませんでした。総領事館は私のアイデアを受け入れ、適切と思われる提案をしてくれましたし、事務室は私が目指す方向性を尊重し、いつもサポートしてくれました。お陰で、セッションのアイデア出しから広報、それに至るまでの全てのプロセスにおいて、計画はスムーズに進みました。プロポーザルの書き方や、効果的な広報に係るスキルを身につけることが出来たので、自分以外の学生にとっても、在学中に同様の体験をすることは、とても有益だと感じています。私自身が学生だからこそ、他の学生に役に立つ内容になったと自負しています。そして何よりも、私の経験がきっかけとなり、これから立命館大学の学生の中から、イベントでも何でも、自分のアイデアを提案する人が出てくることを願ってやみません。

最後に、このイベントに多大なご協力をいただいた、国際関係学部事務室の豊嶋さん、JDP担当副学部長のフレンチ教授、スーリ渉外広報部部⻑、総領事館の阪田さんに、深く御礼申し上げます。